日本代表はAFCアジアカップ カタール2023の準々決勝でイラン代表と対戦する。豪華なメンバーを揃える相手との顔合わせとなるが、この難所を乗り切るためのポイントはどこにあるのだろうか?【取材・文=林遼平】
■各ポジションにトップレベルの選手
Getty Images大きな難所がやってきた。バーレーン代表戦の勝利から中2日で相対するのは、「因縁の相手」(南野拓実)であるイラン。今大会において最も難しいタイミングでぶつかる強敵との対戦は、優勝に向けた一つの山場となる。
グループCを首位で勝ち進み、決勝トーナメント1回戦でシリア代表を破ってきたイランは、アジア屈指のタレント集団だ。シリア戦で退場処分を受けたポルトで活躍するメフディ・タレミこそ出場停止で欠くものの、エースストライカーのサルダル・アズムンは現在ローマでプレーしている。
そのほかにもタレミに代わって出場してきそうなカリム・アンサリファルドやフェイエノールトで上田綺世とともにプレーするアリレザ・ジャハンバフシュ、ワイドで存在感を放つ突破力に長けたメフディ・ガエディやプレミアリーグのブレントフォードでプレーする中盤のサマン・ゴドスなど、各ポジションにトップレベルのプレイヤーが揃う。簡単に隙を見せると一瞬でゴールを奪われる可能性もあり、これまで以上に警戒しなければいけないチームであることは間違いない。
ただ、「前回対戦した時(日本が3-0で勝利した2019年のアジアカップ準決勝)と比べて意外と世代交代していない印象がある」と南野が言うように、イランのチーム全体の平均年齢は上昇。老獪な選手が多い一方で、フレッシュな若手が少なく、近年の日本の成長を考えれば、決して引けは取っていない。相手は「真っ向勝負でぶつかってくる」(冨安健洋)ことが予想される中、日本はバーレーン戦のようにチーム全体のコンパクトさを保ち、攻撃面でもアグレッシブな姿勢を貫いていくことでイラン撃破といきたいところだ。
■三笘は「先発から行けるくらい上がっている」
(C)GOALチームとしては中2日の状況をどう考えるかが一つのポイント。過密なスケジュールに加えて、バーレーン戦の負傷により旗手怜央が欠場。また伊東純也もチームを離脱したことで、メンバー構成が難しくなっている。その中で、注目したいのは三笘薫だ。「先発から行けるくらい上がっている」と口にする三笘がスタートからピッチに立つことができれば、左サイドの攻撃に厚みを生むことができるはず。さらに三笘に対してマークが集まれば、他の場所にスペースが生まれてくることから攻撃にも新たなバリエーションが生まれてくるだろう。
あとはゲームの展開を見極めながら巧みに試合を進めていくことができるか。日本とは違いイランはラウンド16でPK戦まで戦っており、上田綺世が指摘するように「120分戦うことになれば僕らの方がさらに有利になっていく考え方もできる」のは明らか。立ち上がりから試合を終わらせにいくことはもちろんだが、スコアレスで試合が進んだとしても自分たちに有利に働いていくと考え、焦れずに戦っていく必要がある。
「入りから今まで通りアクションを起こしてゲームを進めていきたいと思うし、それは相手からしたらすごく嫌なことだと思っている。ただ、0-0、0-1のゲーム展開になったとしても、焦れずにやり続ければ、たぶんチャンスは自ずとやってくる。90分、120分と戦っていく中で、時間が経つにつれてアドバンテージは大きくなってくると思う。そういうゲームプランも含め、入りのところでうまくいかなかったとしても焦れずにやり続けること、それが勝利の確率を上げるために大事なのかなと思います」(遠藤航)
疲労度等を含めてもタフな試合になることは間違いない。相手に勝る闘志を見せ、戦術的にも上回っていくことで準決勝への道を切り開いていく。試合は日本時間3日の20:30にキックオフ予定だ。