■有言実行の決勝弾
「めっちゃ楽しみです。久しぶりの海外やし、Jリーグでもちょこっと(外国籍の選手と)やっただけですから」
そう言って笑顔を見せていたのは、フランスに渡って最初のトレーニングを終えた直後だった。今季のJリーグで華々しくデビューを飾り、その才能の片鱗を見せてきた男は、中学3年生で参加したU-16日本代表のトルコ遠征以来となる国際舞台を心待ちにしていた。
「スカウトも結構来ると聞いていますし、“そういう大会だ”というのはセレッソの小菊昭雄監督からも言われてここに来ました。『セレッソをジャンプ台にして世界に出て行け』というのは言われてここに来ました」
リヴァプールの日本代表MF南野拓実など次から次へと才能豊かなタレントを欧州に送り込んできたのがクラブの伝統。世界にアピールしてこいと言って背中を押されて日本代表に来た以上、「絶対に結果を残さないといけないと思っている」という決意を固めて臨む舞台だった。
実は「けががあって、この大会に間に合うかなという感じだった」という状態だったが、順調に回復。楽しみでしかなかったこの大会に合わせるかのようにコンディションも上がってきていた。
「楽しみにしていてください!」
得点を期待する記者の声に、そう笑って応えていた。
■普段の環境では味わえない感覚
Akihiko Kawabataそして臨んだモーリスレベロトーナメントの初戦。アフリカの強豪アルジェリアを相手にしながら、北野は「久しぶりの感覚」を思い出しながらプレーを続けていた。
「やっぱり日本でやっているときとの差が大きい。相手のリーチの長さだったり、フィジカルもそうですし、足の速さというところも、久しぶりに『世界やなあ』と感じていた」
持ち出せる間合いだと思ったボールが持ち出せない、通ると思うタイミングのパスが通らない。「いつもやったらそのままドリブルでいけるところでも足が伸びてくる」(北野)。日本人同士の試合では感じられない間合い、テンポの違い、あるいはレフェリングにも手こずり、戸惑いを隠せない様子だったのは北野に限った話ではない。チーム全体として苦戦を余儀なくされる流れだった。
ただ、難しい展開の中で迎えた一つのチャンスを桜のサッカー小僧がものにした。
57分、FW二田理央が競り合ったボールのこぼれ球だった。「こぼれてくるなと分かっていた」という予測と準備から、相手の動きも視野に入れつつ、「冷静にコースを見られて打てた」という左足シュートがゴールネットを揺らす。
「1対1は結構が苦手で、リーグ戦でも外してしまっていたので、今日ここで落ち着いて決められたのは自信になる。本当に嬉しかったです」
その後は守備でも奮闘。「そこは最低限のところなので。GK含めて後ろの選手もみんなが戦ってくれていたので、点を決めたからとサボっていいわけじゃない」とスタミナが切れて交代するまで戦い抜き、「全員が集中して守って勝てた。感謝しかない」と初戦での白星を喜んだ。
互いに国を代表して戦う代表戦ならではの緊張感と、普段の環境では味わえない感覚となる外国勢相手の試合。国際試合ならではのゲームについて北野はこう振り返った。
国際舞台から長く遠ざかってきた世代の世界への挑戦が再び始まる。そんなことを強く感じさせる試合で見事に結果を出した男は、「いや、めちゃくちゃ楽しかったっすよ。楽しかった」と噛みしめるように語りつつ、最高の笑顔を見せた。
