インドで開催されているAFC女子アジアカップ・グループステージを2勝1分の首位で終え、ベスト8に進んだなでしこジャパン(日本女子代表)。30日17時(日本時間)、準々決勝でタイ代表と戦う。この試合に勝つと、FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023出場が決まる重要な一戦だ。
■好調を続けるアタッカー陣
日本は重要視していたグループステージ首位通過は達成したが、3日前の韓国戦で試合終了間際に失点。1-1と引き分け後味が悪くなったことは否めない。
長谷川唯(ウェストハム・ユナイテッド)は「負けなかったことはチームとして自信になるが、韓国戦は勝ちを目指して戦ったので、そういう部分では満足できない部分のほうが大きい」と、アジアで勝ち切る難しさを痛感したように話した。池田太監督も「サポートの数やボールを動かすテンポは、もっともっと成長できれば。GSを突破した満足はあるが、もう少しコンビネーションも磨かないと」と、フィニッシュの質を上げるために、まずはその前段階の質を上げることを指摘した。
ただGSを振り返ると、猶本光(三菱重工浦和レッズレディース)が蹴るセットプレーの得点が多かった点に加え、植木理子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、成宮唯(INAC神戸レオネッサ)、長谷川とアタッカー陣が好調なのは、決勝トーナメントを戦うにおいて心強い。
特に植木は自らの持ち味を発揮し、前線のポジション争いを激化させている。
現在22歳の植木は2019年女子W杯と昨年の東京五輪出場を逃しただけに、「これからなでしこジャパンに定着するため、結果を残し続けることが絶対に必要」と、覚悟を決めて今大会を迎えた。そして初戦はヘディングの強さ、韓国戦はディフェンスラインの裏に抜けるスピードで相手を凌駕。今後も期待が膨らむが、疲労面を考慮してタイ戦はベンチスタートになるのではと予想する。
GOAL■タイ代表にコロナ発生
一方、韓国戦の2日前からチームに合流した岩渕真奈(アーセナル)は、未だ出場がない。タイ戦では後半のどこかで途中出場し、準決勝以降に向けてコンディションを上げることが望まれる。日本はGS全試合を同会場で戦ったが、今回は、中2日で移動を伴ってタイ戦を迎えるため、コンディション調整もカギとなる。仮に大量得点が叶えば、準決勝以降を見据え、3試合連続先発中の清水梨紗(東京NB)、熊谷紗希(FCバイエルン・ミュンヘン)に休養を与えたい思惑もあるはずだ。
タイ女子代表は、グループBを1勝2敗の3位で準々決勝進出を果たしている。FIFAランキング38位のタイは格下ながら、優勝候補オーストラリアから唯一の得点を奪った。チェタブトル(背番号13)は、インドネシア戦でペナルティエリア外からの力強く正確なミドルシュートなどでハットトリックをマーク。GKのソーンパオはオーストラリア戦でミスこそあったが、複数のビッグセーブで相手を苦しめていた。
しかし29日、チーム内で複数の新型コロナウイルス感染者が発生。岡本三代監督をはじめ、一部の選手がこの試合を欠場する。
試合の指揮は前日会見に出席した轟奈都子GKコーチが執る見込みだが、岡本監督は日本が優勝した2018年U-20女子W杯で池田監督の下でコーチを務めていた。元U-20日本女子代表が多い日本の特徴をチームとして知り尽くしているはず。
厳しい状況ゆえに臆することなくぶつかってくるであろうタイに確実に勝利を収め、2023年のW杯出場権をつかみたい。注目の一戦は30日17時(日本時間)キックオフ、DAZNで生配信される。
