ホームであるオイローパ・パルク・シュタディオンに歓喜の渦が広がる中、鈴木唯人の表情はそれほど晴れていなかった。ブンデスリーガ第23節のボルシア・メンヒェングラッドバッハ戦。チームは貴重な勝ち点3を手にしたが、背番号14の自己評価は極めてシビアだった。
「あまり感触が良くなかった。もっとチームのためにできればよかったですけど……」
チーム全体として相手の激しいプレスに晒され、ボール保持に苦しむ時間が続いた。鈴木自身も「いつもに比べればはるかに少ない」と語る通り、ボールに触れる回数は限られた。しかし、こうした停滞した展開こそ、今季、彼が手に入れた「強度」が真価を発揮する場面でもある。
自身のボール奪取から始まったショートカウンター。79分に退く直前、2点目が生まれたシーンだ。鈴木は迷わずゴール前へと走り込み、囮となって相手のディフェンスを引き付けた。直接スコアに名は刻まれずとも、その顔出しが決定打を演出した。
「なかなか試合に入れなかった中でも、あそこに入り込めたのは少なからず良かったのかなと思います。でも、もっと何かできたという感覚の方が大きいです」
今の鈴木には、内容が悪くとも守備からリズムを作り、決定的な局面に関与し続ける逞しさがある。だが、鈴木が目指す先は、決して守備で計算できる選手ではない。
「コンディションを保つようなことはしたくない。もっとグレードアップできるように頑張りたい」
貪欲なまでに成長を欲する鈴木は最近、「局面を剥がしに行く回数を増やすこと」を意識しているという。ライン間でボールを受けた際、安易に逃げるのではなく、自らの個の力で突っ込み、こじ開ける。その試行錯誤の最中だからこそ、あえてリスクを負う場面も増えているのだろう。
「こんな試合もある。内容より結果」と割り切りつつも、その視線はすでに自身のさらなる改善によってチームが勝つ未来を捉えている。不完全燃焼の感触すら、次なる進化に向けた一つのプロセス。日々、自身を磨いていくことで新たな進化を遂げていく。


