スペインプロリーグ機構ラ・リーガは14日、冬の移籍市場終了後の同リーグ1部&2部クラブのサラリーキャップを発表した。バルセロナの使用限度額がマイナスとなっている。
ラ・リーガのサラリーキャップは、各クラブの収入に応じて移籍金などを含めたチームの人件費を70%程度に制限するもの。冬の移籍市場終了後、制限額が最も高かったのは同市場で1ユーロも使用しなかったレアル・マドリーで約7億3900万ユーロ。それにセビージャが約1億9900万ユーロ、アトレティコ・マドリーが約1億6100万ユーロで続いた。
そしてバルセロナは、ラ・リーガ1部&2部を合わせて唯一使用限度額がマイナスに。夏の移籍市場の限度額は9700万ユーロだったが、冬にダニエウ・アウベス、フェラン・トーレス、オーバメヤン、アダマ・トラオレを獲得すると、その額はマイナス1億4400万ユーロ(約190億円)となった。
このマイナスのサラリーキャップは、一体何を意味するのだろうか。ラ・リーガのコーポレート部門ゼネラルマネージャーのハビエル・ゴメス氏は、次のように説明する。
「まず、最初手元にある額を7億ユーロとします。財政コントロールは一連の規則から、最初にクラブのストラクチャーの費用を割り出すのですが、それが2億ユーロだとスポーツチームの費用に回せるのは5億ユーロということになります。ただし、その前には損失額を考える必要があり、サラリーキャップがマイナスになっているクラブは、損失額が何よりも多いということになるのです。バルセロナの損失額は、クラブの収入とストラクチャーの費用を上回っているということになります。彼らは一定の期間に多くの損失額を計上したのです」
サラリーキャップを超過した場合には選手登録ができなくなる可能性があるが、今季バルセロナは大丈夫なのだろうか。
「今季の契約について意味を持つわけではありません。そうではなく、より100条が適用される時間が長くなることを意味しています。キャピタルゲインや利益を増やさない限りは、今後数シーズンも制限が課されることになります」
ハビエル・ゴメス氏が言及した100条というのは、1/4条項として知られるものだ。これは新型コロナウイルスのパンデミックにより、各クラブが一気に損失を計上したことを受けて生まれた条項。新シーズンが始まる7月1日の時点でサラリーキャップを超過するクラブについては、削減したチーム費用の25%以下の額で選手を獲得すれば、その選手の登録が認められる。つまり4ユーロを節約すれば、1ユーロだけ使用可能になるというわけである。バルセロナは昨夏、今後数シーズン存在し続けるこの条項の存在により、一度契約が切れたリオネル・メッシの選手登録をあきらめることになった。
ハビエル・ゴメス氏は続ける。
「サラリーキャップを超過するクラブは、費用を節約することで選手との契約が可能になります。バルセロナはアグエロ、ユムティティ、コウチーニョに関する節約によって、冬の補強を実現しました」
この夏にはボルシア・ドルトムントFWアーリング・ハーランド獲得を目指しているとされるバルセロナだが、現在の財政状況で本当に可能なのだろうか。
「サラリーキャップを改善する術は、キャピタルゲインにあります。CVCとの合意でもほかの資産でもいいです。選手でもほかの資産でも大丈夫です。増資がもう一つの方法となりますが、(株式会社とならずソシオ制を維持する)バルサでは不可能です。彼らは純資産を損なうことになりましたが、それを取り戻す必要があります」
「ハーランドの獲得? そうした補強を実現するためには、チームの費用を減らすか、利益を上げなければなりません。ほかに方法はないのです」
なお冬の移籍市場終了後、ラ・リーガ1部クラブのサラリーキャップは次のようになっている。
レアル・マドリー 7億3900万ユーロ
セビージャ 1億9900万ユーロ
アトレティコ・マドリー 1億6100万ユーロ
ビジャレアル 1億4800万ユーロ
アスレティック・ビルバオ 1億2500万ユーロ
レアル・ソシエダ 1億1100万ユーロ
エスパニョール 7900万ユーロ
セルタ 6600万ユーロ
ヘタフェ 6500万ユーロ
ベティス 6100万ユーロ
バレンシア 5800万ユーロ
グラナダ 5700万ユーロ
オサスナ 5600万ユーロ
カディス 4800万ユーロ
マジョルカ 4800万ユーロ
ラージョ 4800万ユーロ
エルチェ 4400万ユーロ
アラベス 4200万ユーロ
レバンテ 3400万ユーロ
バルセロナ -1億4400万ユーロ




