J1の横浜FCに所属するドイツ人GKスベンド・ブローダーセンは「日本で幸せを見つけた」ようだ。母国メディア『transfermarkt.de』のインタビューで語った。
現在26歳のブローダーセンは2021年夏に横浜FCに加入し、これまで公式戦66試合に出場。U-21ドイツ代表にも選ばれたこともあるザンクト・パウリ下部組織育ちの守護神には当時ドイツ国内の移籍の話もあったが、日本挑戦を選んだ理由について「僕はいつも新しいことにオープンで、自分の視野を広げたいと思う人間だ。だからザンクト・パウリ時代には心理学の勉強も始めたんだ」と明かすと、このように続けた。
「元同僚のリョウ・ミヤイチ(現横浜F・マリノスの宮市亮)と日本へのステップについてじっくり話した。移籍を機に、いわゆるコンフォートゾーンから一歩抜け出したいと考えていて、横浜FCからは人としてもアスリートとしても、必ず契約して欲しいという熱意を感じ取れていた。それにドイツを離れるのなら新しい言葉を学べる国へ移籍したいと思っていた」
ブローダーセンは移籍当初はコミュニケーションに苦労することもあったようだ。「最初の半年間、相手に名前や年齢、職業を伝えることしかできなかった。日本語はほかの外国語より難しいとは思わないけど、とにかく毎日怠ることなく勉強しなければいけない。単語に関しても、同じようでもイントネーションによって意味が変わってくることがあったりするからね」と振り返りつつ「でも僕にとって、チーム内で孤立しないためにも言葉や文化を理解することが大事だったんだ。面白がられるかもしれないけど、『ドラゴンボール』や『ポケモン』、『遊戯王』とかを日本語で観ることは助けになった。日常ではラジオをたくさん聴き、テレビもたくさん観ていたね」と明かしている。
インタビューではザンクト・パウリでは結局正守護神になれなかったことへの悔しさも口にしたブローダーセン。横浜FCのJ2降格が決まり、日本国内の他クラブからの関心も伝えられたようだ。それでも残留を決断したことについて「もちろん、『出て行く』と言うのは簡単だっただろう」と前置きし、「でも僕はそのような性格ではない。横浜は日本への移籍のチャンスを与えてくれたので、僕は何かを返したかった。それにJ2にも魅力がある。例えば、左右にピクニックできるような野原がある小さなグランドで試合をするクラブもあった。そういった経験は忘れることはないよ」と語った。
ブローダーセンはまた、ドイツと日本でのサッカー観の違いについても言及。「日本人はサッカーを愛しているけど、よりエンターテイメントとして見ているように思う。彼らは楽しませられたいんだ。だから事前に良いポジショニングで解決できるシチュエーションより、スペクタクルなセーブの方が喜ばれる。ドイツのGKはいつも慎重で注意深く動く。対する日本のGKは非常に攻撃的でリスキーなプレーをすることがより多い。だからドイツでは生まれないようなチャンスが生まれると思う」と説明した。
それでも同GKは日本での選手生活は気に入っている模様。「うちのサポーターが素晴らしいと思うのは、どのプレーヤーもそれぞれのチャントがあること。それによって、ファンとプレーヤーの間にまた違う絆が築かれると思うんだ」とし、「あと暴動とかが起きないことも印象的だ。負けても勝ってもファンたちは自分たちのチームに声援を送る。負けたとき、屈辱されたり脅されたりする選手もいない」と話している。その一方で、「時々(ドイツの)スタジアム内の熱気が恋しくなることがある」と雰囲気の違いを指摘。「特に負けている状況でゴールを返したときとかね。ドイツだと、チームが(観客により)前へとプッシュされるが、ここではやや大人しいと感じる」と印象を明かした。
それでも同GKは日本での生活は充実しているようだ。
「数ヶ月前、友人と富士山に登ったんだ。山からの眺めにも刺激を受けたが、頂上への道を進んでいるといろいろなことについて考えさせられた。(日本人の)人生観に影響を受けている。自然とスローダウンし、些細なことを喜ぶようになった。今はドレッシングルームに向かうときのスパイクが鳴る音に気が付いたり、刈りたての芝生の匂いを嗅いで、自分がプロのサッカー選手であることを楽しむようになっている。日本で幸せを見つけたと言えるだろう」
