フランスで開催される第48回モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会/5月29日~6月12日)に臨むU-19日本代表メンバーには海外育ちの多重国籍選手も含まれる。現地でチームに合流し、大会に向けてのトレーニングに励むバルセロナ所属の髙橋センダゴルタ仁胡に話を聞いた。【取材・文=川端暁彦】
■「お母さんの国」としての日本
髙橋センダゴルタ仁胡は、モーリスレベロトーナメントに臨むU-19日本代表のメンバーリストに自分の名前が載ったときの気持ちを「嬉しいというのが一番」と形容する。
「日本代表のシャツを着られて自分も嬉しいし、(日本人の)お母さんも嬉しい。『頑張りたいな』という思いでいっぱいになっている」
FCバルセロナのカンテラ(育成組織)に所属する髙橋は、アルゼンチン人の父と日本人の母の間に生まれ、スペインで育ってきた。要するに違う国の代表になるという選択肢も持っているわけだが、その点についてはこう話す。
「自分はちっちゃいときから『日本に行きたいな』と思ってきたし、(サッカー選手として)スペインでトライしたい気持ちがあったからこっちにいたけれど、でもいつも『日本代表に呼ばれたい』という思いはあった」
日本で育ったわけではないが、「お母さんの国」としての日本は常に特別な存在だったと言う。代表招集の報を受け、真っ先に連絡したのも当然だった。
「日本代表招集の連絡が来たときは、嬉しくてまずはお母さんに電話して、すごく喜んでもらえた。試合はお母さん試合も観に来るし、本当に楽しみにしているし、エキサイティング。今日、ユニフォーム着た写真を送ったら涙を流してくれた」
16歳の青年は、そう言って少し照れくさそうに笑みを浮かべた。
■巧みな関西弁を使うが敬語はハードルが高い
Akihiko Kawabata現在のポジションはDF、左サイドバックだ。U-19代表の冨樫剛一監督も、基本的にはこのポジションで起用することを示唆している。
まだ全員と合流して最初のトレーニングをこなしたばかりだが、洗練されたボールタッチと判断スピードはしっかりと披露。冨樫監督も「どういう練習を普段から重ねているかがうかがえたね」と早くも手応えを得た模様。周りの選手たちにも早速良い刺激になっている様子だった。
もう一つの課題は海外で生まれ育った選手が、「初めまして」だらけの環境に融け込んでいくという部分についてだろう。髙橋は巧みな関西弁の使い手だが、「日本語が出てこないことがある」と語るとおり、普段の環境で殆ど日本語を使わないだけにコミュニケーションに関しては難しい面もある。
ただ、敬語を使った対応などは多少ハードルが高くても(監督にも『今日の練習どうするん?』と言ってしまって笑いを誘ったとか)、選手同士であればお互いに体当たりで遠慮する必要もない。「まずは子どもたち同士が仲良くなってくれるのが一番」と冨樫監督が語るとおり、さっそく色々な話ができているようだった。
「代表チームのみんなが友達みたいに迎えてくれて、全然問題がなかった。みんなで家みたいにしてくれて大丈夫だった」(髙橋)
実際の試合になればまた別の問題も出てくるだろうが、そこもまた経験の一つになるだろう。
「試合は全部違うからどこをどう出せるかは分からないけれど、まず自分の100%を出したい。自分の良いプレーを出していきたいと思っている」(髙橋)
31日に行われるモーリスレベロトーナメントの日本にとっての初戦の相手はアルジェリア。その試合が、スペインで育ってきた16歳の俊英にとって、青いユニフォームをまとっての初めてのゲームとなる。
◎プロフィール
DF 14 髙橋センダゴルタ仁胡(TAKAHASHI Cendagorta Niko)2005年8月17日生まれ16歳、173cm/63kg、FCバルセロナ・カンテラ所属
