【Goal50特別企画】A=アーノルドが作り上げる“究極の選手”とは?「彼の動きは人間じゃない!」

Trent Alexander-Arnold Goal 50 GFX
Goal/Getty
【Goal50特別企画】2020年は14位にランクインしたトレント・アレクサンダー=アーノルド。そんなリヴァプール(プレミアリーグ)DFが、8つのカテゴリーから最強の能力者を選出し、“究極の選手”を作り上げる。

■2020年『Goal50』は14位に

トレント・アレクサンダー=アーノルドは、すでにご存知のとおり目覚ましい勢いでスターダムに駆け上る選手だ。

「とても良い一年だったね。間違いなく記憶に残る一年だった」リヴァプールDFはかすかに微笑みを浮かべて言う。

昨季の世界最高の選手を投票によって選出する『Goal50』。この年末の恒例行事において、アレクサンダー=アーノルドは2020年は14位にランクイン。2019年より順位をひとつ上げた。「来年はトップ10入りしたいね!」と意気込んでいる。

Goal 50

若くしてヨーロッパを制し、世界も制し、プレミアリーグのチャンピオンになり、PFA年間最優秀若手選手賞も受賞。代表選手としての地位も確立し、地球上で最高レベルのサイドバックにまで上り詰めたが、リヴァプール生まれの若き才能は落ち着く気配すら見せない。

「全てのアスリート、全てのフットボーラーのメンタリティは、常に挑戦し、成長していくようなものでないといけないんだ」彼はこう語る。「メンタリティの面でこれまで僕が見た最高の、そしてこれ以降もずっと最高だろう二人をあげるとすれば、(クリスティアーノ)ロナウドと(リオネル)メッシだね。彼らは常に成長したいと思っている。個人としてもチームとしても目標を達成したいと思っているんだ」

「メッシはバロンドールを6回受賞した。ロナウドは5回だ。けれど、彼らは決して現状にあぐらをかかない。十分やり切ったと思ったことはないはずだ。そんなハングリー精神や欲求、そして決意を毎日毎日持ち続けているんだ。スイッチがオフになることは絶対ないんだよ」

「僕にとっては、彼らの姿があるべき目標になっている。彼らの年齢であれだけのことをまだできているのなら、あれほど継続して成果が出せるように僕もトライして、到達してみようと思えるんだ」

■作り上げた完璧な選手とは?

アレクサンダー=アーノルドはインタビューの趣旨に沿って、自ら良い雰囲気を作ってくれた。今回のインタビューは、「彼が一緒にプレーしたり、対戦したりした選手の能力を使って理想のフットボーラーを作り上げてもらおう」という目的だ(※カテゴリーは「インテリジェンス」、「スキル」、「ヘディング」、「強さ」、「スタミナ」、「スピード」、「左足」、「右足」)。

自然にメッシの名前が彼の口から何度も出てきた。彼はメッシと対戦したあの夜を最高に楽しんだことだろう。アンフィールドで行われた2019年のチャンピオンズリーグ(CL)準決勝セカンドレグのことだ。だが、アルゼンチンのスーパースターと対峙したときの様子を聞いてみると、「信じられない」というように首を振った。

TAA Perfect Player Messi GFX

「控えめに言っても、タフだったよ!」興奮気味に振り返る。驚くべきもなく、アレクサンダー=アーノルドはメッシを「左足」と「フットボール・インテリジェンス」のカテゴリーに選出した。

「彼がボールの近くにいなかったとしても、自分の思考のどこかに彼がいるんだ。自分のペースで試合を進めようとしても、攻撃しようとしてもだ。彼にボールが渡ればどんなことだって起きるからね。ピッチのどこにいたとしても、何だってできてしまうんだよ」

「たとえ見えるところにいなくても、自分が集中できていてもだ。彼は他の誰もが見えないものを見ることができるからね……ピッチ全体を見るようにしないといけないんだ」

「誰よりも早く物事を見通すことができる。ディフェンダーがこれから何をするのか読むことができる。そしてディフェンダーなどいなかったかのように、すり抜けていくんだ。マネキンを相手にプレーしているんじゃないかと思うことが何度もあるよ」

「正直に言えば、用意されているカテゴリーのうち5箇所か6箇所には入るんじゃないかな。この15年間、これまでにないことをやってのけているんだ。弱点なんてないと思うよ」

「彼がやっていないことなんてもうないくらいだ。だから、彼は過去最高のプレイヤーだ。彼に近いレベルの選手を見かけたら、僕はラッキーだと思うよ」

アレクサンダー=アーノルドは、続いてケヴィン・デ・ブライネについてもまくし立てた。デ・ブライネは「右足」のカテゴリーに入選。このマンチェスター・シティのスターはライバルということになるだろうが、アレクサンダー=アーノルドは明らかに彼に一目置いている。

「対戦した選手の中では最高のパサーだね。プレーを見て『ワオ!』と声を上げる瞬間が彼以上に多い選手は珍しいよ。そういうタイプの選手といつでも練習したりプレーしたりしていれば、驚きのプレーにも慣れてしまうものだ」

「だけど、それでもデ・ブライネは驚きの瞬間を見せてくれるんだ。彼の試合を見ていると、僕が『ワオ!』ってなるところにパスを出すんだよ」

この「ワオ!」という言葉は、「スピード」のカテゴリーにも当てはめられるだろう。彼はこのカテゴリーが最も簡単だったと説明する。

「ここはアダマ・トラオレでしょ!」ウルブズのウィンガーの名前を上げ、彼は頬を膨らませた。「切り返しの動きはほとんど人間じゃないよね。あれほど自分の無力感を感じたことはないよ」

TAA Perfect Player Traore GFX

「自分より速い人がいる、これは仕方ないことだ。だが、ポジショニングをよくしたり、スタートを早く切ったりすれば競り合うことはできる。でも彼と、彼のパワーと対峙したときは違う。できることは本当に何もないんだ!」

「昨シーズン彼がアンフィールドに来たときのことを覚えているよ。彼はただターンしてボールに触れただけなのに、もういなくなってしまったんだ。あんな気持ちになったのは初めてだ! 彼でなきゃいけない、彼でなきゃね」

続いては「スタミナ」。このカテゴリーに関しても、疑いの余地はない。現代フットボーラーはウインガーであれゴールキーパーであれ、筋トレ中毒になりがちだが、34歳になっても“スタンダード”を作り続ける男がチームメイトにいるのだから。

「これはジェームス・ミルナーでしょ!」アレクサンダー=アーノルドは続けた。「僕らのチームは調子が良いし、素晴らしいエンジンを積んでいる選手はたくさんいる。ヘンド(ジョーダン・ヘンダーソン)、ジニ(ジョルジニオ・ワイナルドゥム)、ロッボ(アンドリュー・ロバートソン)とかね。だけど、ミリー(ミルナーの愛称)ほど元気な選手を見ることはもうないだろうな」

「何年か前にはケビン・スチュワートが彼と張り合っていたのを覚えているけど、彼の年齢とプレー年数を考えれば、世界で一番調子の良いチームで、未だに元気なプレイヤーであり続けるためには、まだなすべきことがあるだろう。ここはミリーに違いないよ」

チームメイトのことを話しているときのアレクサンダー=アーノルドは一番嬉しそうだ。フィルジル・ファン・ダイクは「ヘディング」のカテゴリーを獲得。「自陣でも敵陣でものボックス内で最強」とのことだ。一方、メルウッドでの練習試合で彼と直接退治するサディオ・マネについては、一緒にプレーした中で「最もフィジカルが強い選手」と語っている。

しかし、「強さ」のカテゴリにピックアップされたのは、モハメド・サラーだった。

TAA Perfect Player Salah GFX

「彼のフィジカルも凄いんだよ」と微笑む。「ボールを保持してディフェンダーを体で弾き飛ばすのを見ているでしょ?彼は相手に近づいて弾き飛ばすのが好きなんだよね」

「信じられないくらいフィジカルが強いんだ。それでいて電光石火の速さも持っている。こういう選手たちが僕らの両ウィングにいるんだから、守るのはとても難しいだろう。彼らに近寄ることはできないし、スペースを与えることもできない。どちらの状況でも強さを発揮するからね」

サイドバックとして、アレクサンダー=アーノルドは彼らの強さ、速さ、スキルの高さを使うことに慣れている。サラーとマネは毎日練習で彼を試しているし、トラオレ、マーカス・ラッシュフォード、ウィルフレッド・ザハ、ネイマールといった彼が相対したトリッキーな面々も、彼にとっては教育の一環だったのだ。

「ネイマールは『スキル』に置くべきかな」と言う。「ザハは俊足の持ち主だから、彼と対戦するときは試合を支配していないといけないね」

「だけど、ネイマールは体重移動がとても上手なんだ。彼は相手のバランスを崩しにくるし、腰を回させたり足を動かさせたりした後で、また別の方向に動き出すんだ。そして抜いていってしまう」

「ボールを取れそうだと思ったときも、離れたところから掠め取っていくんだ。彼の持つフェイントやら何やらのせいで対戦するのは本当に大変だ」

TAA Perfect Player GFX

■最優秀選手へ一言

さて、2020年『Goal50』最優秀賞を受賞したロベルト・レヴァンドフスキのことを話してインタビューを終わりにしよう。アレクサンダー=アーノルドいわく、彼は世界で最高の9番とのことだ。

バイエルン・ミュンヘンで三冠を達成したポーランド人は、コロナ禍でアワードが取りやめになっていなければ、確実にバロンドールを受賞していたはずだろう。アレクサンダー=アーノルドが言うには「ちょっと不公平だけど、そういう運命にあったんだろう」ということだ。

「彼は残念に思っているはずだよ。今の時代、あの二人(メッシ、ロナウド)を押しのけてこの賞を取れる選手はそう多くはないからね」

「でも、彼は自分が成し遂げたことを分かっている。驚くほどのことを成し遂げ、たくさんのトロフィーを掲げてきた。ものすごい数字だ。過去10年でストライカーとしては、数字や継続性で(メッシとロナウドに)近づけたのは本当に彼と(ルイス)スアレスくらいしかいないよね。あの二人がハードルをものすごく高くしている。シーズン60得点だ。だから、他の選手にとってはその数字に近づいただけでも功績になるよ」

「レヴァンドフスキは信じられないくらい素晴らしい選手だ。彼の年齢でこれだけの数字を残すということは驚くべき功績だ。これはサッカー選手がさらに一歩進んだことを表している。彼がヨーロッパのストライカーたちの手本を示しているんだ」

確かに価値のある受賞だ。だが、将来、数年内にアレクサンダー=アーノルド自身が選ばれても驚かないでほしい。

彼はまだ21歳。絶頂期はまだ先なのだから。

取材・文=ニール・ジョーンズ/NEIL JONES(『Goal』リヴァプール番記者)

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