カタール・ワールドカップ(W杯)グループEの第1節で、日本代表は23日22:00にドイツ代表戦のキックオフを迎える。厳しいグループを戦う中で、重要な初戦をどのように戦うべきなのだろうか。【取材・文=林遼平】
■世界最高峰で揉まれた日本人選手
(C)Getty images12日後、カタールのピッチで日本はどんな表情を浮かべているのだろうか。グループステージ突破を決めて歓喜の笑顔を浮かべているのか、それとも敗退が決まって悔しさのあまり涙を流しているのか。4年に1度しか訪れない大舞台。選ばれた26人の侍が日本を背負って世界との戦いに挑む。
グループリーグの組み合わせが決まった時からわかっていた。非常に険しき道が待っていることを。同じグループに入ったのは、W杯優勝国であるドイツとスペイン、そして2014年にベスト8に入ったコスタリカ。このメンバーを見れば、そう簡単に決勝トーナメントに進出できるとは言えないはずだ。
もちろん「絶対に突破できない」と決めつけるのは時期尚早である。近年の日本の選手は若い年齢で欧州のクラブへと旅立ち、海外の選手たちに揉まれることで日に日に力をつけてきた。世界最高峰の舞台とも言えるチャンピオンズリーグ(CL)に出場する選手も増え、選手個々のレベルは上がってきたと言って間違いなく、そういった成長を遂げてきたからこそ、重要な初戦の相手がドイツであろうと恐れることはないだろう。
■最悪でも勝ち点1
(C)GOALグループリーグ突破を狙う上で重要になるのは、勝ち点をしっかり奪っていくことだ。
もちろん、相手の戦力は日本より上だ。多少のケガ人やコンディション不良が出ているとはいえ、ヨナス・ホフマンやジャマル・ムシアラ、トーマス・ミュラーといったピッチで局面を変えられる選手がずらりと並ぶ。チーム全体を見ても世界のトップレベルでプレーしている選手が多く、難しい試合になることは明らかだ。
ただ、決して付け入る隙がないわけでもない。チーム全体としてポゼッションで優位性を取られて「押し込まれることの方が確率的に高くなる」(守田英正)ことは考えられるが、それもすでに織り込み済み。そういった状況下で、いかにコンパクトな陣形を保ちながら守備を強固にし、ボールを奪った後にショートカウンターを狙っていくことができるか。良い守備から良い攻撃という堅守速攻のスタイルで相手ゴールを襲っていく必要があるだろう。
初戦の雰囲気に飲まれないことも重要だ。「初戦はどんな大会でも簡単ではない。グループステージを突破する上で非常にウェイトが大きくなってくる試合だと思うので、まずは自分たちで自信をもって勇気を出して戦うことが大事」とは吉田麻也の言葉。判断に迷ったり、リスクを負うことを諦めたらドイツの思う壺。強気な姿勢でゲームを進めることが求められている。
また、状況に応じた戦い方を選択することができるかも一つのポイントだ。3試合を考えた時に、ここで無理矢理リスクをかけて勝ち点を落としていたら目も当てられない。最悪でも勝ち点1は持ち帰るというスタンスで戦うことも時には重要になるだろう。
そういった意味でも、一瞬の判断が大きな意味を持つ一戦となることは間違いない。森保ジャパンの総決算。日本のW杯の開幕を告げるドイツ戦が今まさに幕を開けようとしている。
