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「完璧なパフォーマンスをしないとイメージを変えることは難しい」“浦和の右SB”として戦う関根貴大の苦闘

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「正直、今シーズンはサイドバックで使われると思っていなかった」にもかかわらず、今季も浦和レッズの右SBには関根貴大がいる。クラブの生え抜きで海外移籍を除いて浦和在籍通算12年目。昨季は自身初となるキャプテンを任され、苦しいときでもチームの先頭に立ち続けた。

「SBで使われると思っていなかった」

人一倍の厳しい視線にさらされたことも確かだ。

関根は「SBとして1年間やらせてもらって、改善できた部分とできなかった部分がありました。突き抜けてやれることはやりましたが、SBとしていい選手になれたかといったら、やっぱりなれなかったと思う」と振り返る。

果敢なドリブル突破などを武器にして戦う前線が本職だが、マチェイ・スコルジャ監督の下では右SBが主戦場。昨季はリーグ戦34試合を戦った。

しかし個人として満足できる結果は得られず、浦和もリーグ戦を7位でフィニッシュ。背番号14自身は、サイドバックでの戦いに一区切りをつけたつもりだった。今季のキャンプ前には、クラブに対して前線で勝負したい意向を伝えた。たとえ途中からの出場になったとしても「自分が結果を残せるところを見せたかった」。

並大抵の覚悟ではなかったはずだ。だが、いざキャンプが始まると、右SBの位置に自分の名前があった。関根は困惑したという。

「気持ちを整理するのは難しかったです。守備の選手は、守備でどれだけいいパフォーマンスができるかを求められていると去年感じました。だから、たぶん見ている人たちは『関根はSBができない』というイメージを持っている。『関根は攻撃の選手だから守備できない』と、実際にそういう言葉をもらいます」

慣れないポジションで奮闘してきた男の訴えだった。

身長167センチで、決して恵まれた体格があるわけではない。ましてやDFは、たった一つのミスで失点に直結してしまうポジション。

「やっぱり自分は前の選手だし、そこで勝負して負けたら『しょうがない』と思えるくらいの覚悟を、シーズンが始まる前に持っていました」というが、SBでのプレーに絶対的な自信があるかといわれれば、そうではない。それでも今季も浦和の右SBには関根がいる。キャプテンマークはMF渡邊凌磨に託したが、これまで以上の覚悟を持った関根がーー。

常に「8割は守備のこと」を考えている

浦和はホーム開幕戦となる百年構想リーグの第4節で鹿島と激突した。昨季J1得点王のFWレオ・セアラらを擁する鹿島との一戦も、関根は右SBで先発出場。開幕から4試合連続でスタメン入りを果たし、先制点につながるプレーを披露した。

14分に関根がロングボールを敵陣奥深くに送ると、これが同サイドのMF金子拓郎につながり、そのままボックス内に切り込む。最後は金子からのパスに反応したFW肥田野蓮治が滑り込みながらゴールに押し込んだ。

関根は同サイドでマッチアップした鹿島MFエウベルに対しても決定的な仕事をさせなかった。さらに追加点を奪った浦和は前半を2-0で終えようとしていた。

しかし41分に、クロス対応の場面でハンドしてしまいPKを献上。これをレオ・セアラに決められた。手痛い失点だった。とはいえ、関根のパフォーマンスは決して悪くなかったように思える。ハンドの場面を除けば、攻守においてミスらしいミスはなかった。

それでも背番号14は厳しい言葉で自身を評価する。

「PKを与えたのはもちろん、背後を取られたシーンもあった。そういう失点に直結するプレーが出てしまうと、すべての評価がマイナスになるんです。 場面を切り取ればできている部分もあったと思いますが、全体的なパフォーマンスは良くないという印象が一番に来てしまう」

一つの妥協も許さないのは、去年の1年間でSBの難しさを痛感したから。そして何よりも去年の自分を超えたいと願うからだ。今季は得意の攻撃参加を意識しつつも、「常に8割は守備のことを考えて」プレーしている。それほど徹底しなければ、これまでの評価は覆せないと感じている。

関根が負けん気を見せる。

「(もともと)SBの選手ができなかったのと、僕ができなかったのじゃ、評価が違うんです。『関根だからできない』と言われるのはすごく悔しい。SBでの経験を1年間積んで、成長した姿を見せたいですし、印象を変えるためには、普通の人たちが当たり前にやっているプレーを、さらに当たり前にやらないといけない。完璧なパフォーマンスをしないと、このイメージを変えることは難しいんです」

試合は後半に鹿島が2得点を追加して逆転。浦和はホーム開幕戦で悔しい敗戦を喫した。しかし、昨季J1王者をあと一歩のところまで追い込んだ試合でもあり、試合後、浦和サポーターから声援が送られた。頭を下げるイレブンの先頭グループには、関根の姿があった。

「すごく後押しになったし、5万を超える人たちが入ってプレーできるのは浦和レッズしかない。本当にモチベーション高くやらせてもらっているので、勝利を届けられなかったのは本当に悔しいです。試合に出ることが一番ですし、浦和で出ることはみんなが目指すもの。だからSBを任されたからには、しっかりと自分のできないところを見つめ直していこうと、もう切り替えています」

大役であり、厳しい評価も受ける浦和の右SB。関根は誇りと責任を胸に、今シーズンも戦う。

取材・文=浅野凜太郎

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