ritsu-doan(C)Getty Images

【現地発】「走り勝てばチャンスは来る」堂安律がブンデスで自身初の2得点を決められた理由

 第17節のフランクフルト戦以降、今季に入って最も得点が取れない時期が続いていた堂安律に、待望のゴールが生まれたのは76分のことだった。

 自身のプレッシングからボールを奪取すると、こぼれたボールを拾ったエレン・ディンクチを追うような形で中央へ。横パスを受け、対峙したDFの動きをしっかりと見て、ゴール右隅にグラウンダーのシュートを流し込んだ。「股を通れば入ると思った。通すだけでした」と振り返ったが、言葉ほど簡単ではないゴールを決め、昨季の得点数に並ぶ7ゴール目を奪った。

 ただ、この日の堂安はこれで終わらない。後半アディショナルタイム、左サイドで途中出場のヤン・ニクラス・べステが抜け出した瞬間に逆サイドにいた堂安が誰よりも早く反応してダッシュを開始。最後はべステのクロスを右足で合わせて追加点を奪った。

 ブンデスリーガの舞台で自身初の1試合、2得点。嬉しさは一入だ。

「海外に来て(リーグ戦では)初めての2得点だったので嬉しかったですね。ラスト10分はボーナスタイムではないけど、走り勝てばチャンスが来ると分かっていた。そこにボールを出せるクオリティーの選手がいて、あの場面で自分たちが打つわけではなくパスを預けてくれたのはすごくありがたい。8割は彼らのゴールだと思うし、僕は走り込んでシュート打っただけなので感謝したいです」

 喜びとともにチームメイトへの感謝の言葉が出てきたところは、チームの勝利を優先する堂安らしい。ただ、今回の2つのゴールは、堂安の献身的な動きによって生まれた得点だということも主張しておきたい。もちろん、チームメイトのパスがゴールに繋がったのは間違いないが、堂安が最後までスプリントを続けたからこその2ゴールだった。

 まず前提として、セットプレーから2点のゴールを先に奪ったフライブルクは、リードを奪って以降、ブレーメンに押し込まれる時間が続いていた。3バックの相手に対してフライブルクは、ヴィンチェンツォ・グリフォ、マーリン・ロール、ルーカス・ヘーラーの3人が前から牽制。堂安は自ずと相手のWBをマークする役割となった。

 こうなると、「押し込まれてしまうので、どうしても走る距離が遠くなってしまう」と説明するように、スタートの立ち位置が低くなりがちで戦術的に守備に重心をかける時間が増えることに。「チームの戦術上、仕方ない」と理解を示すものの、攻撃に出ていくにはかなりの運動量が要求される形となった。

 それでも、堂安は前に出ていくことを躊躇わなかった。例えば、1点目のシーン。最初にプレスをかけた際にボールは前へと転がった。それを見て一度はストップしかけたが、ディンクチが拾ったのを確認してもう一度スピードアップ。このスプリントが数的優位を作り出し、見事なゴールに繋がった。

 2点目のシーンも、フル出場で他の選手より疲労が溜まっているにもかかわらず、べステの動きを見て一番に反応。近くにいたDFより早くペナルティーエリア内に到達し、一歩前に出てゴールをかっさらった。「前半からずっとあそこにスプリントで走り込んでいたけど、ボールが来なかった」中でも、最後まで仲間を信じて走ったからこその得点だった。

 どれだけリードしていようが、守備に追われる時間が長かろうが、走ることをやめなかった。チームの勝利のために、自身の結果のために走り続けた。その結果、昨季の得点数を超える8得点に第23節の時点で到達した。堂安は昨季の数字を意識していないことを強調しながらも、「数字は毎年伸びてきている。そこはすごく成長を感じる」と手応えを口に。その上で、「ただ満足せず、次も狙っていきたい」と前を向いた。

 試合後にはゴール裏のスタンドに招かれ、サポーターとともに歓喜の瞬間を味わった。「ドイツ語をあまり理解できなくて申し訳ない気持ち」としつつ、「サポーターからの愛情を感じます」とはにかんだ堂安。再びサポーターと勝利を喜ぶためにー。さらなる得点量産へ、堂安はまだまだ走り続ける。

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