17日のラ・リーガ開幕節、アトレティコ・マドリーは敵地RCDEスタジアムでのエスパニョール戦を1-2で落とした。
今夏ここまでにDFルッジェーリ(移籍金1700万ユーロ)、MFバエナ(4500万ユーロ)、FWアルマダ(2500万ユーロ)、MFカルドーソ(2500万ユーロ)、DFプビル(1600万ユーロ)、DFハンツコ(3500万ユーロ)、FWラスパドーリ(2100万ユーロ)を獲得……投じた移籍金の総額は1億8400万ユーロ(約320億円)にのぼる。シメオネ監督とともに13年連続でチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得し、成長を続けてきたアトレティコは、かつてないほど強力な陣容をつくり上げて“新時代”を迎えた感がある。
シメオネ監督はこのエスパニョール戦、GKオブラク、DFジョレンテ、ル・ノルマン、ハンツコ、ルジェーリ、MF後列ギャラガー、カルドーソ、前列ジュリアーノ、バエナ、アルマダ、FWフリアン・アルバレスと、新加入の5選手を先発起用。4-2-3-1を基本システムとしている。
プレシーズン、シメオネ監督はとにかく速いテンポでプレーすることを選手たちに求めたが、そうした練習の成果はこの一戦の前半から表れる。アトレティコはアルマダ、バエナを中心とした手数の少ない素早いパス回しでもって、スピーディーに攻撃を仕掛けていく。そうして37分に先制点を獲得。決めたのは、チームのプロジェクトの中心に据えられるフリアンだ。ペナルティーエリア手前左からのフリーキック、背番号19が右足を振って完璧にミートさせたボールは、GKドミトロビッチの横っ飛びもむなしく枠の左隅に突き刺さった。
1点リードで試合を折り返したアトレティコ。ハーフタイム、シメオネ監督はカルドーソ、ギャラガーを下げてコケ、バリオスを投入する。選手層の厚さを見せつけながら、迎えた後半も主導権を握り続ける同チームは、57分にフリアンが決定機を迎えるもボールは惜しくも左ポストに直撃。アルゼンチン人指揮官は68分にさらに交代カードを切り、バエナ、アルマダをグリーズマン、ラスパドーリに代えた。
ベンチから出てくる全員が主力級と、本当に豪華なアトレティコの陣容だが、その層の厚さがスコアに反映されない。次に点を決めたのは、エスパニョールだった。サイドからのフリーキック、ペナルティーエリア内でラスパドーリのマークを引き剥がしたミゲル・ルビオが、送られてきたボールを右足で枠内に流し込んだ。
点差を広げるどころか追いつかれたシメオネ監督は、82分にフリアンをスルロットに代えて交代枠を使い切る。パワープレーも意識したが、しかしヘディングシュートによるゴールは反対のペナルティーエリアで生まれた。84分、エスパニョールが逆転。右サイドから送られてきたクロスにペレ・ミジャが後方を向きながら頭で合わせると、このボールがオブラクを破っている。アトレティコにとっては不運とも言える守るのが難しい非常に高難度なシュートだった。
アトレティコはその後、決死の猛攻を仕掛けるも、エスパニョールの堅守を崩すことができず1点ビハインドのまま試合終了のホイッスルを迎えた。“新時代”は、波乱の敗戦からの幕開けとなった。




