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U-24日本代表のラストサバイバル。ジャマイカ戦で“岐路”に立たされる選手たち/プレビュー&予想布陣

■本大会前、最後のアピールの場

 東京五輪代表が始動した2017年12月。当時、就任したばかりの森保一監督は「ラージグループ」で選手を見ていくために、その年に開催されたU-20ワールドカップ組のメンバーを選ばず、大学生5人を含む多彩なメンバーを選出したのを覚えているだろうか。

 それから約3年半の時が経ち、今回のジャマイカ戦が本大会に挑むメンバー発表前、最後の試合となる。非常に多くの選手たちが代表のユニフォームに袖を通してきた中で、彼らは様々な舞台で大きな飛躍を遂げてきた。国内、欧州で、それぞれ名を上げてきた選手たちは、ここでどんなプレーをピッチで表現するのか。

 すべてがここで決まるとは言わない。だが、結果が求められる試合で示すことができなければ、本番でも示すことはできない。ジャマイカ戦は多くの選手にとって最後のアピールの場となる。

■試合への準備はできている

20210612_U24Japan_Form(C)GOAL

 急きょマッチメイクされたA代表との試合、5日に開催されたU-24ガーナ代表との試合は、どちらも万全ではなかった。スクランブルな対応を求められ、短い時間のトレーニングを通してコミュニケーションを深めることができず、連携面やコンディション面を含めてハードな戦いを強いられていた。

 しかし、今回は違う。前回のガーナ戦から中6日。ハードスケジュールによりオフの日を入れるなど、コンディション面に配慮してきたとはいえ、それまでの2試合よりトレーニングをする時間もあれば、ピッチですり合わせる時間も得ることができた。

 それは「すべてのことを落とし込むのは難しかったが、優先順位をつけながら、選手もそれを理解をしながら練習してくれたと思う」という横内昭展監督の言葉にも表れている。トレーニングからオーバーエイジ(OA)の選手たちとコミュニケーションを取る選手も日に日に増えており、ゲームへの準備はそれまでの試合とは比べ物にならないほど積み上がっていると言っていい。

■ギリギリ招集の瀬古は「やったらなあかん」

20210612_U24Japan2(C)Getty images

 ならば、この試合で期待したいのは、チームとしても個人としても結果を残すことだ。「僕たちが一番求めているのは目の前の試合に勝つこと」と横内昭展監督(本大会は森保監督が指揮)が言うように、勝利することを大前提として上で、一人ひとりが何を表現できるかがテーマとなる。

 特に当落線上の選手たちは「これが最後のチャンス」だと理解しているはずだ。冨安健洋の負傷離脱により追加招集された瀬古歩夢は「正直なところ、もう可能性はないと思っていた」と語りつつ、今回の試合に向けて素直な思いを口にしている。

「やる気に満ち溢れてます。もう一度アピールするチャンスをもらえたからには、『しっかりやったらなあかんな』という気持ちです。最後のチャンスをもらえたと思っているし、これをモノにできるようにアピールしたいと思っています」

 一人ひとりがそれぞれの思いを胸に秘めてピッチに立つ。空回りしてしまうかもしれないし、いつも以上のパフォーマンスが出せるかもしれない。それでも、どんな結果であったとしても選手たちには悔いのないプレーを見せて欲しい。

 監督に「この選手を連れていけば何かが起こるかもしれない」と思わせるのは誰になるのか。ジャマイカ戦は東京五輪という一つの“岐路”に差し掛かる選手たちのラストサバイバルだ。

取材・文=林遼平

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