16日のラ・リーガ第24節、マジョルカは本拠地ソン・モッシュでのラス・パルマス戦を3-1で制した。日本代表FW浅野拓磨は先発出場を果たして71分までプレー。チームの2025年初勝利に貢献する活躍を見せた。
2025年に入ってからの公式戦の成績が1分け5敗と、欧州カップ出場権を争っていたシーズン前半戦と打って変わって絶不調に陥るマジョルカ。アラサテ監督はこの試合で決断を下し、ムリキとラリンの2トップシステムの使用をついに止める(ムリキは同じタイプのFWを並べてもプレーが難しいと発言していた)。4-4-2から浅野を右サイドハーフ、ダニ・ロドリゲスをトップ下、ムリキを1トップとする4-2-3-1にシステムを変更している。
この試合に限っては、システムの変更は完全に成功だったと言っていい。マジョルカは前半からラス・パルマスを圧倒。浅野も存在感を十分に発揮していた。日本代表FWは攻撃時、右サイドから中央に寄ってムリキと2トップ気味にプレー。DF&MFライン間から送られるパスから積極的かつ迫力満点の走り込みを見せて、チームの攻撃に縦への推進力と深みを与えることに成功していた。
そんな浅野のスピードとバイタリティもあって、相手陣地で試合を進めるマジョルカは、次々と得点を重ねていく。まず7分、ダニ・ロドリゲスの右足アウトサイドのクロスからムリキが得意のヘディングシュートで先制点を獲得。ムリキはさらに29分、モヒカのグラウンダーのクロスを押し込んでこの日2点目を決めた。そして35分には、ラス・パルマスDFがクリアし損なったボールからダニ・ロドリゲスが右足のシュートを突き刺して3-0。マジョルカはソン・モッシュの人々が満足そうな笑みを浮かべる中、前半を終えている。
後半立ち上がり、前半ゴールにこそ絡まなかったものの存在感を見せていた浅野は、さらに印象的なプレーを見せていく。まず49分、ムリチがヘディングシュートを打ち損なうと、浮き上がり落ちてきたボールからオーバーヘッドキックでゴールを狙う。しかし、このボールはクロスバーを大きく外れてしまった(なおスペインの実況は「アサノ、まるでカラテキッドです」と叫んでいる)。
浅野はさらに54分に見せ場をつくる。右サイドで、後方から届いたロングボールをまるでジダンやベルカンプのように軽やかなタッチでトラップすると、さらに股抜きでラス・パルマスDFをかわしてペナルティーエリア内右に侵入。グラウンダーのクロスを送り、ムリキが後ろにはたいたボールを駆け込んだダニ・ロドリゲスが右足で叩くも、これは惜しくもバーの上に外れている。なおアラサテ監督は此のプレーの直後、浅野に向かって大きく拍手を送っていた。
ラス・パルマスDF陣にとって悩みの種であり続けた浅野は、マジョルカ加入後初得点を決める意欲もありありと感じさせたが、ゴール前絶好のポジションでグラウンダーのクロスに合わせようとしたところGKシレッセンのブロックに遭うなど、この試合ではやはりゴールに縁がない。またマジョルカは61分、バイチェティッチのゴールを許して、ラス・パルマスに2点差に詰められた。
アラサテ監督は71分に交代カードを2枚切り、浅野もピッチから下げる。浅野はゴールラインからピッチを出てベンチに向かったが、マジョルカサポーターは彼の活躍をしっかりと称えた。ベンチに座る浅野の名を呼んで喝采を送り、浅野は立ち上がって拍手を送り返している。
マジョルカは2点リードを維持したまま終了のホイッスルを迎え、2025年7試合目でようやく初勝利を飾った。ラ・リーガでは浅野がスタメンを務めた12月21日の第18節ヘタフェ戦以来、じつに5試合ぶりの勝利。勝ち点を34として暫定で7位に浮上している。




