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18歳が見せるデュエル。「フィジカルとフィジカルの勝負は負ける気がしない」。湘南・田中聡

高校3年生であった昨年から2種登録でトップチームの試合に出場し、激しく熱いプレーを見せている田中聡。J1・湘南ベルマーレにとって欠かせない選手となっている。DAZNとサッカーメディアで構成する「DAZN Jリーグ推進委員会」の月間表彰で、Goalは4月の「月間べストヤングプレーヤー」に田中を選出。今季ここまでの手応えを聞いた。(取材日:5月14日)

■取られたら取り返す

――今季リーグ戦は開幕3連敗でスタートしました。田中選手は、センターバックの左で出場していましたが、出だしでうまくいかなかった原因をあらためて振り返ると?

チーム全体でやりたいことがあまりできませんでした。ミスから失点したり、自滅したり。チームの歯車がかみ合わない中で、失点して得点もできなかった。新加入選手も含めて、チームとしてバランスが良くないサッカーになってしまっていました。

――スタートは苦戦しましたが、3月21日の第6節・セレッソ大阪戦以降は無敗が続いています(取材日:5月14日)。何か変化があったのですか?

みんなが責任を持ち始めたからだと思います。一人ひとりが責任を持ってプレーして、点はあまり取れなくても、失点は少なくなっていきました。(GKの谷)晃生選手や(石原)広教選手といった、バックラインの選手たちがゴールを死ぬ気で守ってくれている。一緒にプレーしていてすごく伝わってきています。そんなチームの雰囲気もとても良いですし、だから今は「負けないチーム」になってきたのかなと思います。

――最初の頃と今と田中選手自身の変化はありましたか?

最初はうまくいかなくて、結構悩みながらプレーしていた部分がありました。でも試合を経るにつれて、だんだん自分のプレーも良くなっていったと思います。試合を重ねるごとに修正できていることはすごくポジティブに捉えています。

――4月10日の第9節・サンフレッチェ広島戦でプロ初ゴールを決めました。この時は中盤の底に入っていましたが、自分でボールを奪って前に入って決めたゴールでした。この形は狙っていましたか?

自分のパスミスというか技術的なミスから始まったんです。だから、まずは取り返そうと思いました。湘南では「取られたら取り返す」ことをすごく教えてもらってきたので、それができました。それと、パスを出したらチャンスだと思ったので体が前に動いて、「点も取りたい」という気持ちもすごくあったんです。あとは、マチくん(町野修斗)がすごくいいパスをくれました。得点が取れて良かったです。

――初ゴール、うれしかったですよね。

そうですね。やっと、です。去年から取りたかったので、やっと取れたなという感じです。

■1対1は負けたくない

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――田中選手といえば、ボールを奪い切るプレー、デュエルの強さがあります。ここまでデュエルで苦戦した選手、チームあれば教えてください。

外国籍選手よりも、日本人選手、うまくて技術がある選手のほうがやりにくいです。例えば(川崎)フロンターレの家長昭博選手は、去年対戦した中で(ボールを)全然取れる気がしないという感じがあって。今年はそんなに『あ、強っ!』みたいな選手とは、まだやれていないです。やれていないというか抜かれるシーンはあるんですけど、フィジカル的に『あ、絶対かなわない』という選手はまだいないですね。

――家長選手はどこがすごかった?

みんなもよく言うんですけど、手の使い方とかがうまいですね。かつ、冷静さも持っているので、すごくやりづらいというか、嫌だなと思う選手です。

――先ほど外国籍選手よりも、とおっしゃっていましたが、すごく体格やフィジカルのいい外国籍選手に対しては?

そのほうが、やりやすい感覚があります。単調というか、技術的には日本人選手のほうがうまいので。だから、フィジカルとフィジカルで勝負するところには、そんなに負ける感じはしないんです。

――様々なポジションでプレーができますが、中盤(ボランチ)に入るときは何を心がけていますか?

中盤で入る時は、自由にやらせてもらっています。周りの選手がサポートしてくれるので、そこは考えすぎず、なるべく迷惑がかからない程度にプレーしています。

――自分のやりやすいようにプレーできている。

はい。チームのみんながすごく支えてくれています。自分のミスもカバーしてくれているので、すごくありがたいです。

――自身のプレースタイルに対するこだわり、ここだけは負けたくない部分を教えてください。

1対1ですね。抜かれるとか、個人と個人の争い、そのところでは負けたくないです。

――自身が目指す選手像は?

DFをやっても中盤をやっても、攻撃的なプレーもそうですし、守備でも安定感あるプレーができる「いい選手」です。僕はうまい選手じゃないので『チームに1人いたらいい選手だよね』みたいな、そういう存在になれればいいと思っています。

――こういう選手になりたいという具体的な選手はいますか?

中盤だったら田中碧選手(川崎F)ですね。攻守ともにすごい。攻撃もすごくうまいし、守備でも体が強いし、安定感がある。ああいうプレースタイルの選手にすごく憧れていますね。

――では、自分の課題は?

課題は戦術的な理解ですね。中盤だったらビルドアップしてゲームを組み立てる力というのはないですし、ゲームバランスを読み取ってプレーするというのもあまりできないので、そこが課題です。

――今持っているものに、そういうところをプラスしていきたい。

はい。

――これからも過密日程が続きます。その中でプレーの質を保つために努力していることは?

週1の試合より連戦のほうがいいんです。試合が多いとコンディションも上がるので、自分的にはうれしいです。練習より試合のほうが好きなので、試合がたくさんあってすごくありがたいです。

――リーグ戦、今後の抱負を教えてください。

勝ててはいないので、もっと得点にもこだわっていかないといけないと思います。守備面は今のまま継続して、そしてたくさん得点を取る。勝ち切れるチームになる。そして、もっと上位に食い込めればいいなと思っています。

■MF 32 田中 聡(Satoshi TANAKA) 2002年8月13日生まれ、18歳。174cm/70kg、長野県出身。長野FCガーフJr,-AC長野パルセイロU-15-湘南ベルマーレU-18を経て今季トップ昇格。J1通算30試合出場1得点(2021年5月16日時点)。

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