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日本代表にも影響大!FIFAが画策する日程変更に「選手の意思」が尊重されないワケ

間近に迫ったカタール・ワールドカップ。11月20日の開幕に向け、日本代表を含む各国代表メンバーも発表され始めるなど、いよいよ4年に一度の祭典に向けてムードも高まってきた。

そんな中、現在FIFA(国際サッカー連盟)では「フットボールカレンダーの変更」が話し合われている。現在のクラブチームや代表チーム活動の日程を見直し、2024-25シーズンから新たな日程が運用されることになるという。「何十年に一度」とも言われるカレンダーの変更だが、イタリア在住ジャーナリストの片野道郎氏は、配信中の『GOAL Japan』ポッドキャスト内で以下のように語っている。

「年間のクラブサッカーと代表サッカーの日程は、世界レベルで統一されています。これがUEFAの放映権更新などのタイミングとうまくかみあって、一番大きな見直しができるタイミングは2024年になります。2024-25シーズンから新しいカレンダーでやろうというのは、2000年代後半からずっと話が進んでいます」

「去年(2021年)にFIFAがワールドカップの隔年開催案を出した時、フットボールカレンダーの見直しもセットで明かしています。ワールドカップを隔年で開催するということは、ワールドカップをやらない年にEUROなど各大陸の大会を開催することになります。今のアジアカップとアフリカ・ネーションズカップも『頼むから一緒のタイミングにしてくれ』というのも含めて、6月の1カ月間は毎年、代表チームのビッグトーナメントに充てようというものです」

「今の代表ウィークは9月、10月、11月、3月という4回、すべて週末を潰して行っていますが、代表チームとしてはまとまった強化の時間を取れず、選手は移動が大変で、問題がたくさん出ています。それも含めて『代表活動の日程をまとめよう』というのが、クラブ側とFIFA側の両方の要請としてあります。昨年(アーセン)ヴェンゲルが語っていたのは、10月と6月に代表活動をまとめるという案。10月に予選を行い、6月に本大会を行う。もう1つは、10月と3月に代表期間を設けて予選を行い、6月に大会を行うという案でした。その代わりに、7月は完全なオフ期間にするというものです」

■選手の負担増加が止まらない理由

しかし、FIFAが明かしていた新たな案には問題が山積み。特に選手への負荷を考慮していないものとなっているが、その理由について片野氏はこう指摘する。

「こんなに日程が詰まってしまうと、選手は移動とハードワークでボロボロになってしまうし、選手側としては『これ以上試合を増やしてどうするんだ』というのがあります」

「しかし今のFIFAの中には、大会のスケジュールなどを決める意思決定のフェーズにおいて、選手のニーズが入ってくる余地がない。各国の代表が投票して決めているだけなので。FIFA加盟国は200以上ありますが、そうした(選手の)事情をわかっている国は少ない。今の流れでは、選手にとって『選手生命を圧迫する』ものにしかならないですね。ワールドカップを例にしても、1カ月以上かかるわけで。(例年)6月半ばから~7月頭まで行いますが、試合数が増えれば7月の半ば以降までかかります。そして(欧州主要リーグの)新シーズンは8月から始めないと間に合わないので、オフがほとんどありません」

「こういうことが続くと、選手は『何年間かで搾り取られて、そのまま選手生命が終わってしまう』というキャリアにならないとも限らない。そういった状況なのに、また試合を詰め込むのかと」

「代表の日程を増やすには、各国リーグの日程を減らさなければいけない。リーグを『18や16チームにすればいい』というのはわかりますが、実際にプレミアリーグやセリエAがそうするのか? というと、しないですよね」

「今の状況としては、クラブの日程も潰せない中で代表の日程もこれ以上増やすとなると、『じゃあどうする?』ということで、クラブサイドとFIFAサイドで熾烈な陣取り合戦を水面下で行っているということです」

その上で片野氏は、「代表の日程をまとめて、今4回あるものを2回か1回にすることにはなると思います」と予想している。

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