プレミアリーグ2018-19シーズンの全日程が終了した。国内リーグ戦38試合のうち、武藤嘉紀の先発数は5試合で、得点はわずか1ゴール。この数字から評するなら、武藤のプレミアリーグ挑戦1年目は、厳しいシーズンになったと言わざるをえない。
目の回るようなスピーディーな試合展開や、マーカーの当たりの激しさなど、イングランドは外国人選手にとって鬼門とされ、適応に時間がかかる選手も多い。武藤も例外ではなく、プレミアの“洗礼"を受けた格好だ。ニューカッスルのラファエル・ベニテス監督も「イングランドでのプレーは簡単なことではない。わたしの経験では、適応に3~6カ月かかる者もいれば、1年を要する者もいる」と同様のことを口にし、武藤を擁護したこともあった。
ただし、昨夏の移籍市場でクラブ最高額となる950万ポンド(約13億円)で加入した期待度を踏まえれば、やはり不完全燃焼の感は拭えない。特に、アジアカップから復帰した2月以降は14試合で先発はゼロ、途中出場は5試合と、出場機会が激減した。本人が「フラストレーションがたまる」と漏らしたように、思うようにいかない1年だった。
■3つの転機

今シーズンを振り返ると、転機は3つあった。
1つは、初先発を命じられた10月6日の第8節マンチェスター・ユナイテッド戦。オールド・トラッフォードでの一戦でプレミアリーグ初ゴールを決め、現地メディアもその活躍を絶賛。追い風に乗ったように見えた。武藤も「フォワードはゴールを決めることで評価される。だからこそ、初先発したこの一戦で、初ゴールを決めることが本当に必要だった。自分の価値を証明するためにも、何が何でも今日やらないといけないと思っていた。フォワードは点を決めれば価値が上がる。この1点に満足せず、これからも続けていくことが大事」と、さらなる飛躍を誓っていた。その言葉通りここから3試合連続で先発し、2トップの一角としてレギュラーの座を掴みかけた。
ところが、11月上旬にふくらはぎを痛めて戦線を離脱。ここから7試合メンバー外となる。分岐点の2つ目は、この負傷離脱だった。
復帰戦となった12月26日の第19節リヴァプール戦(0-4)ではフル出場を果たしたが、身体がフィットしたタイミングで今度は1月から始まったアジアカップ2019に招集された。約1カ月にわたりニューカッスルを離れることになったアジアカップが、3つ目の転機だ。チームにとっても本人にとっても「ここぞ」という時期に、2度も戦列を離れた影響は極めて大きかった。
さらに、武藤のいない1月からチームは上昇気流に乗った。うまくいった要因は、より守備に重きを置いた堅守速攻のサッカースタイル。武藤のいない間に、チームは2トップから1トップにシステムを変更し、2トップの一角としてプレーしていた武藤のポジションが消滅した。同時に、186センチ・86キロの大型FWサロモン・ロンドンが、最前線の1トップとして絶対的な地位を築いた。高さと強さを活かし、ロングボールやクロスボールを効率的にチャンスに変えるベネズエラ代表FWは、ニューカッスルにとって不可欠な存在となった。
武藤の2018-19シーズンは「マンチェスター・U戦のゴール」、「ふくらはぎのケガ」、「アジアカップ期間の不在とシステム変更」という3つのターニングポイントに集約される。そして、チームの重要な時期に離脱した武藤は、厳しい状況に置かれることになったのだった。
■不屈

日本代表FWは、今シーズンを次のように振り返る。
「やっぱり悔しいです。今シーズンは、本当に不規則な年でした。(移籍が決まったのが直前で)プレシーズンも参加しないで、しかもアジアカップがあって。かなり難しかった」
「(英労働ビザの取得でシーズン開幕の)4日前にシーズン・インして、体も出来上がっていない状態だった。そして、身体が出来上がって、試合に出始めたらケガをした。治って出れそうになったらアジアカップが始まり、チームはそこでずっと勝っていくという……。自分にとって、全てが悪い方向に転がってしまった年だと思う。何というか……、この悪かった年をあまり考えすぎないようにしたい。ここで悩んでしまっても、悪い方向に行ってしまうだけなので」
もちろん、悔しさを感じているだけではない。激しいデュエルが頻発するプレミアリーグに順応するため、肉体改造に着手しているという。
「パワーとスピードを上げるために新しいトレーニングを取り入れています。もう一回、体を作り直している。イングランドで戦うために、もう一個上のレベルにフィジカルレベルを持っていく必要があるかなと。そして、無理をしてもケガをしない体をつくる。とにかく基礎の基礎から、本当に土台から突き詰めています」
武藤は「こういうときこそ前向きに」とポジティブな考えを崩さぬよう心がけていたようだが、シーズンが進むにつれ、取材エリアで見せる表情は次第に固くなっていった。本人の悔しさは、相当なものだっただろう。
「戦力的に不十分」と見なされれば、手っ取り早く代わりの選手を獲得してしまうのが、各クラブが潤沢な資金を持つプレミアリーグの難しさでもある。そう思うと、武藤に残された時間は限られている。実際、ベニテス監督は見切りをつけるのが早い。1月にはクラブ史上最高額の2000万ポンド(約28億円:当時)でパラグアイ代表MFミゲル・アルミロンが加わった。
それゆえ、武藤自身も「オフに一度休むのではなく、完全に状態を仕上げてから、来シーズン入っていかないと。そこでアピールできなかったら、それこそ、来シーズンも何もできないで終わってしまう。とにかく、次の1年は絶対に無駄にしたくない」と力を込めた。来季の巻き返しを図るためにも、プレシーズンのトレーニングから全力でアピールしていく必要があるだろう。
不完全燃焼に終わった憧れのプレミアリーグ1年目。チームに大きく貢献できたとも言い難い。それでも、武藤が諦めることはない。逆境こそ力に変えて、前を向いている。
取材・文=田嶋コウスケ
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