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20220602-yamane-kamada-miura(C)Ayano Miura

着々と進む森保ジャパンの“確認作業”。本大会モードにシフトした中で激化するアピール合戦

パラグアイ(2日、4-1)、ブラジル(6日、0-1)とのキリンチャレンジカップの2試合を経て、森保ジャパンの“確認作業”は着々と進んでいる。本大会開幕までに日本代表として活動できるのは、この6月シリーズの4試合と9月の2試合の合計1カ月間のみとなる。

 カタール大会は開幕直前まで欧州各国リーグが開催されるため、従来のような1カ月程度の事前合宿は実施できず、集合してすぐに大会初戦を迎えるスケジュールが濃厚。つまり6月と9月の活動が事前合宿代わりとなり、メンバー選考、ベースとなる戦い方、対戦相手を想定した戦術オプション、選手の組み合わせなどを確認していく必要がある。

■南米勢2連戦で指揮官が施したテスト

 パラグアイ戦では、最終予選の終盤で代表メンバーから外れていた堂安律、鎌田大地をスタメン起用。鎌田と原口元気をインサイドハーフに並べて適性とチームへの融合もチェックした。3選手ともに合格点を与えられる出来で、鎌田と原口はボックス内への飛び込みや決定機に絡む仕事で違いを生み出し、堂安も右サイドでタメを作りながら攻撃の中心として輝いた。

 ただ、鎌田と原口に関しては、ビルドアップの部分でミスが散見されたのが気がかりなところ。組み立てを得意とする田中碧や守田英正と違って攻撃的な選手であることもあるが、オフ・ザ・ボールの動きでも集中力を欠くシーンも何度か見られた。本大会では一瞬のズレが致命的になるだけに、対戦相手や組み合わせによって起用法=両者の特長の引き出し方を見極めていきたいところだ。

 そして右のウイングに置かれた堂安は、右サイドの序列を確実に上げた。パラグアイ戦ではピッチを自在に動き回って攻撃の起点となり、スムーズな球離れや積極的な仕掛けも披露。右サイドバックに入った山根視来とも好連係を見せた。このコンビが右サイドで新たな攻撃パターンを作り出せた点は大きな収穫だ。

 森保監督は、ブラジル戦でも1点ビハインドの終盤に2人を起用して打開を図っている。日本の攻撃の形として、スピード系アタッカーで打開できず、コンビネーションで崩したいケースの組み合わせとして、堂安+山根のコンビが計算に入ったのは間違いない。

 FW陣で特筆すべきプレーを見せたのは、パラグアイ戦で絶妙なポストプレーから自身の先制点を引き出した浅野拓磨だろう。大迫勇也不在でスピード系アタッカーが多くなる中、相手DFを背負いながらのポストプレーと、鋭く抜け出しての鮮やかなループシュートで猛アピール。本人も「ブンデスリーガで成長した部分。残り半年。今日の結果をワールドカップまでつなげていきたい」とカタール行きに意欲を見せた。

■各選手が複数ポジションで計算できるように

20220609-nagatomoKenichi Arai

冨安健洋を負傷で欠く最終ラインも、有事を想定したトライで大きな収穫を得た。パラグアイ戦ではフル代表初招集の伊藤洋輝を左サイドバックで先発起用し、後半からはセンターバックでテスト。経験値では劣るが、左利きで高さもあるだけに一気にポジション争いに加わってきそうな予感を漂わせる。

 CBでは吉田麻也を中心に、谷口彰悟、板倉滉、伊藤を起用。板倉はパラグアイ戦でアンカーとしてもプレーした。ブラジル戦では右SBに入った長友佑都が世界レベルの相手に攻守で奮闘しており、各選手が複数ポジションで計算できるようになってきた。

 一方、挽回を期待したいのが、ケガの影響もあって序列を下げてしまった久保建英。途中出場したパラグアイ戦では本人が「焦りがあった」と振り返ったように、無理な仕掛けや独善的なプレーに終始。周囲と連係、連動するプレーもなく、全くと言っていいほど持ち味を出せなかった。メディア対応で謙虚に自身の立ち位置を認めて巻き返しを誓った試合翌日の4日は、彼にとって21歳のバースデー。この節目を契機に捲土重来となるかにも注目しておきたい。

■激化するアピール合戦

20220606-kuboKenichi Arai

これまでメンバーを固定して戦ってきた森保監督の采配が批判されることもあったが、すべては準備期間が短い中で最終予選を勝ち上がるための判断。カタール行きを決めたことで本大会モードに大きくシフトした形だ。パラグアイ戦、ブラジル戦の采配を目の当たりにして、「これが見たかったんだ!」と溜飲を下げた方も多かったのではないだろうか。

 東京五輪から1チーム2カテゴリという強化方針で歩んできた森保ジャパン。選手たちは本大会に向け、アピール合戦が激化している。

 それが決して個人プレーでなく、チームの中で個を輝かせようとしているところも評価できるポイントだ。誰がピッチに立っても特長が出せるようになっており、選手層は期待どおりに厚くなっている。ここから選択と判断が求められる指揮官にとってはうれしい悩みだろう。

 チーム強化において本当に重要な期間となる6月シリーズは、10日に神戸で、14日に大阪でキリンカップサッカーが開催される。このガーナ、チュニジア、チリとの4カ国トーナメントで、果たして森保監督は誰をどう組み合わせ、どんな相乗効果を生み出していくのか。そしてブラジル戦で露呈した強豪国相手の攻撃パターンをどう構築していくのか。ここからの指揮官の手腕、そして選手たちのさらなる奮起を楽しみにしたい。

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