日本代表は14日、AFCアジアカップ カタール2023の初戦でベトナム代表と対戦する。“絶対的優勝候補”としてのプレッシャーを跳ね除けるためのポイントや、予想フォーメーションは?【取材・文=林遼平】
■世界が注目する日本の強さ
(C)Getty images現地・カタールで他国の記者やボランティアスタッフに声をかけられると必ず言われる。
「日本は強い。見るのが楽しみだ」と。
絶対的な優勝候補だ。カタールW杯後、第二次森保ジャパンの初陣となった3月シリーズこそ1分1敗で終わったが、その後は9連勝で脅威の39得点を奪取。世界各国が日本に注目するほどの力強さを見せている。
だが、優勝候補がそのまま優勝できるほど甘い世界でもない。歴史を振り返っても、優勝候補と言われるチームが頂点に立つことなく散っていく場面は、世界的な大会でもよく見られる。普段以上のプレッシャーが掛かり、相手からの警戒がより一層高まる。そういった状況を勝ち抜いていくことの難しさは誰もが知っているはずだ。
それでも、今回のアジアカップで日本代表が目指すのは優勝のみ。
「僕らの目標はW杯で頂点に立つということ。目標から逆算して考えるとアジアは絶対的に勝ち取りたい」(谷口彰悟)
もちろん驕りは禁物だ。自分たちの力を信じ、高い志を持ちながら、目の前の試合に集中して一つひとつ勝利を積み重ねる。決して簡単ではない戦いを勝ち進んでいくメンタリティがチームには求められる。
■日本をよく知る相手指揮官
(C)GOALいつ、どんな時にでも言われることだが、やはり初戦は重要度が高い。
前回大会を思い出してほしい。逆転勝ちはしたが、トルクメニスタン代表を相手に先制点を許す難しい展開を強いられた。開幕戦となったカタール代表とレバノン代表の試合を見てもそうだ。ホームの利を得て戦えるカタールの優勢はわかっていたが、前半の終了間際にゴールを奪えていなければ、どんな試合になっていたかわからない。戦力的に上回っていようが、初戦は独特な雰囲気が漂っているもの。そんな嫌な空気を打ち破り、今後の試合に繋げていくためには先制点が大きな意味を持つことになる。
「どんな相手でも、こういう大きい大会の初戦はすごく難しくなり得るシチュエーションだと思っている。もしかしたら僕たちがボールを支配する状況になるかもしれないけど、それでも不用意な連続したミスから失点に繋がることもある。そうすると、すごく試合展開が難しくなったりすることも考えられる。僕らがドイツ相手にW杯で見せた展開もあり得るので、まずは自分たちのできることにしっかりフォーカスして、先制点を取るということ。やるべきことをしっかりやることが大事になる」(南野拓実)
対戦相手のベトナムは、日本をよく知るフィリップ・トルシエ監督が率いるチームだ。コンパクトな形を徹底し、一つのチャンスを狙って割り切った戦い方をしてくることも考えられる。そういった相手の策に付き合うことなく、巧みに状況を判断しながら自分たちのやるべきことを追求していくことができるかが鍵となる。
「我々もベトナムを分析し、やるべき攻守のコンセプトをよりアグレッシブに出していけるように(していきたい)。より難しい戦いになると気持ちの面で覚悟しながら、どんな戦いでも最終的には勝利できるように、アグレッシブさと我慢強さ、粘り強さを持ち合わせて戦いに挑みたい」とは森保一監督の言葉。険しい道を勝ち進んでいく上でも重要な初戦。組織的にも、個人個人でも相手を上回り、価値ある最初の勝ち点3を掴みにいく。

