Julian Alvarez penaltyGetty Images

スペイン著名ジャーナリスト、VARの存在を疑問視「サッカーは違うスポーツに、“昆虫のゲーム”に変わった。スポーツの躍動感を顕微鏡が台無しにしている」

スペインの著名スポーツジャーナリストが、VARの存在について疑問を呈している。

PK戦2-4で決着がついたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦アトレティコ・マドリー対レアル・マドリーだが、そのPK戦でアトレティコFWフリアン・アルバレスのゴールが取り消されたことは、世界的な騒動となった。

その理由は右足でシュートする直前、スリップした軸足である左足がボールに接触しており、2回ボールに触れていたとのことだったが、肉眼で判別するのは難しく、また選手にも“ダブルタッチ”の意図がなかった。PK戦でVARが介入するのも、極めて珍しいことだ。

UEFAはPK戦でVARに介入したこと、またJ・アルバレスが2回ボールに触れていたことに間違いはないとしながら、国際サッカー評議会(IFAB)と意図のない“ダブルタッチ”の正当性について協議すると発表している。

ただ、スペインではVARの存在価値を否定する意見が根強く残っており、今回の一件がさらに拍車をかけることになった。以前からVARの必要性に疑問を呈してきたスペインの著名スポーツジャーナリスト、サンティアゴ・セグロラ氏もスペインのラジオ局『オンダ・セロ』の番組で、VARがフットボールの本質を変えてしまったとの見解を示している。

「もう何年も言い続けているが、フットボールはすでに違うスポーツ、違うゲームに変わってしまっている。150年にわたり世界を魅了してきたこのゲームは、おそらく今後も人々を魅了していくのだろうが、しかしこれまでとは違った形でそうしていくのだろう」

「今のフットボールは“昆虫のゲーム”だ。つまりは顕微鏡の世界のものなんだよ。これは人々のためのフットボールではない。スタジアムの人たちのためのフットボールではない。もっと言えば、肉眼で検知できない問題について知らされる審判のためのフットボールでもない」

「以前のフットボールは巨大な人間たち、傑出した人間たちが戦うものだった。逞しく、肉体的で、素晴らしいプレーを見せる選手たちが興じていたもので、その素晴らしさがゴールなどの場面で、瞬間的に人々の心に突き刺さった」

「しかしながら今のフットボールは、とにかくすべてを細かく見ることで、すべての感情的な衝動を止めてしまう。『足が当たったか?』『靴紐が当たっただけじゃないのか?』と、人々が気づいていないところ、どうでもいいところまで細かく見て、最後には取り消しとする。熱を冷ましてしまうんだ」

「私は今回のような形でノックアウトラウンドが決まってしまうのが、本当に悲しい。悲しくも、あれが今季を代表するプレーとなってしまうんだ」

「VARは明らかな間違いを正すために生まれたがというが、グレーなプレーはずっとグレーのままだ。いや、今は審判が、よりすべてを“考えるがまま”にコントロールしているという感覚すらあるよ」

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