日本代表は19日、AFCアジアカップ カタール2023グループD第2節でイラク代表と対戦予定だ。試合の予想スタメンや日本が連勝するためのポイントを整理する。【取材・文=林遼平】
■“想定外”にどう対処するか
(C)Getty images苦しんだからこそ見えたものがある。
初戦の緊張感、アジアのチームと相対する難しさ、優勝候補に対する相手の徹底的な対策…。もともと理解しているつもりだったが、ベトナムと対峙したことによって準備が足りなかったことを痛感させられた。
ただ、この経験が明らかにチームの姿勢を変えた。対戦相手の分析や自分たちの改善点に対する声が大きくなった。次の試合に向け、ベトナム戦での課題を克服しようとする選手たちの思いが方々から聞こえてくる。セットプレーの対処法や前線からのプレッシング、メンタリティの持ち方。物足りない点が多かったからこそ、しっかりと修正しようと前を向く姿が見える。次のイラク戦はグループステージ突破のためにも重要な一戦となる。
課題は攻撃よりも守備にあると言っていい。セットプレーの2失点ももちろんだが、特に前半、相手のビルドアップを封じて自分たちのボール保持時間を増やす形があまりできなかったことは修正点だ。
鍵となるのはピッチ内でのコミュニケーション。相手が想定外の配置や動き方をしてきた時に、どうやって改善していくかは速やかにチーム内で解決していく必要がある。そこで前線から最終ラインまでの意思統一をしていくことは、今後、チームが成長していく上でも重要なポイントだ。「ピッチに入って相手がどう戦ってきたかという感覚を踏まえて、自分たちがピッチの中で話し合ってプレーできたら一番いいかなと思う」とは浅野拓磨の言葉。積極的に解決策を見出し、コミュニケーションを取りながらトライしていくことで主導権を握っていきたい。
また、攻撃面のポイントについて堂安律は、「しっかり相手が食いついてくるので、ワンツーやワンタッチで剥がす、フリックなどがかなり有効になると思う。逆にボールをこねていると、足元からかっさらわれてショートカウンターを受けてしまう可能性もある。そこは気をつけたい」と主張。強度の高いプレッシングに対し、巧みにボールを動かすことで相手の狙いをかわしていくことが求められる。
■入れ替えは数名か
(C)GOALメンバー構成としては、ここで勝利すれば決勝トーナメント進出が決まる可能性があるだけに大きくターンオーバーするとは考えづらい。
そのため久保建英や冨安健洋は出場できるレベルまでコンディションを上げてきたが、まだ先発で起用しない可能性もあるだろう。ベトナム戦で調子の良かった南野拓実や中村敬斗は継続的に起用しつつ、数人を入れ替えながら勝利を目指すことになりそうだ。
カタールで迎えるイラク戦と言えば、あの“ドーハの悲劇”を思い浮かべる人も少なくないだろう。ただ、時代はすでに変わった。現在の選手たちがあの瞬間を思い出してプレッシャーを感じることはないし、足が重くなることもない。ドーハのピッチに立つのは、“今”の日本代表である。攻守に相手を上回り、ゴールを積み重ねる。そうすることで新たな1ページを刻んでいく。
勝ち点3で並ぶグループD首位日本と2位イラクによる一戦は、19日20:30にキックオフ予定だ。

