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【NXGN Jリーグ】J1初挑戦のジュビロ磐田FW吉長真優、ベンゼマに憧れたCFは「やったことがなかった」WBで活力を注入/インタビュー

 6月中の明治安田生命J1リーグ2試合を1勝1分け無敗で走ったジュビロ磐田。吉長真優は第17節サガン鳥栖戦でJ1初先発を飾って3-1の勝利に貢献すると、続く第18節川崎フロンターレ戦でも連続先発で1-1の引き分けを支えた。20歳FWは右ウイングバックのポジションからチームに勢いを与える印象的なパフォーマンスを披露している。

 『GOAL』では「NXGN Jリーグ」の6月度月間最優秀若手選手に吉長を選出し、DAZNとサッカーメディアで構成する「DAZN Jリーグ推進委員会」の枠組みでインタビューを実施した。(インタビュー日:7月11日 聞き手:上村迪助/GOAL編集部)

■指揮官からの要求は「縦への仕掛け」

20220714_NXGN_Yoshinaga2(C)Getty images

――大きく出場時間を伸ばしている今シーズン。ここまでを振り返っていかがでしょうか。

以下に続く

 昨シーズンのケガから今シーズンに移り、少しでも100%で入れるようにキャンプ期間から意識しました。

――ここでは6月のお話を伺いたいのですが、代表ウィークの影響でリーグ戦が2試合のみとなる中で第17節鳥栖戦、第18節川崎F戦を戦いました。タフな相手と対戦しての手応えや、反対に課題に感じたことをお教えください。

 通用すると思ったのは縦への推進力だったり、あとは仲間と連携して崩しにいったりする部分です。縦への突破は自分の自信になりました。まだまだ足りないなという部分は、守備の部分だったり、個の一対一の部分です。経験のある選手が多くてすごく強いし、上手いなと思ったので、そこは課題だと感じています。

――鳥栖戦がJ1初先発となりましたが、積極的な姿勢が目立っていた印象です。鳥栖のサイドを押し込むというような気持ちも感じましたが、伊藤彰監督からはどのように言われて試合に入りましたか?

 サイドをしっかり攻略して、クロスを1本でもより多く上げるようにと言われています。縦に仕掛けるところもです。『縦にしっかり仕掛けていけ』というのは毎試合言われています。

――続く川崎F戦では勝利ではないですが、連覇中の王者とドロー。ご自身ではチームにどのような影響をもたらせていると感じますか?

 相手に押し込まれる時間帯が長かったですが、少しずつオープンな展開になってきた時に、少しでもラインアップするために自分が少し運んだり、縦に仕掛けたりすることによって、全体的なラインが上がってそこからまた前にプレスができるようになったと思います。しっかり縦にいくことで全体的なラインを上げるということが、すごく大事だと思いました。

――その縦への突破、推進力はとても目立っているように思います。その長所の使い方も、試合の中で苦しい時間に発揮しているように見えました。

 そうですね。自分が苦しい時もありますが、その時はたぶん相手もきつい状況なので、そこで頑張って一対一を仕掛けます。抜けなくても結果的に、例えばマイボールになったり、相手ボールになってもそこからプレスをかけたりできるので、そこはすごく意識しています。

――チームを楽にするという部分も大きいと思いますが、同僚との関わりではポジション的にも遠藤保仁選手からのボールを受けることが多いのではないでしょうか。

 ヤットさん(遠藤保仁)の顔が上がった瞬間が動き出すタイミングなので。どのタイミングで動いてもボールが来るので、受ける前ぐらいから「あ、来そうだな」と準備をします。裏だったり、足下にすぐ合わせてくれるので、あとは自分が信じて走るだけという感じです。

――遠藤選手からの要求があるというより、動いたら合わせてくれるというイメージでしょうか?

 はい。(裏でも足下でも)どちらに行っても出してくれるので。

――キャリアの中で様々なポジションを経験されているかと思いますが、現在のウイングバックでのこだわりを教えてください。

 今は縦に突破することをすごく意識していて、そこの一対一は誰にも負けたくないと意識しています。縦に仕掛けてCKやクロスでチャンスを演出することは、自分の大きな強みかなと思っています。

■中学時代の厳しい指導がベースに

――ここからは吉長選手のサッカーの原点についてお聞きしたいと思います。まず、サッカーを始めたきっかけは覚えていますか?

 始めたきっかけは、親がスポーツをやらせたいということで色々なスポーツをやっていました。親が野球をやっていて、その影響で最初は野球をやりましたが、あまりしっくりこなくて。その次にサッカーをやらせてもらって、サッカーの方がすごく自分に合っているというか。楽しかったので、気が付いたらサッカーをやっていました。

――野球では守っていたポジションなどありましたか?

 いえ、そこまで行く前に、バッティングとかで遊ぶぐらいでした。全然当たらず、「ダメだな」みたいな感じだったので全然楽しくなくて。それでサッカーをやり始めました。

――そこから中学生時代はFC府中で成長し、成立学園高校に進学。印象深かった指導者の方々を振り返っていただけますでしょうか。

 中学生の時は、FC府中の監督を務める戸塚(亮)コーチが指導してくれていました。印象に残っているのは、毎回練習が厳しく、集中していないと結構強く言われてしまうので緊張感がありました。高校よりも中学時代の方が厳しくて、ワンプレー、ワンプレーへのこだわりは中学の時に学び、それはすごく経験になったと思います。高校生の時は、今は引退してしまった、宮内(聡/元日本代表MF)さんという総監督の方がいました。自分が1年生で初めてトップチームに上がった時の監督で、1年生でまだ全然分からないことだらけでしたが、自分の強みを引き出してくれました。自分はFWで、シュートがすごく得意だなと思ってシュートばかり打っていて、それを評価してくれていました。シュートの意識など、その強みを引き出してくれたのがその監督だったなと今振り返って思います。

――プロになるという意識はどのくらいからしていましたか?

 意識し始めたのは高校2年生の時です。当時、1個上の高校3年生の先輩から2人のプロが出て、その時に「ああ、すごいな」と間近で見て思い、それが意識するきっかけになったと思います。

――そしてプロに入り、伊藤監督からもウイングバックとして手厚い指導を受けているかと思います。慣れないポジションへの戸惑いはありましたか?

 ありましたね、慣れないので。ウイングバックはやったことがなかったです。なので最初は守備が全然できなくて。攻撃は縦に上がっていくプレーは得意だったので、そこはたくさんやっていましたが、最初は全然守備ができなくて何度も指導されました。

■海外サッカーも“水色のチーム”を応援

20220714_NXGN_Yoshinaga3©JUBILO IWATA

――『GOAL』ユーザーには海外サッカーへの興味が強い方々も多いので、それについての話題もお聞かせください。まず、海外サッカーを観戦することはありますか? 注視してきたクラブがありましたらそちらもお教えください。

 (海外サッカーは)見ますね。ずっとマンチェスター・シティが好きで。物心ついた時からすごく好きでした。もともと水色が好きで、水色の海外のチームを探していたらマンチェスター・シティが一番に(目についた)みたいな感じで、小さい頃からずっと好きです。

――特にお気に入りの選手はいますか?

 昔好きだったのは、(DFヴァンサン)コンパニ。引退しちゃいましたけど。全然ポジションは違いますが、すごく強くて、見ていて面白いです。守備ですが、自分に無いからこそすごいと思うところがいっぱいあって、そこが魅力的でした。

――マンチェスター・シティを好む方は戦術的な見方が好きというイメージを個人的に抱いています。吉長選手もそういった見方をされることはありますか?

 そうですね。自分は元々パワー系ではないので、戦術をしっかり話すというか、チームで統一した意識でやるということがすごく好きです。マンチェスター・シティのサッカーを見ていてもすごく面白いですし、一人ひとりがどういう意識でやっているかということも考えるとすごく面白いなと、見ていて思います。

――FWとして参考にしていた選手などはいますか?

 昔から(FWカリム)ベンゼマが結構好きでした。高校の時はよくベンゼマのプレー集を見て、どうやって点を取るのか、こういうゴール前の動きをしたら点を取りやすいだろうなとか研究していました。

――個人のキャリアの中で、長期的な目標としているタイトルや個人賞はありますか?

 バロンドールですかね。……すみません、バロンドールはちょっと規模がデカいので変えさせてください(笑)。獲ってみたいのは、個人としては昔から「Jリーグの得点王」と言っています。でも、チームとしてはJ1の優勝はすごく経験してみたいなと思います。

――最後の話題に移らせていただきます。J1昇格組としてタフな戦いが続きますが、今後の意気込みをお聞かせください。

 今、J1リーグでチームが苦しい状況にありますが、少しでも、1つでも順位を上げられるように、チームに貢献できるように。若手もベテランも一つになってチームが少しでも上に行けたらいいなと思います。

――サポーターの方へのメッセージをお願いします。

 今、苦しい状況の中で、目の前の一戦一戦にチームが勝てるように毎日練習をして精進しています。次の試合に勝って勢いに乗り、そこからさらに一試合一試合勝っていきたいと思います。

――ありがとうございました。

 ありがとうございました。

■プロフィール

FW 27 吉長真優 Mahiro YOSHINAGA

2002年3月20日生まれ。174cm/65kg。東京都出身。利き足:右。FC府中-成立学園高を経て2020年に磐田に新加入。J1リーグ通算12試合、J2リーグ通算5試合、ルヴァン杯通算6試合出場。(7月14日時点)

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