Scott McTominay Man Utd 2020-21Getty Images

マンチェスター・U未来のキャプテンへ。マクトミネイはいかにして“モンスター”になったか

マンチェスター・ユナイテッドのファンが初めてスコット・マクトミネイを目にした時、おそらく「モンスター」という言葉は浮かんで来なかっただろう。

しかし、それから3年半が経ち、12か月間獅子奮迅の活躍を見せた選手を表現する言葉としてオーレ・グンナー・スールシャール監督がこの言葉を使った時、眉をひそめる人はほとんどいなかった。

GFX Solskjaer on McTominayGFX Getty

「スコットは素晴らしいシーズンを過ごしている。今日は彼をテストしようと思っていた。キャプテンマークを渡して、彼にどういう変化があるのか、どういう反応をするのか試してみたんだ。だが、変化はなかったね」

「彼は素晴らしい性格だよ。毎日正しい行いをしているし、きちんとした生活を送っている。なるべくベストな自分であろうとしている。意見を口にすることを恐れないが、ベストを尽くすために行動もする。リーダーにあるべき素質をすべて持っているんだ」

「プレーはどんどん脅威になっている。彼はボックス・トゥ・ボックスを体現する選手なんだ。ただ、セットプレーでもう少し得点を決めるべきだね。なぜなら、彼は“モンスター”のような人間だから。彼がゴールを決められて私はとても嬉しいんだ」

マクトミネイは得点力が備わったことでスコットランド代表として出場することができ、さらに素晴らしいパフォーマンスを見せた。12月に24歳になったマクトミネイが、目標に向けて決断力、献身性、忍耐力を発揮したことが実を結んだのだ。

■注目されなかったユース時代

レッド・デビルズ復活の中心的な役割を果たしたことでマクトミネイはスールシャールに信頼され、ベストメンバーの一員となった。しかも現在、チームは首位に立つ。

ユナイテッドは日曜日にはアンフィールドを訪れる。最大のライバルたちからマクトミネイが数々の得点を奪ってきたことを考えれば、スールシャールが彼をメンバーから外すようなことは、よほどの心変わりがなければ起こらないだろう。

マクトミネイはこのようなビッグマッチで見事な活躍を見せてきたが、これはクラブへの愛に駆り立てられてのものだ。クラブ愛は10代の頃にサー・アレックス・ファーガソンと一緒に写った写真に完璧に表れている。この写真は、自身が少年時代に「シアター・オブ・ドリームス」でプレーした数時間後に撮影されたものだ。

当時のマクトミネイは、ユナイテッドの監督やサポーターが魅了された「モンスター」とは程遠かった。体格は華奢で、10代のほとんどの期間は5フィート7インチ(約170cm)というありふれた身長だった。その後8インチ(約20cm)急激に伸びたのは、2016-17シーズンの間のことだった。

将来のスター選手として注目されることはめったになく、マクトミネイをクラブのユース世代に留めておくことすら、ブライアン・マクレアーやポール・マクギネスのようなスタッフの助力が必要なほどだった。

U18の最後の2シーズンでは、試合に出場できた時間は合わせて120分にも満たず。U21の1年目でのスタメン出場はたった2試合で、多くをベンチ外で過ごさなければならなかった。

レギュラーとして出場できるようになったのは一気に身長が伸びた後のことだった。そしてトップチームの監督であったジョゼ・モウリーニョの目に留まり、16-17シーズンの最終節にトップチームデビューを果たしたのだ。

■モウリーニョ“お気に入り”となったのが転機に

Scott McTominay Jose Mourinho Manchester UnitedGetty Images

マクトミネイの練習熱心さ、教えに従う素直さなどすべてのキャラクターのおかげで、モウリーニョに気に入られるように。そして2017-18シーズンを通して、どんどんトップチームでの出場機会を増やしていった。

指揮官がマクトミネイを起用すると嘲笑を浴びせられた。ファンも専門家も、ただの若手を起用し、同時にポール・ポグバがスタメンを外れることで本当にユナイテッドの中盤の問題は解決するのか疑問だったのだ。

モウリーニョの下でマクトミネイは「お気に入り」というレッテルを貼られてしまった。シーズン終了後の表彰式で、ポルトガル人監督がこの若手を表彰しようと土壇場で決定したことが、事態を余計に悪化させた。

モウリーニョはマクトミネイに「監督が選ぶ年間最優秀選手賞」を授与したが、部屋にいた人が驚いたのは、ランカスター出身の新星が受け取ったトロフィーは特注品などではなく、ディナーテーブルにあった装飾品だったことだ。その夜モウリーニョはこう語っている。

「これには重要な意味がある。このクラブにたどり着いた少年は皆、トップチームでプレーすることを夢見ていると思う。夢が現実になったら、次の夢はビッグマッチに出場することやチャンピオンズリーグで出場すること、そして最後は代表でプレーすることになる」

「この選手は5、6か月ですべてを出し切った。だから私の年間最優秀選手はスコット・マクトミネイなんだ」

国内メディアはモウリーニョの奇抜な行いに当然浮かれ騒いだが、このポルトガル人指揮官にとっては、マクトミネイの献身が報われたことを強調したかったのだ。

■未来の中心選手

Scott McTominay Manchester United 2020-21Getty Images

ハードワークをいとわない選手たちと築き上げたモウリーニョの歴史に鑑みれば、彼がマクトミネイに執心したのも驚きではない。それに、仮にマクトミネイを最初に起用した理由が、水面下で行われていたポグバとの争いにあるのだとしても、モウリーニョが選んだ男は他のミッドフィルダーよりもオールド・トラッフォードで長く見ることができるだろう。

他の監督たちが以前そうであったように、モウリーニョもマクトミネイに何かを見出した功績があるならば、2020年初頭からこの選手の成長に携わった一人としてスールシャールもいくばくかの称賛を受けなければならない。

元々は守備的MFと思われていたマクトミネイだったが、相手のファイナルサードでも他の67%のフィールドと同様に貢献できる完璧な選手として、週を追うごとに成長している。

実際、ワトフォード戦でのゴールによって、彼が奪った得点はすでに全コンペティションで4ゴールを数える。2019-20シーズンに記録した自己最高の5ゴールにあと1と迫り、新境地を発揮しようとしている。

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