FC東京が好調だ。今季開幕以来負けなし、第9節を終えて2位の名古屋グランパスに勝ち点4差をつけて首位を走っている。その好調の要因は、堅守により磨きがかかったこと、そして攻撃面での進化にある。では、得点力不足を露呈していた昨季から何が変わったのだろうか。
■好調の理由は得点力不足の改善にある
©J.LEAGUE4月28日に行われた明治安田生命J1リーグ第9節。FC東京はホームの味の素スタジアムで松本山雅FCに2-0の完封勝利を収めた。試合後、FC東京と対峙した松本DF田中隼磨はこんな言葉を口にしていた。
「(長谷川)健太さんになって本当にハードワークするようになりましたし、堅いサッカーになっていますよね」
田中隼の言葉通り、FC東京守備の堅牢さが際立つゲームだった。首に違和感を抱えていたチャン・ヒョンスの代役として急きょリーグ戦初先発となった渡辺剛や、昨季は左サイドバックのレギュラーを務めていた太田宏介もピッチ上で存在感を発揮。チームは最後まで集中力を切らさず、レギュラー不在の中でも、あらためて守備陣の盤石さを見せつけた。
だが、得点を奪わずして、勝ち点を積み重ねることはできない。昨季は34試合39得点34失点。失点数はリーグ首位の川崎フロンターレに次ぐ2位タイの少なさだったが、得点数はリーグ13位タイと堅実な守備の一方で、得点力不足は深刻な課題だった。長谷川健太監督は、今季の目標の一つに“ボールを奪った後のプレー精度”の向上を掲げている。キャンプから、現在に至るまで常にトレーニングで意識してきた課題である。
永井謙佑の先制点はまさにその成果が出た。渡辺が良い形でボールを奪い、高萩洋次郎が粘る。こぼれたボールを久保建英が拾うと、「走り出すのが見えた」とすかさず、前線のスペースに走り込む永井へパスを供給する。パス、オフ・ザ・ボール、そしてフィニッシュ。すべて指揮官の求めるプレー精度そのものだった。
■若き才能を支える2トップ
©J.LEAGUEこの日、観衆の目を奪ったのは、やはり久保だろう。指揮官も「今日の試合はキレていた」と話すとおり、何度も攻撃の起点になり、最終的には2得点に絡むなど誰よりも存在感を見せつけた。昨季よりもハイペースで得点を積み重ねるFC東京の中心に、久保の才気溢れるプレーがあるのは間違いない。
だが、そういった若き才能を支えるのは、FC東京自慢のツートップに他ならない。対戦した松本の選手はこう口を揃える。スピードのある永井とディエゴ・オリヴェイラは久保よりも強烈だと。この二人がいるからこそ、“久保建英が生きる”のだと。
「サッカーをやっていなくても、いいところに行けるんじゃないかと思うくらい、本当に足が速い」と久保が全幅の信頼を置く永井は、抜群のスピードでチームのプレーに奥行きを持たせる、得点以上に戦術的な幅をもたらすアタッカーだ。
この日久保が奪ったPKを沈め、今季のリーグ戦ですでに7得点目をマークし、得点ランキングトップタイに立つD・オリヴェイラ。対戦した松本の高橋諒は、D・オリヴェイラについて「何でもできるじゃないですか。ドリブルで運べるし、仲間を使うこともできるし、足も速いし。Jリーグで一番いい選手じゃないですか」と称賛の言葉を送る。
昨シーズンの前半戦は首位争いを演じるも、夏場を過ぎると突如失速。最終的に6位に終わり、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得には届かなかった。過密日程の中での疲労や橋本拳人の負傷離脱もあったが、失速の主な原因は攻撃のバリエーション不足、エースであるD・オリヴェイラへの依存度の高さだった。だが、今季は違う。D・オリヴェイラを抑えれば、久保がいる。久保を抑えても、今度はD・オリヴェイラと永井が生きる。
久保と阿吽の呼吸を見せる永井も、この17歳ニューカマーの実力を認めつつ、連係の幅に手ごたえを見せている。
「(久保なら)一人で相手を剥がすことができるし、他の選手をおとりにしてシュートを放てる」
リーグ屈指の“盾”に加え、今季は進化した“矛”を手にしたFC東京。昨季の苦い思いを糧にして、攻守の足並みを揃えてきた長谷川トーキョーを崩すのはそう簡単ではないだろう。
文=大川佑
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

