長谷川健太監督、就任2年目。名古屋グランパスはシーズンのスタートダッシュに成功し、リーグ戦9戦無敗など優勝争いの中心となっていた。しかし、夏場以降失速し、カップ戦も敗退。苦しい時期が続いている。残り4節を残して首位・ヴィッセル神戸との勝ち点差は「11」。厳しい状況に間違いはないが優勝の可能性はまだ残っている(10月24日時点)。リーグ戦最終盤のキーマン、副主将DF中谷進之介とMF森下龍矢がチームの現状について語った。【取材協力=アシックス】
■なんとか変えなきゃいけない
©J.LEAGUE/Getty Images――今季序盤は優勝争いを繰り広げたものの、夏以降苦戦しています。
中谷:ここ数年ずっとチームを引っ張ってきたマテウスが夏にサウジに移籍してしまってから勝てていない状況が続いていました。偉大な選手の穴をチーム全体で埋めようというところにフォーカスしてやっているんですけど、なかなか結果に結びついていない状況です。ただ、沈んでいる感じはなく、前向きにやっています。
それまでは彼がタメを作ってカウンターを発動するシーンが多く、そこから得点に結びつけていました。そこのタメがなくなった分、「チームで、全員で走らないといけない」ところを意識してやっています。
――今の状況も、そんなに心配するものではない?
中谷:夏まで優勝争いしていた分、そこに絡み続けたいという思いは強くあります。「今年はタイトルが獲れるチャンス」ということをチーム全体が思ってやってきた中での今の状況なので、焦りはすごく感じていますし、なんとか変えなきゃいけないと思っています。
――森下選手は?
森下:中谷選手が言ったとおりです。今まで僕たちが繰り出して来た高速カウンターがなかなか発動できない状態が続いています。でも、夏過ぎからまた新たにチームを作っていくなかで、コミュニケーションがすごく増えたし、みんなでもう一回、名古屋のサッカーを作り出そうという取り組みをしています。それが結果に繋がっていないところはありますが、新しいことを始めるということは、そういうものだとも思います。ここから結果に繋げていければ。
――長谷川監督のサッカーは走力がカギですので、夏場は大変だったと思います。
森下:どのチームも同じ条件ですが、普通に夏の暑さは厳しかったですね。暑さで走行距離が落ち、スプリントの数も減っている部分が目立ちました。僕たちが一刻も早くしっかりチーム作りをしていけば、まだまだ優勝争いに絡めると思っています。
――森下選手ご自身は今季4得点を挙げ、すでにキャリアハイです。なぜ得点を取れるようになったのでしょう?
森下:ペナルティエリアの中に行く回数を意識的に増やしたところだと思います。ポジションは同じですし、サイドでのプレーは右も左も開く形自体は変わらないので。ただ、去年の反省を踏まえて今年はいかにペナルティエリアの中に『信じて』入っていくのか、というところが繋がっているのかなと思います。
――中谷選手は後ろから森下選手を見ていて変化を感じますか?
中谷:シュートを打つ回数が相当増えましたね。あと、左をやることが多くなったので、左からカットインしてシュートを打って、というシーンも結構ありました。でもあと5点ぐらい取らないと(笑)。最終(ライン)から見ていて、「お前それ決められるだろ!」っていうシーンは5回ぐらいありました。
■必要なのは「全部勝つこと」
©J.LEAGUE/Getty Images――結果を出すことで、6月日本代表に初招集されました。
森下:嬉しかったのとビックリした気持ちが五分五分でした。
――中谷選手は森下選手のプレーを間近で見ていて、納得かビックリかどちらでしたか?
中谷:森下は代表クラスの活躍をしていたと思います。代表選出前の直近5、6試合のパフォーマンスは本当にすごかった。グランパスの攻撃は森下龍矢でできているんじゃないかっていうぐらいのパフォーマンスでした。なので、全然驚きはなかったです。
――6月はキリンチャレンジカップ・エルサルバドル戦で初キャップ。9月の欧州遠征(ドイツ戦、トルコ戦)で2度目の招集をされましたが、出場ならず。この2度の代表活動で得たものと課題を教えてください。
森下:得たものは……悔しさです。本当に試合に出たかった。どちらの試合もベンチから見ていて、かなり強度が高いと感じました。なので、課題は、もっとたくましい選手にならないといけないということです。あの場面で森保さんから「森下、明日行くぞ」と言われなかったのは、足りていなかったんです。すごく抽象的なんですけど、そういったたくましさがまだまだ足りていなかったんだと思っています。
だからグランパスでしっかりプレーをしてそのたくましさを身につけたい。「森下だったらサイド任せられるよな」って思ってもらえるぐらい、攻守で躍動したいとあらためて思いました。
――所属クラブで結果を出すことが全て、ということですね。先ほども優勝という言葉が出ましたが、今は何が一番必要だと思いますか?
中谷:勝利ですね。
森下:勝利です。
中谷:まだ可能性は残っているので、本当に「全部勝つこと」が一番必要だと思います。
森下:グランパスファミリーの皆さんにはどんな時もいつも応援していただいて、本当に感謝をしています。でも、ただ口で「ありがとう」というのはすごく簡単なこと。そうではなく、プロサッカー選手である以上、勝利、タイトルでその感謝の気持ちを伝えたいです。
中谷:僕もなにより「結果」で恩返ししたいと思います。皆さんぜひ最後まで応援をよろしくお願いします。
