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「戦術バトル過ぎて頭が痛くなるくらいキツかった」。チェイス・アンリインタビュー【欧州トップでの経験による変化】

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 20歳の若武者が、ブンデスリーガ、欧州CLに挑んでいる。尚志高から2022年4月、Jリーグを経由せずに直接ドイツのシュトゥットガルトに加入したチェイス・アンリ。現在20歳のセンターバックはドイツの地で経験値を積み上げている。

 実質4部であるレギオナルリーグでプレーしていた加入当初は「完璧にやらなければいけない」とミスをいちいち気にしていた。しかし、ブンデスリーガに出場するようになって「ミスは絶対に起きる。気にしていたら終わりだ」と考えが変わったという。

 「あまり深く考えず、自分のことだけを考えて、上手くなることだけを考えていればいいなと。何を言われようともやるしかないんです」

 ハッキリとそう話す姿には、経験がもたらす自信と思考の変化がある。変化はまたプレーにも反映されていく。日本でも大きく報道された欧州CLレアル・マドリー戦での本音、その後の昨季王者・レヴァークーゼン戦、CL・アタランタ戦など具体的な試合を振り返ることで、急激な成長の理由が見えてくる。(聞き手:林遼平 構成:吉村美千代/GOAL編集部)

▶第1回:高校から欧州へ。ドイツ4部での経験編
▶第3回:日本代表かアメリカ代表か?今の心境と目標編

■Rマドリーは届かないレベルではない

stuttgart-anrie-chase-realmadrid-vinicius-20241212Getty Images

▲CLでヴィニシウスとマッチアップ

——「ミスをしないと上手くなれない」という話で言えば、ブンデスリーガ第9節のレヴァークーゼン戦(11月2日、0-0)ではすごくトライする意識を感じました。

 中途半端に怖がってプレーをしてミスをした時に自分に(後悔が)残るなら、トライした結果、「あー、そういうパスは取られるんだ」と捉えたほうがいいと思っています。

——レヴァークーゼン戦後には「一番キツかった試合かもしれない」と話していました。

 自分的にはやれると思っていましたけど、相手もポジショニングが試合中にすごく変わっていて、誰についていくかなどすごく難しい試合でした。戦術バトル過ぎて頭が痛くなるぐらいキツかったです。試合に出ることができて本当に過去一良かったと思います。(その後のチャンピオンズリーグGS第4節・アタランタ戦にも先発出場し)両方の試合に出られて本当に良かった。全然違う戦いでしたし、レベルの高いチームとやれて良かったと思います。

——レベルの高いチームというと、どうしてもチャンピオンズリーグでのレアル・マドリー戦(GS第1節・9月18日、1-3で敗戦)が浮かびます。サンチャゴ・ベルナベウで63分から交代出場しました。

 あの試合は僕の出場は30分だけでした。やはり交代した選手は少し勢いもあるので。みんな上手かったですけど、ビビるほどではなかった。

 逆にレヴァークーゼン戦やアタランタ戦のようにスタートから出たほうがキツく感じます。スタートからと途中からは何か違いますよね。やはりスタメンで出たいですけど、今の状況を考えると、こんなに試合に出させてもらって監督に感謝しています。僕が出るかは監督が決めることですけど、僕が(スタートから)出る時は思いっ切りやりますし、ベンチスタートでもちゃんと自分のチームのセンターバックなどを見て学ぶことも大事。今は悪くない立ち位置にいると思います。

——レアル・マドリー戦が終わった後に「あとは慣れ、経験」という話をしていました。

 (レアルのようなチームは)届かないレベルではないと思います。みんな「あのレベルは無理、選手がすごい」となると思いますけど、やればいけるなと思っていて、本当にそこまでリスペクトしないほうがいいかなと。人それぞれですけど、僕からしたら「慣れればいけるやん」と思っています。みんな同じ人間なのに上に見過ぎだと思いますし、「絶対にいける」と思ったほうがいいと思います。

■トップレベルの選手たちと対戦する意味

stuttgart-anrie-chase-atalanta-lookman-20241212Getty Images

▲「怖いと思った」アタランタのルックマン

——そういう意味ではトップレベルの選手たちと対戦することで自信が付きそうですね。

 対戦して少し上手くやれた時に「別にいけるやん」と思うようになりました。今のところ「この選手は無理かも」と思った選手はあまりいなくて。唯一思ったのは、アタランタ戦のルックマン選手ですね。彼は少し怖かった。1対1で対峙した中では一番怖かったかもしれないです。

——どういうところに怖さを感じたんですか?

 ボールを持ってない時の動きが早いんです。早いドリブルの中でもパスができて何でもできる感じです。それがやっていて一番怖い。ああいう選手のプレーを脳筋ドリブルとか言ったりしますけど、ルックマンは頭が良くて、ボールを持ってないところでもちゃんと動くし、 しかもパスがうまい。そういう選手は怖いです。

——いろいろなストライカーと対峙することで自分のプレーの幅も広がっていそうです。

 しかも苦戦するほどではないですからね。これで何回もぶち抜かれていたら難しいですけど、 僕は絶対に勝てると思っている。試合に入る前から、例えばボニフェイスとやるとなっても、特に相手のことは考えていなくて、とりあえず絶対こいつはやらせないと思ってやっているだけ。やはり(周りが)リスペクトしすぎだと思います。そこまでじゃないと思った方がいいです。もちろん上手いけど、同じピッチに立つなら何故リスペクトしないといけないのかと思ってやっています。

——それこそワールドカップで優勝するとなったら、どんな相手にも怖がらず戦っていかないといけないですもんね。

 そういうのを意識しなくなったから、たぶん日本代表は(ドイツやスペインに)勝ったんじゃないですかね。結局、日本代表に入っている選手はそこを考えていないと思います。(久保)建英選手や鎌田(大地)選手もそうですけど、(スペインに)ペドリがいるからどうだとか何とも思ってないと思います。だから周りも含めて(すごい、すごいと)上げすぎない方がいいです。絶対にやれるので。

——今は”楽しい”という思いが強いですか?

 試合に出て楽しいですけど、ちゃんとついていかないといけないので”きつい”もあります。むしろ”きつい”のほうが大きいです。スタメンに出るからにはちゃんと結果も残さないといけないですし、ちゃんとできる選手にならないといけないので、やはりまだ楽しいとは思えないですかね。(楽しいと思えるようになったら)自信が持てるようになるんじゃないかと思います。

▶第1回:高校から欧州へ。ドイツ4部での経験編
▶第3回:日本代表かアメリカ代表か?今の心境と目標編
▶尚志高でのシュトゥットガルト加入会見時コラム:「何回もやらかして、何回も怒られた」。欧州の名スカウトも評価する成長の源泉

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