日本代表は16日、パナソニックスタジアム吹田で2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のミャンマー代表戦に臨む。
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世界一を目標に掲げる“森保ジャパン”にとって一歩目となる公式戦の注目ポイントや予想布陣は?【取材・文=上村迪助(GOAL編集部)】
■ベストメンバー招集の意図
(C)Getty imagesカタールW杯後も続投した森保一監督は、2026年夏に開幕予定の次回大会に向けて、目標をベスト8以上から優勝に引き上げた。日本史上初の継続監督として、2度目のチーム構築に注目が集まっている。アジアならではの毎回の長距離移動や、日本人の特性を生かしたコンセプト作り、本大会で上を目指すならば避けられない強豪国との対戦を想定したレベルアップ……これまでの経験に加えて新たなチャレンジが求められている。
そんな中で迎える初の公式戦では、ミャンマーと対戦。過去にはカタール大会に向けたアジア2次予選でも対戦しており、アウェイでは2-0、ホームでは10-0で勝利した。FIFAランクでも日本の18位に対して158位と、圧倒的格下だ。
そういった試合で強豪国を想定した強化を図ることは現実問題として難しいが、森保監督はベストメンバーを招集。前日会見では、改めてその意図を説明した。
「ベストな布陣ということについては、我々は常に選手のコンディションについて国内外アンテナを張って情報収集しながら毎回の活動に向けて招集させていただいているので、無理やり(チームの)結束とかということで招集をさせてもらっているわけではありません。(コンディションが厳しければ)無理なものはやはり無理で。まずは考えないといけないのは選手たちのキャリアのことです。『チームのために』と『選手のために』が同居しないといけないと思っていますので、所属チームでより充実したプレーをして存在感を発揮してくれていれば、代表の戦力に自然となっていくという考え方でこれからも考えていきたいと思います」
今回の活動に向けては、欧州組の過密日程や移動による疲労を考慮して国内組を多く招集するプランや、日本でのミャンマー戦とサウジアラビアでのシリア代表戦でメンバーを分けるプランも代表チーム内で議論されてきたという。それでも森保監督が明確にしたのは、“その時のベストを招集する”という方針だ。
これまでも多くの選手を招集してきたことや、10月の活動では常連の堂安律が外れたことからも分かるように、それは選手の固定化を意味するものではない。「メンバーが変わっても、その時のベストを選びながら活動をさせていただいてきた」とも語っており、その言葉通りの意味だろう。元より特別な場ではあったが、日本代表を日本人トップの選手しか到達できない憧れの地として固く据え、所属チームでのプレーをそのまま代表入りに向けたアピールの場とすることで、より多くの選手を刺激することができる。限られた活動の中での層の広げ方として、様々な選択肢がある中で指揮官が下した決断だ。
そうした基準の中で選ばれた今回のメンバーがミャンマー戦で披露すべきは「憧れの日本代表」としてふさわしいパフォーマンスだ。強豪国との対戦を想定した強化はやはり難しいが、割り切った戦い方をしてくることが予想される相手をどれだけ無慈悲にねじ伏せることができるか。
■引いた相手にどう勝ち切るか
(C)GOALとはいえ、日本代表にすでに多くのトラブルが起きている中で実際のスタメン選びは悩ましいところ。招集メンバー発表後、FW前田大然、FW古橋亨梧、MF伊藤敦樹、MF川辺駿、そしてMF三笘薫と計5名の選手が辞退または離脱することとなった。よりタフになるであろうアウェイでのシリア戦が中4日で控えていることもあり、ミャンマー戦のスタメン選びは悩ましい。
特に三笘不在となる左サイドは南野拓実か相馬勇紀が現実的な選択肢となるが、初戦では様々な状況を想定しても布陣変更時の適性も高い南野の経験に頼りたいところか。ドリブルの突破力が魅力であり、ウイングバックでもプレーすることができる相馬は、途中投入のオプションとしての価値も高い。
反対側の右サイドでは伊東純也がファーストチョイスで起用されてきたが、ミャンマーが引いてきた場合にサイドのスペースが無くなることも踏まえて、流動性のある久保建英と堂安律のコンビも魅力的だ。堂安に関しては左足の強烈なミドルシュートも効果的で、当人も「欧州行って感じたのは、シュートが上手い選手は引かれた相手にミドルであったりとか、ワンチャンスをものにする感じがあるので、シュートが上手い選手、ボックスで仕事ができる選手というのは必要」と意識している。
中盤の構成については守田英正のコンディションが懸念されることもあるが、10月のカナダ代表戦で2得点を決めた田中碧の機動力、得点への嗅覚で守備に人数を割く相手に混乱をもたらしたい。久保が中央、堂安が右サイドに張った場合は田中と遠藤航でボランチのコンビを組み、シームレスに4-2-3-1へと移行できる。それら2列目以降を生かすという意味でも、1トップは上田綺世のポストワークやスペースメイクに期待がかかる。
そして、大阪での試合であることも踏まえれば、ディフェンスラインでは右サイドバックにセレッソ大阪DF毎熊晟矢をチョイスする可能性も。左SBは中山雄太であれば押し込んだ展開でもより中盤に近い位置でのプレーができる。センターバックについては、冨安健洋の状態次第で町田浩樹か渡辺剛の可能性もありそうだ。
今回招集されているメンバーはいずれもミャンマーを圧倒できるはずの実力がある選手たちであり、最終的にはコンディションを見極めての起用になるだろう。それでも、W杯優勝を目指すチームが迎える重要な公式戦初戦。スタメンの選択だけでなく、キックオフ直後の選手の姿勢、リードした場合はその後の試合運びや交代カードの切り方など、改めて森保監督の方針が色濃く表れる試合になりそうだ。約2年半後の本大会に向けた本格的なスタートとなるミャンマー戦は、16日19:00にキックオフが予定されている。
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