「強い鹿児島を取り戻す」と言い続けてきた同県代表の神村学園。
夏のインターハイを制した同校がついに選手権初優勝と、史上6校目となる夏冬2冠を成し遂げた。
地元出身の主将DF中野陽斗は「いろいろな人に恩返しができた」と、真っ先に感謝の言葉を口にした。
「この初優勝は、自分たちだけのものではないと思います。先生方や支えてくれた人、歴代の先輩方が築き上げてきたものが、自分たちの代で実った。だから自分たちだけの優勝ではなくて、神村学園の優勝だと思います」
同大会史上最多となる6万142人が詰めかけた国立で、集大成を披露した。
神村学園は立ち上がりから主導権を握るも、なかなか鹿島学園の堅いブロックを崩せず。それでも、前半19分にロングボールで相手ディフェンスラインの裏を取ると、これに反応したFW徳村楓大がシュート。惜しくも相手GKに弾かれたが、こぼれ球に詰めていたFW日髙元がミドルシュートを突き刺した。
先制後も落ち着いてボールを回し続けた神村学園。
後方からビルドアップに貢献していた中野は「ただ蹴ってしまえば、自分たちがこれまで(パスをつなぐサッカーを)やってきた意味もなくなってしまう。夏を乗り越えてきた自分たちなら、この舞台でもやれるという自信と、チームへの信頼があったからこそできたプレー」と、最後まで“神村学園らしさ”を貫いた。
同39分にはMF堀ノ口瑛太の弾丸ミドルシュートで2得点目を奪取。長短を織り交ぜたパスサッカーで国立のピッチを支配し、守備ではイレブン全員が体を張った。
時計の針が進み、後半アディショナルタイムに突入してもアグレッシブな姿勢は変わらず。
「コーナーフラッグに目がけて(ボールを)背負うチームもあると思います。でもそれは試合を観ている人や、応援してくれる人が“楽しむ”ことと違うんじゃないかと、先生(有村圭一郎監督)も言っていた。最後まで“神村学園らしさ”を貫く意味でも、パスサッカーや攻撃を緩めないところは決勝でも表現できた」と、ホイッスルが鳴るまでゴールを狙い続け、後半47分にはMF佐々木悠太がダメ押しの3得点目を決めた。
試合はそのまま3-0で終了。夏冬2冠の快挙はもちろん、最後まで“らしさ”を崩さなかった神村学園には、大観衆から拍手が送られた。
「自分が夢にしてきた舞台の一つだった」と勝利の味を噛みしめた中野。卒業後はJ2いわきFCでのプロ生活が始まる。
キャプテンは「みんなよりも足りない部分が多いので、早く合流してみんなとプレーしたい気持ちがたくさんあります」とすぐさま意気込んだ。
強い鹿児島を取り戻した神村学園イレブン。だが、取り戻して終わりではない。
最高の置き土産を残した3年生たちと、先輩たちの想いを受け継ぐ下級生たちは、これからも“神村学園らしさ”を表現していく。
中野は「鹿児島県のみなさん、鹿児島県が夏冬2冠を取ったので、さらにサッカーを盛り上げましょう!」と、次のステージに向かった。
(取材・文=浅野凜太郎)
