▶欧州CL決勝を独占ライブ配信!ここからの加入でWOWOW無料視聴可能
パリでトロフィーを掲げるのは、リヴァプールとレアル・マドリーのどちらになるだろうか。チャンピオンズリーグ(CL)決勝の予想スターティングメンバーを見てみると、その趨勢を決定づける、スペースを争う最も重要なバトルに目が留まる。
ヴィニシウス・ジュニオールvsトレント・アレクサンダー=アーノルド。とてつもない俊足を誇る左ウインガーと、1対1の守備で対戦相手を苦しめる右サイドバックの対決だ。
リヴァプールの攻撃において重要な武器が、レアルの最も重要なカウンターアタッカーと勝負するのだ。どちらも相手を完全に制圧することは難しいだろう。そして両者とも守備のタスクを完遂することもできないかもしれない。
この激突はチーム全体にとっても重要な局地戦でもある。それぞれの監督が目指す戦術スタイルを最も強く反映しているため、この局面は90分を通して見られることになるだろう。
カルロ・アンチェロッティはエゴと戦術のバランスを取ることに最も長けており、選手にあまり干渉しないタイプの戦術家だ。2021-22シーズンのチームの弱点に気づいており、CLでは割り切って純粋なカウンターアタックを採用している。
レアル・マドリーの右サイドは高く上がらず、長い時間プレッシャーを受け止める。そして最高クラスの選手たちの経験を活かして、適切なタイミングで上がっていく。
この戦術はパリ・サンジェルマンとの2度の対戦で最も顕著に表れた。キリアン・エンバペのスピードを恐れ、PSGを前に引き出すように縮こまったフォーメーションを長時間取っており、これが却ってPSGの素早いプレーを制限するという極端な事例になった。
この試合に引き続いて、レアル・マドリーはこのシステムをユルゲン・クロップの驚異的な前線に対しても適用すると考えてよいだろう。特に、今シーズンのリヴァプールは、高く設定したディフェンスラインが崩壊しやすく、様々な対戦相手(最も最近ではウルブスも含む)に突破されてきているからだ。
ヴィニシウスは普段、ダイレクトなロングボールのターゲットになっている。こうしたパスはルカ・モドリッチやトニ・クロースによって背後から繰り出され、相手MFの背後でのポゼッションに繋がっている。
このスペースを消してパスを防ぐことができるかどうかは、リヴァプールのカウンタープレスの強度にかかっている。ボールがヴィニシウスに渡ることがあれば、その時アレクサンダー=アーノルドは適切なポジションにおらず、ヴィニシウスを止めることは難しいかもしれない。そうなれば、右センターバックかセントラルMFがシフトし、カバーすることで対応しなければならなくなる。
ファビーニョはタイミングよく怪我から復帰する見通しだ。つまり、このタスクをこなす役割を果たすのはジョーダン・ヘンダーソンということになるかもしれない。
ベンゼマとの連係
(C)Getty Imagesだが、ヴィニシウスの脅威は、カリム・ベンゼマが最前線でボールを納め、つなぐ素晴らしい責務を果たした結果にほかならない。特にレアル・マドリーがトランジションで攻撃に転じた瞬間を活かして爆発的な推進力を得た場合や、その中でも特に左に重心が偏り、ヴィニシウスにボールが渡りやすい状態になると、なお脅威となる。
この二人が相手の守備に混乱をもたらすことで、アレクサンダー=アーノルドがボールに釣り出されるとリヴァプールは危機に晒されやすくなるだろう。
ベンゼマが左に張り出してセンターバックを引き連れると、ヴィニシウスが中央に走り込むだけのオープンスペースが生まれることになる。このコンビネーションはリヴァプールにとって深刻な脅威だ。しかもこの後、さらに目に見えて深刻な状況が待っている。ドリブルでの1対1だ。
この試合では、リヴァプールが守備的な陣形で構えたところに、レアル・マドリーがスローインやFKからファイナルサードで探りを入れる場面も多くなるだろう。ここで真っ向勝負のような様相になれば、俊足を誇るヴィニシウスに明らかに分がある。
反して、ヴィニシウスとアレクサンダー=アーノルドの対戦は、レアル・マドリーの守備側にとっても重要な要素だ。このブラジル人はハードワークを厭わない選手ではあるが、守備の能力はそれほど高いわけではない。
実際、レアル・マドリーはオフ・ザ・ボール時に4-4-2で守備をする。フェデリコ・バルベルデが中盤のラインに下がり、ヴィニシウスはベンゼマと前線に残る形を採用している。
少なくともこうしたプランで進行するだろうと思われるが、アンチェロッティのチームは思い通りにはいかないだろう。レアル・マドリーの左サイドの脅威を認識しつつも、クロップは攻撃を主に逆サイドから進めていくことを選択するかもしれない。ルイス・ディアスとアンドリュー・ロバートソンがダニエル・カルバハルを標的に選ぶはずだ。
そうすることでリヴァプールはレアル・マドリーを反対サイドに引っ張り込むことができ、バルベルデがウイングの位置に張り出すことを余儀なくされる。そうすればヴィニシウスのポジションを逆サイドで下げさせ、4-5-1の形を作らせることができる。
この状態から一度ダイアゴナルに動けば、リヴァプールはモハメド・サラーが1対1になる状況を作ることができ、フェルランド・メンディとアレクサンダー=アーノルドがサポートに入ることも可能だ。
ヴィニシウスはこのような状況をカバーしようと奔走することになるが、リヴァプールの右サイドバックがトレードマークのクロスをエリア内に放り込むのを防ぐことは、ヴィニシウスにはできないだろう。
リヴァプールが最善を尽くすことができさえすれば、こうした戦術が少なくとも開始60分くらいまでは展開されることになると思われる。レアル・マドリーの中盤にプレスをかけて、危険でオープンなポジションでヴィニシウスにボールが渡ることを防ぐことができるればリヴァプールが試合の流れを掴むはずだ。
カマヴィンガの存在
(C)Getty Imagesだが、アンチェロッティは交代選手を使い、試合を決めるバトルの風向きを変えることができるかもしれない。
CLのここ5試合でエドゥアルド・カマヴィンガが途中出場を果たしており、それぞれの試合で好印象を残している。脚に疲労が溜まった頃に、彼の縦への推進力がスイッチとなるのだ。
この19歳の持つ、推進力のあるパスや切れ味の鋭いドリブルは試合をオープンな展開に導く傾向がある。リヴァプールは強度の高いシーズンを終えたばかりだ。試合終盤になると中盤から疲労の色が見えてくるかもしれない。
そうした状況になれば、カマヴィンガが役割を引き継ぎ、アレクサンダー=アーノルドの背後のスペースにボールを送り、ヴィニシウスを動かす役割を担うことになる。技術的にも戦術的にも、リヴァプールの方が優れたチームだが、レアル・マドリーにはこうした状況において賢く立ち回る能力がある。もしかすると、むしろそういった状況に向いているチームかもしれない。
クロップは素早いスタートを切らなければ、試合を落としてしまう可能性がある。タイトルが懸かったこの一戦で、アレクサンダー=アーノルドはヴィニシウス・ジュニオールとの対決において圧倒的優勢に立たなければならないのだ。




