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“海外組”FW二田理央の前例なきキャリア。U-19日本代表で感じるオーストリアとのギャップ

 5月29日~6月12日にかけて開催される第48回モーリスレベロトーナメントに臨むU-19日本代表。そのメンバーに名を連ねているFCヴァッカー・インスブルック(オーストリア)FW二田理央は、日本人として希少なキャリアを歩んでいる。

■期限付き移籍でオーストリアへ

「自分でも『本当なのかな?』と思ったし、『こんなことあるんだな』って思っていました」

 モーリスレベロトーナメントに参加するU-19日本代表に“海外組”として現地で合流したFW二田理央(ヴァッカー・インスブルック)はそう言って、類例のない足跡になりつつある自身のキャリアを振り返った。

 大分県出身の二田は地元の強豪クラブチームであるFC佐伯S-play・MINAMIからサガン鳥栖U-18へ加入。スピード豊かなFWとして活躍していた彼に、思わぬ話が舞い込んできたのは高校3年生になったばかりの時期だった。

 鳥栖のフロントから二田は思わぬ話を聞かされる。

「インスブルックのモラス雅輝さん(2009年から10年にかけて浦和レッズでコーチを務めた)が日本人選手を探しているそうなんだが、海外でのプレーに興味はないか? 」

 二田の返事は明快、「行きたいです! 」。

「ずっと海外に興味はあったので、そういう運が巡ってきたというか、そんなチャンスがあるなら無駄にしたくないという気持ちだけでした」

 いきなり渡欧しての練習参加が決まり、そのまま移籍のオファーが届くことに。

「Jリーグに1試合だけ出てから、向こうへ行くことになりました」

 サガン鳥栖のプロ選手というキャリアを残しながらプロ契約を結び、期限付き移籍という形でオーストリアへ渡ることに。異例の手順だった。

■トップチームでも結果を残した

20220529_NItta2(C)Akihiko Kawabata

 そして二田は単に欧州へ移籍しただけでなく、ゴールという結果も積み上げる。U-23チームで結果を出して今年に入ってからはトップチーム出場も果たし、しかもゴールも決めてみせた。

「自分が出た試合で22点くらい決めています」というシーズンを終え、この“ゴール”へのこだわりは、日本にいるときよりずっと増したことを実感している。

「自分のやることがハッキリしたのはあります。日本にいたとき『今日は点を取れるかな』だったのが、こっちに来て『今日も点を取るんだ』という気持ちになったというか。鳥栖のときは周りも上手かったし、チームで攻めに行く感じの中でやっていたんですけど、こっちに来てからは『最後は自分が決めるしかないんだ』という個人の感覚が強くなって、ゴールへの意識は変わりました」

 もう一つ、日本でプレーしていたときとのギャップを感じるというのが、攻守の切り替え、そのスピード感だ。

「本当にオーストリアは切り替えの速さが全然違います。取られたら本当にすぐ切り替えて奪いに行く。鳥栖でも言われてきたことではあるんですけど、海外に来てより分かったというか、もっと意識するようになりました」

 代表に来ると、逆にスタイルのギャップも感じるとも言う。

「(U-19日本代表は)ボールを取ってから大事にして、奪われることをなくすことを意識する。でもオーストリアでは取ったらすぐ前へ、なので。ボールを取ったらみんな前にガッと動き出す感じで、取られたらまたボールにすぐ行く感じです」

 日本式のスタイルへの順応は「思い出しながらやっている」と言いつつ、「でも大丈夫です」とも。周りの選手とのコンビネーションについても、「半分くらいの選手は知っていますし、残りの半分の選手も高円宮杯プレミアリーグとかの対戦相手として知っていたりするので、特長は分かっているので」と自信を見せる。

■「自分の人生はチャレンジ」

 鳥栖からは期限付き移籍でオーストリアに来ている形で、「本当に鳥栖には感謝している」とも強調しつつ、その思いをこうも語る。

「(鳥栖のホーム)駅前不動産スタジアムで活躍するのがずっと夢だったので、それを為し遂げられていないのは、ちょっと心残りがある」

 いつか鳥栖のユニフォームをまとってプレーする機会もあるかもしれないし、その思いも胸に秘めてはいる。ただ今は「こっち(欧州)で行けるところまでチャレンジしていきたい」という気持ちで日々を送っていて、この代表で巡ってきたチャンスも掴み取りたい考えだ。

「自分の人生はチャレンジなんで」と語る九州男児のストライカーが、初めて日の丸を付けて臨む国際大会で、欧州で過ごした1年の成果を示しに行く。

取材・文=川端暁彦

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