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波乱の東京オリンピック(五輪)開幕節でアルゼンチン、韓国は敗戦…U-24日本代表、“想定外”を乗り越えた白星発進は最高の結果

■冨安の負傷、開催可否の議論

 試合後、田中碧は開口一番にこう答えた。

「勝ったからなんでもいいです」

 初戦の答えとしてはこれがすべてだろう。自国開催で迎える東京五輪の初戦とあって、どうしても緊張感の高い試合になることは戦前から予想ができた。

 ましてや南アフリカの選手に新型コロナウイルスの陽性者が出たことで試合の開催可否がギリギリまでわからなかったり、前日の練習で冨安健洋が怪我をするアクシデントもあったりしたわけだから、簡単な試合にならないことはわかっていた。

 特に冨安の怪我は想定外だった。「昨日の練習で左足首を痛め、今日の試合には出場を見送ることになった」とは森保一監督の言葉。今大会で最終ラインの大黒柱の一人となると思われていた男の負傷が、チームに動揺を与えたことは間違いない。

 それは「まさかしょっぱなでアクシデントが起こるとは思っていなかった」とする吉田麻也の言葉からも想像できる。

■急きょ出場の板倉が大きな価値を示す

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 ただ、もともと総力戦になることは誰もが理解していた。急きょの出場になった板倉滉は、大会前から「いつ出場することになっても100%を出せる準備をしている」と話していたが、90分間を通して安定感のあるプレーを披露した。

 何かしらのアクシデントが起きようがそれを乗り切る力を初戦で示すことができたことは、今後に向けて大きな価値がある。

 冨安に関しては「これからまた経過観察をして次の試合に出られるかというところで、痛み具合、コンディションを見て決めていきたい。いつ出られるかは今お話しできる状態ではない」とする森保監督の言葉から推測するに、すぐに復帰という形は極めて低いだろう。

 そう考えれば、グループステージでは町田浩樹や瀬古歩夢のCB起用も考えられる。森保監督のチームマネジメントも含めて、やはり総力戦で戦っていくことがポイントになる大会だ。

■「どういう形であれ突破できればいい」

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 もちろん内容を振り返れば、課題や修正点はいくつもある。想像以上に守備的な戦いを選択してきた南アフリカに攻めあぐねたことは事実として残っているし、審判のレフェリングに疑問の余地があるが、イエローカードを多くもらったことも次節に向けて頭に入れておく必要もある。

 それに試合前に行われたU-24メキシコ代表vsU-24フランス代表の一戦で、メキシコが4得点を奪って快勝していたことを考えると、もっと得点を取っておきたかったのが本音だ。

 それでも、1点にとどまったのはこれが初戦だったからとする見方もできる。実際に他のグループではU-24アルゼンチン代表やU-24韓国代表が格下と見られていたチームに敗れ、U-24スペイン代表もU-24エジプト代表に引き分けるなど、予想外の波乱が起きている。

 どんな強豪チームであれ、大会の初戦というのは難しいものなのだ。そういったことを踏まえれば、勝利こそがこの試合における最高の結果だったと言える。

「今後、ゴール前の精度は必然的に上がってくると思う。次の試合では、この緊張感をわかった上でゲームに入れると思うのでポジティブに捉えたい。しっかりと勝点3を取ることが大事だと思うし、今の目標はまずはグループリーグを突破すること。どういう形であれ突破できればいい。次の試合でしっかり勝つことが大事だと思います」(田中)

 勝たなければいけないプレッシャーがあった中で、チームとして初戦を勝ち切れたことは大きい。あとはこれで勢いに乗っていくことができるか。次節は吉田が「鍵になる」と明かしたグループ首位のメキシコ戦(25日/埼玉スタジアム2002)。攻守にソリッドな戦いをしていくことで連勝を掴み取りたい。

取材・文=林遼平

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