2021シーズンの明治安田生命J1リーグ開幕戦となった川崎フロンターレと横浜F・マリノスの神奈川ダービー。唯一の金J開幕とあって多くのJリーグサポーターが、今季を占う一戦に注目していたに違いない。昨季、独走でリーグを制した王者・川崎Fの力は、今季も健在なのか。それとも付け入る隙があるのか。
■新加入選手がスムーズに融合
(C)Getty images結論から述べれば、王者の回答は前者だった。開幕戦で立ち上がりから試合の主導権を握った川崎Fは、相手の動きを見ながらワンタッチ、ツータッチのパスを折り込むことでプレスを回避。どの位置でプレスをかけてこようが関係なく、テンポよくボールをつなぐことで敵陣に侵入していった。21分、43分と華麗なパスワークから家長昭博がゴールを奪ったが、「2点でよく済んだ」というのが試合を通した総評だ。
もちろん、横浜FMが相手をリスペクトし過ぎた影響もある。川崎Fの囲い込んでいくようなプレッシングを必要以上に恐れ、選手間の距離が遠くなり後方からのビルドアップに苦戦。後半に立て直して押し込む時間もあったが、決定機と言えるのはオナイウ阿道のシュートが左ポストに阻まれたシーン程度で「完敗」というのがおおよその見解だ。
「FUJI XEROX SUPER CUP2021」で公式戦を1試合こなしていたアドバンテージを差し引いても、川崎Fの強さは明白だった。特にベースとなる戦い方の成熟度が明らかに違っている。
ジョアン・シミッチを筆頭に、新加入選手が昨季から施行する[4-3-3]のシステムに溶け込んでおり、局面での周りのフォローの仕方もすでに構築されていた。この点で、連覇可能と言い切るわけではないが、特に序盤戦はうまく走るのではないかと予想する。
一方、相手や試合の状況があるとはいえ、押し込まれた後半に選手交代を駆使して盛り返すまで至っていないことは数少ない課題だろうか。
昨季のように途中出場の選手が流れを変えたり、ギアを一段階上げるといった状況が出てくれば、さらに手がつけられないチームになるだろう。今後、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を含め過密日程となる中、そこで変化を付けられる選手が出てくるかが川崎Fの連覇の鍵となるのではないか。そう感じた開幕戦だった。
文=林遼平
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