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日本代表は6日、2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の第5節でミャンマー代表と対戦する。今回の活動で導入される可能性がある3バックの意図や予想フォーメーションは?【取材・文=河治良幸】
■攻撃的3バック導入へ
(C)Getty images森保一監督率いる日本は2019年の2次予選でもアウェイでミャンマーと戦い、結果は2-0の勝利と圧倒とまではいかず。それを受けて、森保監督は今回も決して簡単な試合にならないことを強調しているが、すでに2次予選突破を決めている日本としては最終予選に向けたテストの意味合いは強い。
2022年の国内合宿以来、初めて本格的にA代表に呼ばれた鈴木唯人など、フレッシュなメンバーが限られることもあり、戦術的に新しいトライが行われることは招集メンバー発表時点から想定された。そして実際、合宿の初日からゲーム形式のトレーニングで3-4-2-1を使い、名波浩コーチからもかなり具体的な指示が飛んでいたのは象徴的だ。
GK以外は同じメンバーで3-4-2-1と4-4-2を時間によってチェンジし、相手側も最初は4-4-2、そこから3-4-2-1に替わる仕組みとなっていた。久保建英(レアル・ソシエダ)であれば3-4-2-1なら2シャドーの右側、4-4-2では右サイドハーフという形だ。一方で橋岡大樹(ルートン・タウン)は4-4-2だと左サイドバック、3-4-2-1なら右センターバックといった興味深いポジションチェンジも見られた。
こうしたトレーニングから、2試合の中で3バックをテストすることは確実だろう。森保監督によると、今回は守備的なシチュエーションで用いた5バック的なオーガナイズではなく、攻撃的な思考の強い3バックであるという。カタールW杯ドイツ代表戦の後半から試みたような、前からボールを奪い、左右のウイングバックを高い位置に上げて攻め切る“ファイヤー型”のオプションとしても想定しているようだ。
ウイングバックの人選も、今回はカタールで同ポジションを担った伊東純也や三笘薫がいない代わりに、相馬勇紀(カーザ・ピア)や前田大然(セルティック)、中村敬斗(スタッド・ランス)といったサイドアタッカーを主にテストしていることは注目に値する。逆にサイドバックでも伊藤洋輝のようにセンターバック経験が豊富にあり、守備能力の強い選手は3バックに回る。橋岡が3バックの右で起用されているのも、その意図が強いだろう。
その一方で、堂安律(フライブルク)や久保のような2列目でスペシャルなタレントは、3-4-2-1だと2シャドーがメインポジションになりそうだ。もちろんこのシステムが本格的に組み込まれて定着してくれば、所属クラブでウィングバック経験のある堂安などが同ポジションで使われるケースも出てくるかもしれないが、まずはオーソドックスに選手のタイプから当てはめているように見受けられる。
■満を持しての本格導入
(C)GOAL森保監督は三度のJ1リーグ優勝を果たしたサンフレッチェ広島時代、3バックの使い手として定評を得ていたが、カタールW杯を目指した段階では代表選手たちの個性や戦術理解、短期間で合わせて行く代表の特殊性などを考えてか、3バックを本格的には導入してこなかった。
それだけにカタールW杯のドイツ戦では、ほぼぶっつけ本番でビハインドの逆襲に用いたことで、相手を混乱させただけでなく、日頃から日本代表を観てきたメディアやファンにも驚きを与えた訳だが、“第2次・森保ジャパン”も半ばの段階になって、ようやく目に見える形で本格導入されることになりそうだ。
ただし、こうしたトライのベースには4-3-3や4-2-3-1の中でも守備のはめ方やビルドアップに応じて徐々に入れてきた、攻守に可変できる仕組みがある。その意味では満を持しての本格導入と言えるだろう。
アウェイのミャンマー戦と広島で行われるシリア代表戦で、大幅にメンバーが入れ替わることも予想される。そうしたこともあって、ミャンマー戦のメンバーも従来の序列にとらわれない基準で選ばれる可能性も高く、正直これまでより予想は難しい。また、スタメンを外れたとしても、試合の展開によって後半の頭から投入されるような選手もいるだろう。
代表戦である以上、勝利を目指すのは当然だ。しかし、こうしたシステム的なトライも含めて、シリア戦と2試合セットでの評価が最終予選のサバイバルに繋がっていきそうだ。
