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見せつけられたW杯決勝T常連・メキシコの対応力。動かなかった森保一監督、有意義な強化試合になったのか?

■前半の課題を即修正したメキシコ

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 浮き沈みの激しいゲームだった。

 立ち上がりはメキシコのプレッシャーに圧され、単純なパスミスが増えては自陣に進入された。ただ、10分も過ぎると、今度は日本が攻勢をかける。韓国戦から中2日で臨む相手の強度が落ちたことも要因の一つだが、球際の勝負に競り勝ち、巧みにスペースを有効活用して前進。鈴木武蔵の決定機を筆頭に、多くのチャンスシーンを創出した。

 ここでチャンスを決め切ることができないと、終盤は徐々にメキシコが盛り返して前半が終了。互いにアグレッシブな戦いを披露する見応えのあるゲーム展開だっただけに、後半に期待する人は多かったのではないだろうか。

 しかし後半は、前半の戦いに反して両者の差が明確に出てしまう結果となった。後半のスタートからメキシコは2枚の選手を変更。立ち位置に加えて、人、ボールの動かし方を変えることで、前半の課題を修正してきた。

 この変更に日本は最後まで対応することができなかった。

 メキシコは前半以上にプレスの強度を高めた上で、中盤の形を変え、嫌な位置でボールを受けていた鎌田大地へのパスコースを封鎖。ボールを奪ってはサイドを起点に個での打開を狙い、日本の守備陣形を少しずつ崩して行った。

 そして、相手にはチャンスを決め切るアタッカーがいた。エースFWラウール・ヒメネスは難しい体勢からゴールを沈め、ナポリの快速WGイルビング・ロサノは自慢のスピードを生かして追加点を奪取。その後のチャンスをすべて決めていれば、もっと差がついていたかもしれない。

 「まだまだ力不足を痛感している」とは柴崎岳の言葉。押し込む時間こそあったが、試合全体を通せばメキシコが一枚も二枚も上手だったことは間違いない。

 特に前述したように後半の対応力には大きな差があった。

■選手たちは監督の要求を理解

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 どう対応すればよかったのかと問われると、二つの方法が考えられる。一つは森保一監督が交代策などを利用してプランBを打ち出すこと。もう一つは選手たち自らがピッチの中で修正を加えることだ。

 指揮官の狙いはどちらかと言えば後者だったように思う。兼ねてから選手たちの自主性を求めており、ピッチの中でどういう変化を選手たちが見せるのかを注視していたのではないか。

 それがやり方として正解だったとは思わないが、そこに応えられなかったからこそ、「自分たちの中で声をかけながらやり方を変えるべきだった」とする鎌田の言葉が意味のあるものだと感じる。

 そういった点を踏まえると、まだまだ相手の変更に対する日本の対応力は乏しかった。逆にメキシコの修正力には見習うところが多かった。

 現状のベストメンバーで挑み、確かな力の差を感じた敗戦。敗れたことはポジティブではないが、先々を見据えた強化としては、自分たちに何ができて、何が足りないかを感じられる有意義な試合となったことは明らかである。

取材・文=林遼平

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