31日のラ・リーガ第3節、バルセロナは敵地バジェカスでのラージョ・バジェカーノ戦を1-1のドローで終えた。
新カンプ・ノウ建設工事終了までの時間的猶予をつくるため、ラ・リーガ開幕からアウェー3連戦に臨んでいるバルセロナ。その最終戦の舞台は、3日前にラージョのカンファンレンスリーグ・プレーオフ突破でお祭り騒ぎとなったバジェカスだ。ラ・リーガで1番横幅が狭いこのピッチは、バルセロナがここ4試合を1勝1分け2敗で終えている鬼門であり、しかも今回、ピッチコンディションは目も当てられない状況である。なおラージョのイニゴ・ペレス監督は「良質なピッチを望むのは私たちも同じだ」と語っていた。
フリック監督は決して気を抜くことのできないこの一戦で、GKジョアン・ガルシア、DFクンデ、エリック・ガルシア、クリステンセン、バルデ、MF後列フレンキー・デ・ヨング、ぺドリ、前列ヤマル、ダニ・オルモ、ハフィーニャ、FWフェランをスタメンで起用している。
さて、試合はキックオフ前にアクシデントが発生。マテオ・ブスケツ主審とVOR(ビデオオペレーションルーム)の通信に不具合が生じ、VARが正常に機能しないまま開始の笛が吹かれることになった。
バルセロナは“例年通り”バジェカスで苦戦を喫する。ラージョの組織的かつ激しいプレッシングを前に、ゴール前までなかなかボールを運べず、彼らのハイライン裏を狙う攻撃に手を焼くことになった(VARが機能していないこともあり、バルセロナはラージョの攻撃をうまくオフサイドにできなかった)。
ECLプレーオフから1日もまともな練習ができていないながらも、良質なフットボールを展開するラージョは、12分にこの試合初の決定機を迎える。アルバロ・ガルシアがクンデのサイドを突破してグラウンダーのクロス。このボールをラティウが押し込もうとしたが、これはジョアン・ガルシアの好セーブに阻まれた。
厳しい試合を強いられるバルセロナは、パス回しからの崩しよりも縦に速い展開から決定機創出を狙うことに。29分にはエリック・ガルサイのスルーパスからハフィーニャがDFラインを突破。そのままペナルティーエリア内右に侵入して横パスを送るが、駆け込んだフェランにはわずかに合わなかった。
そうして39分、バルセロナが物議を醸しそうなゴールで先制した。ドリブルでラージョの守備網を破ったヤマルが、ペナルティーエリア内でチャバリアに倒されたとして、マテオ・ブスケツ主審はペナルティーマークを指示(機械の不具合が続いているためにVARでのプレー見直しはなし)。ごくわずかな接触だったために、バジェカスの観客は判定に大ブーイングを行い、GKバタリアは抗議によってイエローカードを提示された。
ヤマルは自らPKキッカーを務め、耳をつんざくような指笛の中で冷静にシュートを決め切っている。バルセロナの10番は、これが今季ラ・リーガ2得点目。
前半はバルセロナの1点リードで終了する。迎えた後半もフリック監督のチームがラージョ陣地でボールを保持し、ラージョがバルセロナのハイラインの裏を狙う状況は変わらず。ラージョはボールを奪うと、劣悪なピッチコンディションも考慮したゴールキックやロングフィードを中心とした展開で、ゴール前まで一気に迫っていった。
フリック監督は61分に交代カードを切り、ハフィーニャ、ダニ・オルモを下げてフェルミン、ラッシュフォードを投入。新たな勢いを得て追加点を狙ったが、次にゴールを奪ったのはラージョだった。67分、イシの精緻なCKから、巧みな動きでフリーとなったフラン・ペレスがシュートを決め切っている。
同点に追いつかれたフリック監督は、78分にフェラン、バルデを下げてレヴァンドフスキ、ジェラール・マルティンをピッチに立たせる。終盤、バルセロナはより前がかりとなって攻撃を仕掛けるも、その分ラージョの強い反撃にも遭うことに。86分にはペナルティーエリア内でイシのシュートを許し、ジョアン・ガルシアが弾いたボールをラティウに押し込まれた。が、これはオフサイドでノーゴールとなり、九死に一生を得ている(なおVARは後半から機能するようになり、このオフサイドの場面でもマテオ・ブスケツ主審はVORと通信を取っていた)。
その後もバルセロナのポゼッション攻撃より、ラージョのハイラインを突く攻撃の方が得点を予感させつつ時間は経過。結局、勝ち越しゴールは生まれないまま、試合は終了のホイッスルを吹かれている。鬼門バジェカスで3連勝を逃したバルセロナはレアル・マドリー、アトレティックに勝ち点2差をつけられて、インターナショナルウィークを迎えることになった。






