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松木、中島…飢えたU-21サッカー日本代表選手たち。豪州との3決、難所勝利で締めくくりを【プレビュー/予想布陣】

 U-21日本代表はAFC U-23アジアカップの準決勝でU-21ウズベキスタン代表に2-0で敗戦。U-23オーストラリア代表との3位決定戦に回ることとなったが、勝利で大会を締めくくることができるかは重要なポイントとなる。

■パリ五輪予選ポット分けにも影響

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 3位決定戦は難しい、とよく言われる。優勝を狙って気持ちが高揚する状態で準決勝(大抵は死闘である)を戦って敗れ、落胆と失意の中で迎える最後の試合。疲労もピークに達していて、良いパフォーマンスは出づらいものだ。

 記憶に新しいところでは東京五輪の3位決定戦が思い出されるが、2012年のロンドン五輪の3位決定戦もそうだった。上を目指して戦っていたからこそ、この最後の試合の位置付けは難しくなるし、チームパフォーマンスは上げづらい。日本人選手は団結して戦うことに秀でる一方、総じて「気持ちの切り替えスキル」の習得率が高くない傾向にもあるので、3位決定戦がどうにも苦手なのだろう、とも思う。

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 その意味で言うと、今回のAFC U23アジアカップの3位決定戦、U-23オーストラリア代表との試合もまた、難所となるだろう。この試合の価値について、理屈の上では選手も皆わかっている。2年後に行われる次回のU23アジアカップはパリ五輪予選を兼ねた大会となる。そこで「ポット1(いわゆる第1シードグループ)」に入るためには、ここで3位になっておく必要がある。そうして得られるアドバンテージの重要性は言うまでもない。

 そもそも負けて終わるというのが気持ち悪いというのもある。ノックアウトステージ突入以降で勝って終われるチームは優勝した国と3位になった国だけなので、どうせなら勝って終わりたい。「何を言ってるんだ」と思われるかもしれないが、この大会が失敗した大会として記憶されるか、何かを得た大会として記憶されるかという分水嶺は、こういうところにあるものだ。今後のチームを取り巻く空気感のためにも、勝って損はない。

■A代表に繋がるアピールを

20220618_U21Japan_Form(C)GOAL

 もう1点、代表チームには「個人の戦い」という側面も付いて回る。鈴木唯人が韓国戦後に「この年代のもっともっと上を目指さないといけない人たちの集まりだと思っていて、この場はみんなアピールの場だと思っている」と語っていたように、7月にA代表の参加するEAFF E-1選手権(旧・東アジアカップ)を控える中で、それぞれの選手が「自分の力を示す」ための戦いをする場でもある。もちろん、松木玖生が「チームとしての結果が一番なのは大前提」と強調するように、それはチームプレーを放棄するという意味ではない。「勝つために必要な奴」だと思われるための戦いということだ。

 その意味で言えば、ここまで悔しい思いをしてきた選手たちの爆発に期待がかかる試合という言い方もできるだろう。主力組の選手たちは明らかに肉体的な疲労が蓄積しており、この試合にはメンバーを刷新して臨むことが考えられる。2試合の出場停止から戻って来るMF三戸舜介はこう意気込む。

「やっぱり疲労のない自分が一番動けると思うし、得点だったりアシストだったり、そういう結果でチームを救いたいです」

 また、ここまで専ら交代出場でピッチに立ってきたFW中島大嘉は「得点王を狙っている」と、大会前からの目標をまだ諦めていないことを強調しつつ(※ランク1位が3得点なので、現実的にもまだ狙える目標である)、こう語った。

「オーストラリアのCBが屈強なのは分かっていますが、自分も屈強なので。全然苦ではないですし、スピードでは勝てる自信もあります。背後を狙って自分の良さを出し、アジアの度肝を抜くようなゴールも2、3点取れたら一番いい」

 そして、「自分はここまで出場機会の少なかった選手たちの一人。そこは自分の実力として受け止めている」と唇を噛むように悔しさを滲ませた松木はこう言った。

「結果を出してやるという気持ちですし、見返すしかないという気持ちです。チャンスがあれば、いや、絶対にあると思うので、そこは自信を持って決め切るだけだと思っています」

 試合に飢えた選手たちが噛み付いていく中で、チームとして一丸で勝利を目指す。そのバランスを取ることができれば、自ずと勝利も見えてくるというもの。オーストラリアは言うまでもなくアジアを代表する強敵だが、最後は勝って笑って終わりたい。

取材・文=川端暁彦

■試合情報

  • AFC U23アジアカップ2022/3位決定戦
  • U-21日本代表 vs U-23オーストラリア代表
  • 2022年6月18日(土)22時キックオフ
  • DAZN独占配信
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