アトレティコ・マドリーは4日にコパ・デル・レイ（スペイン国王杯）準々決勝、本拠地リヤド・エア・メトロポリターノでのヘタフェ戦に臨み、5-0で大勝した。
今季ル・ノルマン、スルロット、コナー・ギャラガー、フリアン・アルバレスらを加えて戦力を大きく引き上げ、2013年以来となるコパ優勝も狙うアトレティコ。週末にはレアル・マドリーとのラ・リーガ首位決戦も控えている状況だが、シメオネ監督は出し惜しみををほとんどしなかった。スタメンはGKフアン・ムッソ、DFモリーナ、ヒメネス、ル・ノルマン、ガラン、MFジュリアーノ、デ・ポール、コケ、サムエウ・リーノ、FWグリーズマン、アルバレス（なおバリオスは試合直前に体調不良となり欠場）。
現地時間21時半キックオフと、普段最も遅い時間帯よりもさらに30分遅くスタートしたこの試合。アトレティコはまるで決着を急ぐように立ち上がりから攻勢を見せ、8分には先制点を記録した。決めたのは、絶好調ジュリアーノだ。左サイドのハビ・ガランがクロスを送ると、内に絞ってペナルティーエリア中央に位置したシメオネ三男がヘディングシュート（J・アルバレスに密接してマークを分散させていたため、ヘタフェDF陣にとっては守りづらかった）。このボールが枠内左隅に収まっている。
アトレティコはその後、ヘタフェの反撃を退けながら追加点を目指していく。ヘタフェはディエゴ・リコ、コバ、アルバロが出場停止、ニョム、ミジャが負傷中と多数の欠場者を抱え、ボルダラス監督は冬の市場でビジャレアルから獲得したばかりのテラッツ、ベルナトをぶっつけ本番で起用。シメオネ監督はヘタフェの連係不足を見て取ってか、ベルナトがサイドバックを務める彼らの左サイドを執拗に突く。デ・ポールを中央からサイドに張り出させ、そこにモリーナ、ジュリアーノを絡めて攻め込んでいった。
そして17分、アトレティコの追加点が決まる。カウンターの場面、左サイドのJ・アルバレスがサイドチェンジのボールを送り、ゴール手前右のデ・ポールがダイレクトで内にボールを折り返すと、そこにジュリアーノが走り込む！ シメオネ三男は飛び出してくるGKを眼前に右足でボールを叩き、再びネットを揺らした。
右サイドを圧倒的スピードで駆け抜けて、相手の守備陣に穴を空けるジュリアーノだが、意外にもゴールは少なく今季通算得点数は今回の2得点で4得点に。なおピッチ上では、息子に対して常にクールに接している父親のシメオネ監督は、今回のゴール場面でもそこまで喜びを表面に出さなかった。
アトレティコはその後も攻勢を続け、グリーズマンやJ・アルバレスが決定機を迎えていくが決め切れず。しかし3点目が決まるのは時間の問題に見え、実際42分に再び歓喜の声がメトロポリターノに響き渡っている。右サイドから攻撃を展開して、ジュリアーノが中央に向けて横パス。このボールをペナルティーアークで受けたJ・アルバレスが左前方にスルーパスを送ると、リーノがフリーで走り込み、落ち着き払った左足のシュートでネットを揺らしている。
スコアが3-0となり、メトロポリターノの観客は次のダービーに目を向け始める。前半の内から「ジャンプしないやつはマドリディスタ！」「ビキンゴ（バイキング、マドリーの愛称）たちは誰がスペイン首都を支配しているか知れ」といったダービーへのチャントが歌われていた。
迎えた後半はヘタフェがポゼッション率を高め、アトレティコは堅守からの速攻をより意識して追加点を狙う。大きな動きがないまま時間は過ぎ、シメオネ監督は61分に交代カードを切る。ジュリアーノ、J・アルバレス、ハビ・ガランを下げてコレア、アスピリクエタ、ギャラガーを入れた。なおジュリアーノの名前がアナウンスされると、観客はシメオネ監督とは違い、大喝采でその活躍を称えている。シメオネ監督はさらに73分には、グリーズマンも休ませてスルロットをピッチに立たせた。
アトレティコが4点目を決めたのは、78分のことだった。ハイプレスによるボール奪取から攻撃に移り、ペナルティーエリア手前右でボールを受けたコレアが、振りの早い右足のシュートを対角線上に向けて放つ。地面を転がるボールが、GKの横っ飛びもむなしく枠内左に収まった。
シメオネ監督は80分にデ・ポールをロドリゴに代えて交代枠を使い切る。そして86分、アトレティコがダメ押しとなる5点を決めた。コレアのヘタフェのセンターバック、ドゥアルテからボールを奪うと、スルロットとパス交換をしながらゴールへ。最後はコレアの横パスからスルロットがシュートを流し込んでいる。アトレティコは5点のリードを維持したまま試合終了のホイッスルを迎え、ホーム＆アウェー形式で行われるコパ準決勝に歩を進めた。なおシメオネ監督はヘタフェとの対戦成績を、これで22勝5分けとしている。