フランクフルトが親善試合で14歳の少年を起用したことで、国内で物議を醸している。ドイツ紙『FAZ』など複数のメディアが報じている。
フランクフルトのトップチームは20日と21日にアマチュアチームを相手に2試合の親善試合に臨み、それぞれ14-0、7-1で大勝した。一方、2試合とも本来クラブのU-17チームでプレーする14歳のニコ・イリチェヴィッチが出場し、ゴールも決めた。これを受け、ドイツサッカー連盟(DFB)は調査を開始したことを発表した。
DFBのユース規定には「原則として、男子・女子のユース選手は男子・女子の成人チームでプレーしてはならない」と記されている。例外として「16歳の誕生日を迎えたBユースの選手で、ライセンスリーグまたは3部リーグに所属するクラブや資本会社に在籍している選手には、トップチームまたはファーストチームでの試合出場許可が与えられることがある」と定められているが、14歳の選手の起用に対して特別許可が与えられることはない。
ドイツ選手労組『VdV』(『プロサッカー選手連盟』)のマネージングディレクター、ウルフ・バラノフスキー氏は『FAZ』に対し、「青少年保護に関する規定は、正当な理由に基づいて設けられている。特にスポーツ界には、若手選手を慎重に育成し、親やクラブ、代理人の経済的利益の犠牲にさせない特別な責任がある」とコメント。話題性や注目度を高めるための起用を防ぐ目的で規定が設けられていることを強調した。
『FAZ』は「ピッチ上で児童労働」と題した記事でフランクフルトを痛烈に批判。14歳の少年を「観客を楽しませるためのチームの一員として起用した」とし、「プロサッカー界における道徳的な境界線が、またしても明らかに誤った方向へ押し広げられていることを示している」と指摘した。
なお、クラブに制裁が科される可能性が伝えられる中、フランクフルト強化担当のマルクス・クレシェ役員は、「我々は確かにニコを起用した。彼の成長ぶりを踏まえた判断だった。彼は他の14歳よりも一歩先を行っている。競技面での出場に値すると考えていた」と説明。「規定が親善試合にも適用されるとは認識していなかった。それはあってはならないことで、私の責任だ。見落としてしまい、この場合は許されないことだ」と反省の弁を述べた。


