23日に行われた2020年度第6回理事会において、Jリーグは10件もの事項を決議。リーグ戦再開前の最後の承認の場において、多岐にわたる決定を下している。
新型コロナウイルスの影響で2月から中断・延期が続いている明治安田生命Jリーグだが、6月27日にはJ2、J3、7月4日にはJ1の試合が開催。感染拡大状況も予断を許さず、少なくとも7月10日まではリモートマッチになるとはいえ、国内サッカーにとってはひとつの区切りとも捉えられる大きな前進となる。
そして、新型コロナや過密日程の影響が懸念されるなかで、23日に行われた理事会はリーグ再開・開幕前の最後の承認・決議の場となった。理事会後の会見で示された見解や説明を踏まえつつ、23日に発表された全10項目を紹介する。
■順位決定方法変更
2020シーズンの明治安田生命J1、J2、J3リーグにおいて、リーグ戦終了時に勝ち点が同じだった場合の順位決定方法を変更。なお、村井チェアマンは「全チームが同じ試合数で終えられない可能性」があると口にしており、試合数に比例する傾向がある要素の優先度が下げられた。
【変更前の順位決定方法】
- 全試合の得失点差
- 全試合の総得点数
- 該当するJクラブ間の対戦成績
(勝ち点>得失点差>総得点数) - 全試合の反則ポイント
- 抽選
【変更後の順位決定方法】
- 全試合の得失点差
- 該当するJクラブ間の対戦成績 ※
(勝ち点>得失点差>総得点数)
(H&Aの2試合実施の場合のみ) - 全試合の勝利数 ※
- 全試合の総得点数
- 全試合の反則ポイント
- 抽選
※変更点
■VAR導入見送り
2020シーズンはJ1とJリーグYBCルヴァンカップのプライムステージにて導入されていたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)は、見送られることが決定。例年よりも短期間で開催されることを受け、過密日程の中で1試合あたりに派遣できる審判員の人数を考慮した結果、継続は困難との判断が下された。例年通り原則4名の審判で判定が行われるが、村井チェアマンはこの窮地でこそ審判、選手の両方にリスペクトを求めている。
■試合開催可否決定条件
新型コロナの影響下におけるJリーグ公式試合の開催可否条件が制定された。各試合にて各チームはキックオフの150分前までに必要事項を記入した「Jリーグメンバー提出 用紙」を運営に提出しなければならないが、エントリー資格の条件として体温が37.5度未満であることなどが定められている。
なお、エントリー可能なトップチーム登録の選手が14名(ゴールキーパー1名を含む)以上いる場合は予定通り開催。試合開催2日前の正午時点からエントリー開始までに基準人数を満たさない場合は、即刻中止ではなく、クラブがJリーグに連絡したうえで開催に向けた努力が求められる。また、審判員についても体温が37.5度未満などの参加条件が定められ、基準人数は3名とされた。
■表彰及び賞金について
Jリーグの大会(J1、J2、J3、ルヴァン杯)結果による各個人賞、順位による賞金の額が従来の規定の50%に減額。具体的には、J1優勝賞金は3億円から1.5億円に下がり、最優秀選手賞も200万円から100万円に変更されている。なお、以前の会見にて、村井チェアマンは減額分がすべて新型コロナ禍で経営を圧迫されたクラブの補填に充てられることを強調していた。
■第2登録期間及び追加登録期限の変更
2020シーズンのJ1、J2、J3の出場資格を得るための第2登録期間(ウインドー)と追加登録期限が変更。第2登録期間は2020年7月17日(金)~8月14日(金)となっていたものが、7月31日(金)~8月28日(金)となった。追加登録期限は、各カテゴリのリーグ戦が9月18日(金)までから11月6日(金)までに変更されたが、ルヴァン杯については10月2日(金)までのままで変えられていない。
■「Jリーグ検査センター」の設置
6月5日より「Jリーグ検査センター(略称:JCTC)」を設置。新型コロナ対策として公式戦の再開・開幕に向けた体制を構築するにあたり、検査全般の企画・運営を行う。一部を株式会社シーユーシーと株式会社シーユーシー・アイデータに業務委託し、2週間に一度の頻度でJリーグ全選手のPCR検査を実施する。
スキームとしては、定められた週の金曜日に検体を採取し、翌週の水曜日の13:00を目途に検査総数、陽性数、陽性確定数、継続検査の有無が定期的に公示。追加報告は、各界の陽性者数が判明した時点で行われる。なお、JCTCにて陽性判定が示された場合も確定ではなく、医師の検査を受けて初めて陽性が確定となることも留意点だと説明された。
■リーグ戦安定開催融資規定に関する特則
Jクラブがリーグに申し込むことができる融資について、これまでは時限的な特例措置を適用してきたが、金融機関とのコミットメントラインの締結により原資が確保され、融資期間の延長が可能に。「リーグ戦安定開催融資規程に関する特則」が正式に制定された。
従来、融資の原資は10億円だったが、金融機関のリーグへの貸出極度額である100億円に増額。さらに、融資期間と最終返済日にも変更が加えられた。
■コロナ禍によるJリーグ規約規定の改定
新型コロナによる影響を鑑みて、「Jリーグ規約」や「リーグ戦実施要項」などの規定が改定された。Jリーグ規約においては「Jリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインの遵守義務」と「エントリー資格認定委員会」、リーグ戦実施要項においては「エントリー」の要件が明示されたものや「新型コロナウイルス感染症の影響下での試合開催可否判断方法」などの条項が新設。それらの新設も含めると、計87の条項が変更された。
■医療従事者に感謝を伝えるセレモニー
6月27日に再開・開幕するJ2、J3と7月4日に再開するJ1のホーム初戦において、新型コロナに対し最前線で闘っている医療従事者などの方々への感謝を伝えるセレモニーを全クラブで実施することを決定。キックオフ前にソーシャルディスタンスを保ちながら並び、拍手で感謝を表す。
■奈良クラブ、Jリーグ百年構想クラブ認定について
新型コロナに関連する事項ではないが、通常の理事会での決議事項として承認。Jリーグ百年構想クラブ規定およびJリーグ規約に反する行為により、百年構想クラブの資格を解除条件付き失格となっていた日本フットボールリーグ(JFL)の奈良クラブだったが、失格が解除されて再認定された。
Jリーグ入会条件のひとつである入場者数に関して、水増しを行っていた奈良クラブが2021シーズンJ3クラブライセンス申請を行うためには2020年6月の理事会で失格が解除される必要があり、それに間に合うことに。JリーグはJFLからの入会を審査する立場にあるが、村井チェアマンは新型コロナ禍でも基準を満たせばJ3新規参入の可能性はあると述べている。
