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【日本代表|総括】W杯8強に肉薄した今大会…2050年優勝の大目標へ確実に吸収したい経験

 カタール・ワールドカップ(W杯)をベスト16で終えた日本代表。激闘を見せた今大会を振り返り、課題と収穫を整理する。【取材・文=林遼平】

■勇敢に戦い抜いた日本

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 歓喜に湧くクロアチアの選手たちと、倒れて涙を流す日本の選手たち。勝者と敗者のコントラストは相変わらず鮮烈だった。

 サッカーというものは残酷なスポーツである。初のベスト8を目指したクロアチア戦は、先に得点を奪うことに成功したが、後半に同点弾を許すと120分で決着がつかずPK戦へ。最後は3つのPKを外した日本が敗退を余儀なくされた。

 世界の強豪国であるドイツやスペインを破り、グループステージを首位通過する素晴らしい戦いを見せていたが、またしてもラウンド16の壁を乗り越えることができず。日本は新しい景色を見ることのできぬまま、大会を去ることになった。

 振り返ると、ベスト16までの歩みは、確かな進化を感じさせた。大会前に守備に重きを置いたサッカーにシフトチェンジすると、初戦のドイツ戦では先制点を奪われながらもシステム変更を機に流れを引き寄せ、堂安律と浅野拓磨のゴールで逆転勝利。第2戦のコスタリカ戦こそ敗れたが、負ければ敗退の状況で迎えたスペイン戦も3バックシステムが奏功して再び逆転勝利を収めることに成功した。

 格上との対戦で勝利を手にすることは簡単なことではない。それでも日本は勇気を持って、勇敢に戦い抜いた末に2つの勝利を獲得したのだ。その結果、突破することさえ難しいと思われていたグループステージを首位で抜け、多くのサッカーファンに感動をもたらした。

 これまでのW杯の歴史を振り返っても、これほどまでに見るものをワクワクさせてくれた大会はないだろう。このチームなら新たな舞台へと進むことができるのではないか。そう思わせてくれたことは間違いない。

■4年間抱え続けた課題

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 それでも、あと一歩のところで届かなかった。クロアチア戦は「足りなかったことがあるのが正直なところ。結果を掴み取れなかったのが事実」とは酒井宏樹の言葉。ボタンの掛け違えが起きていれば勝利できていたかもしれないが、結果として負けたのは少なからず要因があるということ。大きな目標として掲げる2050年の優勝を目指すなら、ベスト16の壁を打ち破れなかったことに目を向ける必要がある。

 もちろんPKを外し過ぎたことは敗因の一つだが、長友佑都や守田英正が話したようにプレッシャーのかかる場面に自ら立った選手を否定するつもりはない。それ以上に考えるべきなのは、120分間のうちに決着をつけられなかったことだ。

 クロアチア戦はセットプレーから得点を奪うことに成功したが、やはりボールを保持した時の攻撃には迫力が足りなかった。ドイツやスペインとの戦いでは少ないチャンスをものにすることができたが、それはカウンター主体の攻撃だったことが影響している。アジア最終予選の時からそうだったが、ボール保持時に引いた相手に対してなかなか攻略できないのは、この4年間抱え続けた課題でもある。コスタリカ戦でもその兆候は見られていたが、最後の試合でも表出してしまった形だ。

 逆に後半に失点を喫した後は、なかなかボールを保持することもできなくなった。時折良い守備から良い攻撃に繋げることはできたが、それも単発に過ぎず。「試合終盤は少しボールを繋ぐことができない状態だったかなと。延長に入ってからは、それで差が出ていったかなと思います」と森保一監督も認めるとおり、攻撃は三笘薫のカウンター程度で防戦一方になってしまったことはもう一度、考え直したい。

 ベスト8を目指すことに集中するなら、今回のような形を追求することでいつかは叶えられるかもしれない。ただ、優勝を目指すならば、やはりボールを持っていても、持っていなくても、その場に応じた状況判断で柔軟に攻撃を繰り出し、ゴールを奪っていく力が絶対的に求められてくる。

 もう一度述べると、今回の戦いは賞賛に値するものだった。しかし、結果として目標に届かなかったのも事実としてある。今大会の経験を次に生かしていくためにも、さまざまな分析をしていくことが日本サッカーの未来に繋がっていくはずだ。

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