Goal.com
ライブ
minamino(C)Getty Images

“ジョーカー”南野拓実、アジア人で初の快挙なるか? CL決勝出場&優勝なら史上初。今季2冠に貢献、有終の美へ

今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、日本のファンにとって特別な一戦となる。1955年から続く欧州最高峰の大会で、日本人選手が初めてファイナルの舞台に立つかもしれないのだ。

5月28日のリヴァプール対レアル・マドリーの決戦で、日本代表FW南野拓実がスタッド・ド・フランスのピッチに立てば、初めてCL決勝に出場する日本人となる。過去には、2012年の決勝でバイエルンに所属していたFW宇佐美貴史がベンチ入りするも、出場機会はなくチームもPK戦の末にチェルシーの前に屈した。

シーズン中にほとんど出番がなかった宇佐美が起用されなかったのは仕方ないが、今回は違う。南野は、先発出場こそ難しいものの途中出場の可能性は十分にあるし、何より彼には“出場する権利”があるのだ。

2冠の立役者

minamino2(C)Getty Images

今季のリヴァプールは、マンチェスター・シティとの壮絶なデッドヒートに敗れてリーグ優勝こそ逃したが、既にカラバオカップとFAカップを制しており、“カップ・トレブル”を目指して最後の決戦に臨む。国内カップ戦も決して楽な戦いではなかったが、その2冠に大きく貢献したのが日本代表のエースだった。

FAカップでは4回戦のカーディフ戦でゴールを奪うと、続くノリッジ戦ではチームの全得点を奪って2-1の勝利に貢献した。残念ながらチェルシーとの決勝戦ではベンチ外になったが、辛口解説で知られる元マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーンもノリッジ戦での活躍を「出場機会が少ない選手とは思えない」と称え、「彼がゴールを決めるとチーム全体が喜ぶ」と仲間に愛される南野の人間性についても触れた。

そんな彼の人柄が如実に表れたのがカラバオ杯の決勝戦だった。南野は同大会で“スペシャリスト”の異名を持ち、2年前に加入して以降、カラバオ杯では7試合で6ゴールの成績を残している。今季も3回戦から3試合連続ゴールと大車輪の活躍を見せ、準々決勝のレスター戦では敗色濃厚となった95分に同点ゴールを決めてチームを敗退の危機から救った。

アーセナルとの準決勝2試合にも出場した南野だが、PK戦までもつれたチェルシーとの決勝ではベンチ入りしながら最後まで出番が回ってこなかった。それでもチームメイトは同大会の功労者を忘れておらず、試合後に南野がサポーターの前で優勝トロフィーを掲げると、主将ジョーダン・ヘンダーソンやファビーニョがファンの声援を煽ってみせたのだ。

リーグ終盤でも存在感

minamino4(C)Getty Images

プレミアリーグでも、最後の最後まで優勝の可能性が残っていたのは南野のおかげだろう。第37節のサウサンプトン戦、勝たなければ優勝の可能性が消滅する一戦で先制を許したリヴァプールを救ったのが、公式戦14試合ぶりの出場にして今季プレミア初先発となった南野だった。日本のエースはそれまでの鬱憤を晴らすかのようにニアハイに強烈なシュートを叩き込むと、敵地まで駆けつけたサポーターが大盛り上がりするなか、自分は古巣のセインツに敬意を示してゴールを祝わなかった。その後、チームは逆転に成功し、プレミアリーグ史に残る劇的な最終節を演出したのだ。

ユルゲン・クロップ監督は先発9名を入れ替えながら勝利したサウサンプトン戦後、普段は出番のない選手たちを「ガレージに飾っているフェラーリのようだ」と褒め称え、南野については「彼がもっと頻繁に試合に出られないのは罪だ」と同選手の重要性を改めて口にした。

結局、南野は今季公式戦で10ゴールの結果を残しており、リーグ戦に限れば出場178分間で3ゴールの決定力。1ゴールにかかる時間は「59.3分」で、これはリーグ2位の数字なのだ。それでも、今のリヴァプールの選手層を考えると、南野がCL決勝の舞台に立つのは容易ではない。

モハメド・サラー、サディオ・マネ、ディオゴ・ジョタの3トップは、漏れなく素晴らしい結果を残しており、トッテナムのソン・フンミンと並んでプレミアリーグ得点王に輝いたモハメド・サラーを筆頭に、3名とも得点ランク6位以内に名を連ねた。さらに、冬に加入してから即座にリヴァプールの高速アタックに順応したFWルイス・ディアスも先発候補と言えるだろう。また、控えに回ることが増えたブラジル代表のFWロベルト・フィルミーノも健在だ。一方で、前述の「1ゴールにかかる時間」で南野を抑えてリーグ1位となったFWディヴォック・オリギは、怪我のためCL決勝には間に合いそうにない。

この豪華なタレントを考えると、南野はベンチスタートが濃厚である。それでもリードされる展開となれば、ゴール前の狭小スペースに飛び込んで半身でボールを受けて敵チームに混乱をもたらす南野に“ジョーカー役”を期待したい。とりわけスーパーサブのオリギが不在の今、南野の序列は上がっているはずだ。そして、普段の国内ゲームよりもベンチ枠、そして交代枠が多いCLならば出場のチャンスは十分にあるだろう。

アジア人初の快挙なるか

minamino5(C)Getty Images

そんな南野に期待するのは、日本のファンだけではない。彼はアジアの希望として決戦に臨むのだ。南野が決勝に出場して栄冠を手にすれば、アジア人としても史上初の快挙となるのだ。

チャンピオンズカップ時代を含め、これまでファイナルに出場したアジア人は2名しかいない。それが韓国の英雄であるパク・チソンとソン・フンミンだ。トッテナムの韓国代表ストライカーは3年前の決勝にフル出場するも、リヴァプールに敗れて涙を呑んだ。マンチェスター・ユナイテッドで活躍したパク・チソンに至っては、2009年と2011年の決勝にスタメン出場しながら、どちらの試合もペップ・グアルディオラ率いるバルセロナの前に屈した。

パク・チソンに関しては、本来ならば2007-08シーズンの決勝でもピッチに立つべきだった。韓国の英雄は同シーズンの準々決勝と準決勝にフル出場するも、チェルシーとの決勝ではベンチ外となり、チームの戴冠をスーツ姿で見守った。後に名将アレックス・ファーガソンも「監督キャリアで最も難しい決断の一つ」と当時を振り返っている。

そのため、チャンピオンズの決勝に出場し、なおかつ頂点に立ったアジア人は今のところ一人もいないのだ。だから今回のファイナルは、ヨーロッパの頂点を決める決戦であると同時に、アジアの歴史が塗り替えられる瞬間なのかもしれない。

戦力を考えると、たとえスペイン王者が相手でもリヴァプールに分があるはずだ。その戦力はあまりにも豪華。だが、だからこそアジア人初の快挙となれば大きな意味があるはずだ。そして、南野拓実の今シーズンの実績を考えると、ファイナルのピッチに立って欧州制覇に貢献する日本代表エースの姿が想像できる。

広告
0