2020-08-20-kawasaki-mitoma🄫J.LEAGUE

5試合連続ゴールの三笘薫。特筆すべき個を川崎フロンターレが活かせる理由

■守備のリズムはC大阪にあった

 少し大袈裟かもしれないが、昨シーズンのリヴァプールを見ているかのようだった。それほどに今の川崎フロンターレは抜きん出た強さがある。

 ミッドウィークに行われた首位攻防戦。リーグ最多得点を誇る最強の矛・川崎Fは、リーグ最少失点の最強の盾・セレッソ大阪を相手に5-2で勝利した。

 試合全体を通して見れば、内容は五分五分だったように思う。後方からボールをつないでいきたい川崎Fに対し、C大阪は前線からビルドアップを分断させつつ、奪ったらアンカーの脇を狙う。守備のリズムが良かったのは、むしろC大阪のほうだった。

 それでも今年の川崎Fは武器が豊富だ。直接FKから脇坂泰斗が沈め、PKで家長昭博が逆転弾を奪取。相手に先制点を奪われても、なかなか攻撃のリズムが生まれなくても、難しい状況の中でセットプレーから得点を奪ってしまうのだから造作もない。

 また、後半の難しい時間帯を乗り切ったのは“個”の力だった。

 58分に瀬古歩夢のゴールによって1点差とされた後、相手の攻勢を受ける時間が続いた。しかし、75分、左サイドでボールを得た途中出場の三笘薫が相手の股を通す技ありのシュートでゴールを奪取すると、その2分後には、今度はドリブルで相手を翻弄し、ラストパスのこぼれ球をレアンドロ・ダミアンが沈めて大きな5点目が生まれた。

■圧倒的な個を披露する三笘

 組織で崩せないなら個で崩せば問題ないと言わんばかりに、三笘の強烈な個で試合を決めてしまったのである。

 この試合で公式戦5試合連続ゴールを奪った三笘は、ジョーカー的な存在として圧倒的な個を披露している。独特なリズムのドリブルで相手をかわし、ゴール前では積極的なシュートへの意識で得点を量産。もちろん課題は多いが、そのプレーは見るものを魅了している。

 加えて、三笘の特筆した個をより生かしているのは、チーム全体のハードワークだ。敵将のロティーナ監督が「(試合途中に)フレッシュで素晴らしい選手が出てきて、我々の後ろ(の選手)も疲れていたので、そこから2失点をしてしまった」と振り返ったように、前半からボディブローを打ち続けたことが相手の足を止め、自分たちの個を生かす土台を形成することにつながっていた。

 セットプレーや個といった武器を持ち、それでいてチーム全員がハードワークを欠かさない。負けていようが、内容が悪かろうが、隙を逃さず勝利に持っていく強さは、昨季、プレミアリーグで圧倒的な強さを見せたリヴァプールと重なるところがある。

 果たして、この連勝はどこまで続くのか。川崎Fの進撃は、まだまだ止まりそうにない。

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