Frenkie De JongGetty Images

F・デ・ヨングがバルセロナに適応できない理由は?スペイン人記者「そもそもアヤックスはポジショナルプレーしていない。バルサと違う」



世界的な名声を得るカタルーニャ出身のスポーツジャーナリスト、マルティ・パラルナウ氏がフットボールのプレースタイルについて、自身の見解を述べている。

ジョゼップ・グアルディオラ監督と深い絆で結ばれ、同指揮官について記した著書が大ヒットしたパラルナウ氏。最近には、フットボールのあらゆる戦術が1863年から1945年の間に完成していたという書籍を上梓して、こちらも話題となっている。

スペイン『スポルト』とのインタビューに応じたパラルナウ氏は、まず監督の在り方について意見を述べる。監督が自身の信念とは異なるプレースタイルを実践できるかどうかとの質問に対して、こう返した。

「信じていなかったり感じていなかったりするものを、誰かに伝達することはできない。監督というものは、今日は辞書を売って、明日は携帯電話を売る商売人になれないんだ。それこそが、すべてのクラブの歴史で起こってきたことなんだよ。とどのつまり、フットボールは自然な人間性と密接な関係にある。各民族が自分たちの在り方と同じプレーを見せることもそうだ。自然でないやり方を用いてプレーすることは、やはり難しい」

「だからこそ、監督は一貫性を持って、自分の感じることを伝達すべきだ。キャリアを通じて守備に基礎を置いてきた監督が、決勝戦になってクライフのように『さあ行ってこい。楽しんでくるんだ』と言っても、私たちは理解しかねるだろう。それは一貫していないし、一貫性がなければ大体は機能しない」

また、バルセロナのプレーがカタルーニャ人たちの気質を反映しているかとの問いには、次のように返答している。

「各民族が彼らの在り方でフットボールをプレーすると言ったが、それがフットボールの議論の余地なき根源となる。イングランド人たちは1863年から、フットボールをプレーし始めた。イギリス帝国の精神性に則り、堂々としたプレーでね。その一方でスコットランド人たちはパスゲームを発明したが、それは彼らがよりつながりを大事にする人たちであり、フットボールもコンビネーションを重視した方がずっと良いと考えためにほかならない」

「従って、バルサのアイデンティティーもカタルーニャ人たちの在り方と密接な関係がある。彼らはバルサがボールを保持することや団結することに、自分たちを感じているのだから。カタルーニャは人間の塔や集団での登山に価値を置いている国だ。一連の社会的理由や個性が、明確なアイデンティティーをつくっていくということだね」

「バルサのDNAをどう定義するか? DNAというコンセプトはそんなに好きじゃないね。アイデンティティーは決められたものではなく、時間とともに組み立てられていくものだ。そこには多くの紆余曲折があるが、バルセロナの歴史がそれ示しているだろう。1919年に生み出されたアイデンティティーにとても忠実な監督や選手たちがいれば、まったく正反対の矛盾した人たちもいた」

パラルナウ氏は、カタルーニャ人チャビ・エルナンデス監督の率いるバルセロナをどう見ているのだろうか。

「チャビはバルサのアイデンティティーと完全に繋がれるという利点がある。浮き沈みこそがあるが、それを構築していっているよ。チャビがバルサの本質と繋がれるというのは大きな強みだが、しかし大きな不都合が2つある。一つ目はそのアイデンティティーを素早く、的確に構築するために必要なクオリティーを現陣容が持っていないこと。二つ目はグアルディオラとの忌むべき比較だ。いつの日か一貫性ある陣容を擁し、ペップのような成功をつかめる……そんな想像をすることはとても難しい。チャビは負けっぱなしになるだろう」

「チャビが行おうとしていることは、短期間ではまったく困難なことだ。オーシャン・ライナーはそう簡単には旋回できない。選手たちがピッチ上で反映できる力がなければ、プレーコンセプトがあるだけでは不十分なんだよ」

チャビ監督がバルセロナを率いるようになって、MFフレンキー・デ・ヨングの存在感はさらに減るようになった。元アヤックスMFは、なぜバルセロナに適応できないのだろうか。

「そこには大きな勘違いがあった。一つのコンテクストから出てきた彼は、まったく同じような場所に到着して、問題は何も存在しないはずだった……そういうわけではなかったんだよ。デ・ヨングについては、アヤックスのプレーについての大きな勘違い存在したんだ。アヤックスはバルサと同じタイプのプレーを実践していると信じられてきたが、そんなことはまったくない。ファン・ハールの時代を除き、アヤックスはポジショナルプレーをほぼ実践してこなかった。彼らはムービングを主軸とする違うプレーを行なっているんだ」

「アヤックスのオランダ人たち学校では、ウィングを駆使するなどバルサに似ているところがある。が、バルサのプレーの定義がポジショニングを重視するポジショナルプレーにあるとしたら、アヤックスはそうしたプレーにほとんど従っていない。アヤックスのプレーは、継続的なムービングと同義なんだよ。これまでバルサにやってきたオランダ人選手たちの貢献は、そうした動き出しのダイナミズムにあった。監督としてのヨハン(・クライフ)については、確かにポジショナルプレーの礎をつくったがね」

パラルナウ氏は最後に、現在のバルセロナで期待を寄せる若手選手を挙げている。

「最も注目しているのはニコだ。そのポテンシャルと、とても確固としたクオリティーによってね。素晴らしいチームを築くための、素晴らしい選手になり得るよ」

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