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世界がポスト・コロナへ舵を切る中で。U-21日本代表、国際経験の空白を埋める第一歩・ドバイカップ/パリ五輪世代

2024年のパリ五輪を目指すU-21日本代表が動き出した。大岩剛監督に率いられたチームは23日21時(日本時間)、中東遠征「ドバイカップ」での初戦・U-23クロアチア戦を迎える。年齢が2つ上の大会に参加することになるが、その強化の目的と位置づけとは?(取材・文=川端暁彦)

■約2年半ぶりの国際大会

 西アジア経済の中心ドバイ。アラブ首長国連邦(UAE)の中核を占めるこの現代都市において、国際親善大会「ドバイカップU-23」が、開幕を迎えようとしている。

 日本はこの大会に「U-21」日本代表を派遣した。2年後には「U-23」となり、パリ五輪を戦う予定の年代だ。この年代が最後に海外遠征をしたのは2019年秋のことだから、約2年半ぶりの国際大会出場ということになる。コロナ禍によって図らずも鎖国状態に陥ってしまった日本サッカーの若年層における国際経験の空白を埋めるための第一歩である。

「本当に日本とはまるで違う環境ですよね」と言ったのは、今年1月のA代表キャンプも経験しているDF西尾隆矢(セレッソ大阪)。「こうやってみんなで海外遠征に行くのがすごく好きなんです」と語る期待のセンターバックは、神妙な表情でこうも続けた。

「こういう状況下で、当たり前にこうやって海外まで来られていることをすごく感謝しないといけないなと改めて感じています。本当にいろいろな方が動いてくださった結果だと思っている」

■トラブルには遭遇しておいたほうがいい

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 欧州では各年代別代表が大会を“普通に”こなし、国際ユース大会も以前と変わらず開催されるようになった。「ポスト・コロナ」へ完全に舵を切りつつあるのが現状だ。

 日本ではまだまだ「お願いし倒してどうにかできるかどうか」というラインではあるものの、少しずつ空気が変わってきたのも間違いない。U-21日本代表による今回の中東遠征は、そうした世界的な流れにアジャストしていくことを意識しての施策でもある。

 筆者個人としてもまさに2年半ぶり、この年代がベトナムへ遠征してAFC U-19選手権予選を戦っているのを取材して以来の海外遠征となる。あらためて移動と時差、そして日本との気候の落差(今回で言えば、寒暖差)の“キツさ”を自分の体を通じて久しぶりに体験している。しかし、まさにこうした辛さを知り、影響を軽微にするための対策を学び、また体が動かないなりの戦い方を体感することも若い世代にとって重要な財産となる。

 もちろん、対戦相手と向かい合うことで得られるモノも大きい。単なる体格差にとどまらないリーチの差、コンタクトプレーに対する文化の差といった外国勢との戦いを通してしか感じられないモノを学ぶ場でもある。戦術や判断にも文化の差は出るもので、島国である日本にいるだけでは、なかなか得られない経験値だ。

 久々に迎えるアウェイの国際大会ということで想像以上に戸惑う場面も出てくるかもしれないが、大岩監督のスタンスは「それもまた良し」といったところ。さっそく、初戦の試合を行うスタジアムが前日に変更されるという洗礼も受けたが、こうして出てくるものに逐次対応していくのが代表チームの常であり、こういったこともまた、スタッフを含めて重要な経験となる。

 遠征に帯同している代表のベテランスタッフの一人は「重大な事態にならない範囲で、むしろ海外ならではのアクシデントやトラブルには遭遇しておいたほうがいいと思っている」とまで言い切る。「何が起こるか分からないのが国際試合」(大岩監督)ならば、起こりそうなことは親善大会で起こってくれたほうがいいのである。

■代表で「起こり得ること」

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21日朝に長距離移動を経て現地へ着いて午後に軽く汗を流し、22日に1回だけのトレーニングを行い、23日に本番の試合を迎えるという流れも過酷だが、未来のA代表においてもアジア予選などで同様の流れは普通に「起こり得ること」。

 合流が前日になる選手たちが出るのも、やはり「起こり得ること」で、コンディションの良い選手をやりくりしながら、時には初めて一緒に出る選手同士を組み合わせながら試合に臨むのも代表では「起こり得ること」だ。これを体感させることも、未来のA代表である選手たちにとっての投資と言える。

 クロアチアとの初戦のオーダーは現状のベストメンバーをぶつけるというより、こうした事情も加味して組む形となりそうだが、誰が出ても大きく見劣りするようなことはないメンバーが揃ったのも間違いないし、変な言い訳材料にする気も毛頭ない。「もちろん、勝ちに行く」と語る指揮官は、この試合の意味をこういう言葉で表現した。

「実際に他の国の代表と戦う一つ目の試合です。国を背負う責任や誇りを身にしみながら戦うことができる機会であり、彼らにとって非常に重みのある試合となる」

 ドバイから始まるパリ五輪代表の戦い。チームとしてはまだまだ走り出したばかりだが、アウェイの国際大会ならではの「日本代表の戦い」が観られることを期待している。

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