CHASE Anrie(C)Getty/GOAL

「本当にきつい」大器チェイス・アンリの今。日本代表を見据え、自身の選択が正しかったと信じる理由【若武者たちの現在地】

一昨年の4月、尚志高校で圧倒的なパフォーマンスを見せていたチェイス・アンリは、日本のトップリーグを経験することなく、ドイツの地へと足を踏み入れた。加入が発表されたのは、遠藤航ら日本人選手も在籍していたシュトゥットガルト。”怪物”と称されることもあったアフロヘアーがトレードマークの若きDFは、過酷な環境に身を置き、確かな成長を目指して新たな戦いに挑むことになった。

あれから約1年9カ月が経ち、シュトゥットガルトのセカンドチームにはもがきながらも前に進もうと励むチェイスの姿がある。

初めての挑戦となった昨シーズンは怪我などもあって思うように出場機会を掴めず、スタメン出場は5試合のみ。夢見ていた華々しいスタートとはならなかった。ただ、今シーズンは3試合目でスタメン出場を果たすと、そこからは3バックの一角に定着。怪我によって出られなかった試合もあるが、それ以外の試合ではレギュラーとしてプレーしている。

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昨年末、最後の試合となったレギオナルリーガ第21節のFSVフランクフルト戦でも先発出場を飾った。だが、この試合では悔しい一戦に終わる。右CBに入ったチェイスとしてはクリーンシートに貢献したい試合だったが、立ち上がりに先制点を奪われると、守備のところで後手に回ってしまう場面もあり、なかなか流れを引き寄せることができず。ボール出しの点では、綺麗な縦パスやアシストになりそうなロングパスで起点作りには成功したが、64分で途中交代となった。

1日でも早くトップチーム入りを望んでいるチェイスからすれば、満足できないパフォーマンスと言っていい。

「シーズンが中断する前に試合に出られたことは良かったです。ただ、最近の2試合は全然守備でうまくいっていなくて、軽く抜かれるところもあったので、少しよくないですね。ターンや動作も少し遅いし、判断も遅く、ポジションも悪かったなと思います」

反省の言葉が口をつく。それでも、こういった課題が明確に出てきているのは、昨季との大きな違いだとチェイスは言う。

「今シーズンの方が試合も出ているし、やはり試合に出た方が実戦での経験が増えていいところが多い。CBは試合に出ないとポジショニングや試合の流れみたいなものを掴めないし、そういった流れに慣れないといけないところもある。今年は試合にずっと出ることができているので、その辺は少しずつ掴めてきているなと思います」

ピッチに立ったからこそわかるものがある。自身のプレー面の課題やコミュニケーションの必要性、結果に関わる責任。アンダー世代の日本代表などとは、また違った景色が目の前に広がっている。そのような環境に身を置き、トップチーム入りを目指す。今までとは違ったやりがいを感じながら、課題を一つひとつ消化している。

「(トップに上がるために必要なものは)ポジショニングですね。いいところにいないと相手にすぐボールを触られてしまうし、やはりカウンターを止めるために良いポジションを取らないといけない。監督に言われていることは理解しているので、あとは試合などで体で覚えるしかないです」

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日本のトップリーグからトライする道もあった。だが、欧州でのスタートを選んだ。その選択についてチェイスは「本当にきついです」と笑いながらも、力強い言葉を口にした。

「でも、僕は来た方が良かったんじゃないかなと思います。一人でいる時間が多いことで、やはり成長できるところがある。日本にいるといろいろな誘惑があるじゃないですか。ただ、こっちに来たらすべて自分でやらなければいけない。そういう意味で成長できると思っています」

「トップに入れば代表に呼ばれるようになると思う。だから、とりあえず今はここが大事」。そう語ったチェイスは、さらなる成長を目指し、自身の課題に向き合うことでトップチーム入りを狙っている。

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