14日のラ・リーガ第31節、アトレティコ・マドリーは本拠地リヤド・エア・メトロポリターノでのバジャドリー戦に4-2で勝利した。
今節どちらも勝利を収めた首位バルセロナ、2位レアル・マドリーとの勝ち点差はそれぞれ10と6……3位アトレティコが残り8試合で逆転優勝を果たすためには、“パルティード・ア・パルティード(試合から試合へ)”の一戦必勝の哲学で、とにかく勝ち続けるしかない。
チャンピオンズリーグ、コパ・デル・レイで敗退して日程に余裕が生まれたことで、もちろんシメオネ監督は現状のベストメンバーでスタメンを組んでいる。先発はGKオブラク、DFマルコス・ジョレンテ、ヒメネス、ラングレ、ハビ・ガラン、MFジュリアーノ・シメオネ、バリオス、コケ、ギャラガー、FWグリーズマン、フリアン・アルバレスで、使用システムは4-4-2だ。
前半、コケ&バリオスの新旧カンテラーノ(下部組織出身選手)の2ボランチがゲームをつくり、相手陣地に攻め込んでいくアトレティコ。だが21分、バジャドリーに先にゴールを奪われてしまう。ペナルティーエリア内でラングレの肘にボールが当たってPKが指示されると、キッカーのシラにGKオブラクを破られている。
1点ビハインドを負ったアトレティコだったが、早い段階で逆転に成功する。その立役者は圧倒的スピードのドリブルで、右サイドに風穴を空け続けたシメオネ監督の三男ジュリアーノである。
ジュリアーノはまず24分、ペナルティーエリア内右でハビ・サンチェスに足を踏みつけられてPKを獲得。キッカーのフリアン・アルバレスは、GKアンドレ・フェレイラが横に動くことを見据えて、枠内中央に強烈なシュートを叩き込んでいる。
ジュリアーノはさらに26分、フットボール界で最も勢いのあるサイドアタッカーの一人であることを証明する、衝撃的なゴラッソ(ファインゴール)を決めた。中盤でバリオスがボールを保持すると、ジュリアーノは相手DFとの駆け引きで少し後ろに下がって、そのタイミングでロングボールが蹴られる否や凄まじいダッシュを見せて縦に突破。そのままペナルティーエリア内左深くに侵入すると、鋭利な切り返しでゴールの方を向いて、利き足とは逆の左足で思い切り、力の限りシュートを放った。ボールはA・フェレイラに当たりながらも勢いを失わず、枠内に突き刺さっている。
前半途中から雨が降り始め、1階席の人々が屋根のある場所に避難したメトロポリターノだが、このジュリアーノのゴールにはほぼ全員が衝動的に叫び声を上げた。その後、場内アナウンスの「ゴールを決めたのはジュリアーノ?」の問いかけに対し、「シメオネ!」との威勢のよい返答がスタジアム中に響き渡っている。それはまるで、選手時代のシメオネ監督やキコ、またはフェルナンド・トーレスのようなアトレティコのアイドルが、新たに誕生した瞬間のようだった。
1点リードで試合を折り返したアトレティコは、後半は堅守速攻をベースに追加点を探っていく。が、56分に再び失点。ペナルティーエリア手前からのフリーキックで、ハビ・サンチェスの放ったシュートが壁のギャラガーに当たってコースが変わり、枠内に収まっている。
同点に追いつかれたシメオネ監督は、コケ、グリーズマン、ラングレ、ギャラガーをル・ノルマン、リケルメ、スルロット、モリーナに代えてチームのダイナミズムを変化させる。そうして攻勢を強めると70分、ペナルティーエリア内でジョレンテがエンリケに踏みつけられて再びPKを獲得。キッカーのJ・アルバレスがまたもシュートを決め切って勝ち越した(アルバレスは今季公式戦26得点目)。
シメオネ監督は74分に最後の交代カードを切り、ジュリアーノを下げてレマルを投入。最後までそのスピードと闘う姿勢を示したジュリアーノは、スタンディングオベーションを受けながらベンチに下がっている。
アトレティコはさらに79分、バジャドリーを引き離す4点目を獲得。右サイドをリケルメが抜け出してグラウンダーのクロスを送り、J・アルバレスがシュート。これはA・フェレイラに弾かれたものの、こぼれ球をスルロットが押し込んだ(こちらは今季16得点目)。アトレティコは2点リードを維持したまま試合終了のホイッスルを迎え、前節セビージャ戦に続いて勝ち点3を獲得。首位バルセロナを勝ち点7差、2位レアル・マドリーを3差で追っている。




