25日のコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)準々決勝、シビタス・メトロポリターノでのアトレティコ・マドリー対セビージャは1-0でアトレティコの勝利に終わった。
ベスト16でアトレティコが破ったレアル・マドリーに続いて、バルセロナがアスレティック・ビルバオに敗れてベスト8で姿を消し、スペイン2強が早々にいなくなった今季のコパ。ベスト4進出が決定しているレアル・ソシエダ、アスレティック、マジョルカ、そして準々決勝の日程最終日に対戦するアトレティコとセビージャにとっては、優勝の期待をさらに高める大会となっている。
優勝候補筆頭に躍り出たのはもちろん、3強の一角ともされるアトレティコ。シメオネ監督は、元アトレティコ指揮官キケ監督率いるセビージャを迎えたこの一戦で、GKオブラク、DFモリーナ、ヴィツェル、ヒメネス、エルモーソ、サムエウ・リーノ、MFデ・ポール、コケ、サウール、FWモラタ、グリーズマンを先発させた。
試合はアトレティコがボールを保持し、セビージャが延長戦も視野に入れながら守りに徹する展開。アトレティコは自分たちと同じく、しかしもっと守備的な5バックを敷くセビージャ相手にアタッキングサードでの崩しに苦慮し、シュートまで持ち込めない状況が続いた。が、それでも23分に大きなチャンスを手にする。
ナウエルがペナルティーエリア内でマルカオに倒されて、ヒル・マンサーノ主審はアトレティコのPKを指示。だがしかし、キッカーを務めるグリーズマンはシュートを打つ寸前にスリップしてしまい、ミートできなかったボールはクロスバーのはるか上に飛んだ。アトレティコは先制のチャンスを逸している。
ただメトロポリターノの観客は、アトレティコの歴代最多得点者を責めることはしなかった。試合がリスタートされた後、彼らはまるでゴールを決めたかのように「アントワーヌ・グリーズマン、ロロロロロロロロー!」と全力でチャントを歌い、自分たちのエースを励ましたのだった。
スコアレスのまま迎えた後半、アトレティコは攻勢を強めてセビージャを自ゴールの前まで押し込めるが、グリーズマンらは迎える決定機を決め切ることができない。シメオネ監督は56分にモリーナ、サウールとの交代でマルコス・ジョレンテ、バリオスを投入。さらに66分にはグリーズマン&モラタの2トップをメンフィス&アンヘル・コレアに代えるという、思い切った采配も見せている。
アトレティコは68分、スルーパスからDFラインを抜け出したメンフィスがネットを揺らしたが、これはオフサイドによってゴールと認められず。その後、同チームはさらに前のめりになって攻撃を仕掛け続けたが、セビージャにカウンターからチャンスを許す場面も目立つようになった。
1点を奪うか奪われるか……そんな予感が漂うメトロポリターノで79分、ついにゴールが生まれる。決めたのは、ホームのアトレティコだった。ペナルティーエリア内右、ゴールライン際のアンヘル・コレアがマルカオをかわしてからゴール前に横パスを送ると、メンフィスが滑り込みながら右足でボールを枠内に流し込んでいる。シメオネ監督が2トップの交代を見事的中させた格好だ。
リードを得たアトレティコはその後攻めるときには攻め、守るときには守り(現在の彼らは守りに徹しても心許ないところがある)、追加点とリード維持のどちらも狙う。後半アディショルタイム5分には、バリオスがペナルティーエリア内でのスライディングタックルでラメラを倒したとしてマンサーノ主審がPKを指示したが、VAR介入とオンフィールドレビューの結果、バリオスがボールに触れていたためPKは撤回に。アトレティコが虎の子の1点を守り切る形でセビージャとの試合を制し、2強なきコパでベスト4進出を果たしている。




