20201227_Abe(C)Akihiko Kawabata

五輪代表候補合宿で4バックをテスト。練習試合で明暗分かれた10人セット×2組

 1月のAFC・U-23選手権タイ以来、久々の代表活動を行ったU-23日本代表は、合宿最終日となる26日に関東大学選抜と対戦。45分×2本、30分×1本の変則マッチの中、一美和成らのゴールで4得点を奪って快勝を収めた。

 今回の練習試合で見えたポイントは、まず4バックを採用したことだ。これまで3バックを基本布陣としていたU-23日本代表は、今回の合宿では初日から4バックのシステムをトライ。後方からボールを動かしていくことや球際に激しくいくことなど、大元のコンセプトは変えず、新たなチャレンジの中で選手たちがどんな反応を見せるかをチェックした。

 また、今回は初招集組を多く招集。過去に招集された経歴のある選手たちを含めて、この1年でいかに成長したかを確認することも1つの焦点となっていた。

■物足りなかった1組目

20201227_Abe(C)Akihiko Kawabata

 関東大学選抜との練習試合では、GKの3人を除いて2組の10人編成を作って試合に臨んだことが布陣から読み取れた。新たな選手を多く含んだことで連携面の構築に時間がかかること(コロナ対策により選手のコミュニケーションが限られることも含まれる)が想定されたため、初日のトレーニングから一貫してこの編成を組むことで、選手間のすり合わせを容易にする狙いがそこにはあった。

 ただ、その点を踏まえて述べると、1組目と2組目の試合内容には大きな隔たりがあった。特に1組目の1本目は見どころのない内容に。サイドに入った相馬勇紀や金子拓郎が積極的に仕掛け、森下龍矢がガッツ溢れるプレーでゴールを狙うなど個々の良さは多少見られたが、全体的に元気がなく相手に押し込まれるシーンもしばしば。関東大学選抜の11番・山崎希一に翻弄されるなど、苦しい試合展開のまま、スコアレスで折り返すのがやっとだった。

 ハーフタイムに修正した効果もあり54分に一美和成が先制点を奪取して何とか1-0で2組目にバトンタッチしたが、五輪世代のサバイバルを生き抜いていくという点では少々物足りない内容だったと言うほかない。

【1本目(4-2-3-1)】

  • GK:沖
  • DF:森下、渡辺剛、町田、高嶺
  • MF:金子拓、金子大、渡辺皓、安部、相馬
  • FW:一美

【2本目開始~2本目(60分)(4-2-3-1)】

  • GK:波多野
  • DF:森下、渡辺剛、町田、高嶺
  • MF:金子拓、金子大、安部、渡辺皓、相馬
  • FW:一美

■2組目は主体的にピッチ上で修正

 一方、2組目のメンバーはスタートからハツラツとプレー。齊藤未月が球際のバトルで強さを発揮すれば、前田大然は走力を生かしたドリブルで相手を切り裂いていく。

 また、ゲームが止まった際には、齊藤を中心にピッチ内で積極的にコミュニケーションを図ることで戦い方を修正。3本目の途中から田中駿汰のプレスの立ち位置を変えるなど、ベンチからの指示に従うだけでなく、ピッチに立つ選手たちが主体的に変更を加えることで攻撃をスムーズにさせた。

 結局、2組目は橋岡大樹、郷家友太、瀬古歩夢の3人が得点を奪取。相手にもほとんどシュートを打たせず、攻守に圧倒して自分たちの力を示すことができたのはポジティブな結果と捉えていいだろう。

 確かに練習試合は快勝した。ただ、それだけで五輪に出場する選手にふさわしいとはならない。今回の合宿を終えて感じたものを来季のプレーにどう還元していくか。国内組の選手たちにさらなる成長が求められているのは間違いない。

【2本目(15分~)(4-2-3-1)】

  • GK:波多野
  • DF:中村、橋岡、瀬古、古賀
  • MF:浅野、田中駿、郷家、齊藤、前田
  • FW:上田

【3本目(4-2-3-1)】

  • GK:大迫
  • DF:中村、橋岡、瀬古、古賀
  • MF:浅野、田中駿、郷家、齊藤、前田
  • FW:上田

取材・文=林遼平

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