Goal.com
ライブ
20220327_LeoBrian_Kokubo(C)Akihiko Kawabata

U-21日本代表GK小久保玲央ブライアンが彷彿とさせる“高速FW”時代。目指すは名門クラブでのCL出場

 ドバイカップU-23に参加するU-21日本代表は26日、大会第2戦でU-23カタール代表と戦い、斉藤光毅、山本理仁の得点で2-0の勝利を収めた。前半は相手のフィジカルに押され決定機を決め切れなかったが、後半に入り徐々にペースをつかんで2得点。この無失点勝利に、試合を通じて激しく、強くゴールマウスを守ったGK小久保玲央ブライアンの存在は欠かせない。18歳で海外挑戦を選んだ次世代守護神の思いとは。

■際立ったチャレンジする勇気

20220327_LeoBrian_Kokubo2(C)Akihiko Kawabata

 ドバイカップU-23、カタールとの第2戦を前にGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は会場に流れる君が代を聴きながら、代表の国際試合ならではの緊張感の中で昂ぶるものを感じていた。

「ユニフォーム(の材質)は軽いけど、責任は重い。心に来るものがある感じですね。自分が大好きな日本を背負ってプレーできる。こういう状況で国際試合を戦えるありがたみを感じながら戦いました」

 トレーニングの段階から長い手足を活かした広範囲のシュートセーブや、「課題として取り組んできた」と語るハイクロスへの冷静な対応などを見せ付けていた小久保だが、いざピッチに立っても「さすが」と思わせるプレーを随所で披露した。

 特に光ったのは裏へのカバーリングだ。小学生時代は高速FWとして名が知られていたのを彷彿とさせるスピードに加え、「ボールの見極めは大事」と語るとおりの判断、そして何より接触プレーを恐れることなくボールへチャレンジする勇気も際立っていた。

「ずっとポルトガルにいるので、代表で試合に出るのは2年半ぶり。みんなと会うのも1年半ぶりくらいで、2日くらいの練習でやらなければいけないのは難しい部分もある」

 試合前はそう率直に語っていたが、ピッチ内で積極的なコミュニケーションを取ることでそのギャップもカバー。「日本語で話してプレーするのはやっぱ楽しいっすよ」と笑ったとおり、特に前半は硬さの目立つ選手が多い中で抜群の安定感を披露した。

■ベンフィカではCLにも帯同

 もともと小学生時代は柏エフォートFCの高速FWとして地域内では知られた存在だった。ただ、技術的には粗さも目立ち、柏レイソルU-12のセレクションには一度落ちている。しかし当時の柏レイソルアカデミーGKコーチだった松本拓也氏(現・大宮アルディージャGKコーチ)が、「GKならばいける」とその才覚を見初めて指導してきた経緯があった。

 このため、小学生時代は所属チームではFWとしてプレーし、レイソルのスクールではGKに取り組むという一風変わった“二刀流”にトライしており、小久保の大きな特長であるフィールダーとしてのセンスや勇気とGKスキルの両立に繋がっている。

 U-15から柏レイソルのアカデミーに加入し、カタールでの国際親善大会での活躍によりベンフィカからオファーを受けて電撃移籍。現地ではユース年代のチャンピオンズリーグ(CL)であるUEFAユースリーグでは見事に準優勝を飾るなど、確かな実績を積み上げてきた。

 ただ、現状は必ずしも明るいばかりではない。ユース年代のカテゴリーを“卒業”した現在は主にベンフィカのBチームでプレーし、Aチームの第3GKとして過ごすこともしばしばある。CLにも帯同しており、「もう今季は2、30試合に帯同している」と言う。

「本当にアップからロッカールームまで全部見られるので、毎回すごく刺激はあります。ロッカールームでのチームの作り方、GKの振る舞いとか、もちろんピッチ内のこともしっかり確認している」

 そう言う一方で、「バスでずっと移動していって、アップの手伝いだけしてベンチ外……。気持ちは難しいです」と率直に語ったように、Aチームの練習役になるのはかえって難しい面もあり、一つの壁に直面しているのも確かだ。

「(AチームのGKには)リスペクトがあります。めちゃくちゃ上手いんですよ。本当に一人ひとり個性もあるし、身長高くてシュートストップがむちゃくちゃ凄かったり、別の人は足元が凄く上手かったりといった特長がある」

 欧州の最前線にいるからこそ感じられる「差」を痛感しつつ、しかし一気に伸びる魔法があるわけでもないことはよく分かっている。

「本当に自分の短所を日々の練習で少しずつでも持ち上げて、長所をさらに上げていくしかない。彼らとは違うモノを自分も持っていると思っているので」

 類いまれなスピードやシュートストップの能力に加え、バックパスの処理などビルドアップに関しても自信を持つ。そして、もう一つ大きな特長は、その前向きな姿勢そのものだろう。

 小久保を「初めて見た」というU-21日本代表の大岩剛監督が「あのキャラクターはチームにいると良いですね」と真っ先に性格面に触れたように、常に「ポジティブに考える」ことを意識しているという小久保が周囲に振りまく明るさは、チームに自然と活力を与えるものだ。

「いまAチームで試合に出るってことは近くにあるようで遠いんですけど、自分の夢はチャンピオンズリーグに出ること。そういう思いがあるので、どうにかして上に行きたいし、ポジティブにやっていこうと思っています」

 18歳で海を渡り、遠くポルトガルのビッグクラブで挑戦を始めた青年は、21歳になっても欧州の夢舞台を目標に、日々地道な努力を積み上げ、そして今後も積んでいく。しっかり前を向いて、ポジティブに。

取材・文=川端暁彦

広告
0