なでしこジャパンは、来年のオーストラリア・ニュージーランドで開催される女子ワールドカップ出場に向け、チームワークを積み上げてきている。近年、海外で活躍する選手が急速に増えたこと、また昨年発足したWEリーグにより、プロ選手としての時間を有意義に使える選手が増えたことで、個の強化にも追い風となっている。
今回は、次世代のなでしこジャパンの攻撃を支えるキーとも言える3選手が集まった。今年春に大学を卒業し、本格的にプロへの道を歩み始めた日テレ・東京ヴェルディベレーザ・植木理子、今年からアメリカ・ロサンゼルスを拠点とするエンジェル・シティFCに加入した遠藤純、「2021-22 WEリーグ優秀選手賞」を受賞したマイナビ仙台レディース・宮澤ひなたの3名だ。
かつて日テレ・ベレーザでともにプレーし、U-16から日の丸を背負うチームメートであり、またライバルでもあった彼女たちは、WEリーグ発足や移籍といった変化を経験し、それぞれの場で自身を磨いている。今回、そんな3人の「今」と「素顔」を伝えるべく、あらかじめGOAL Japanの用意した質問が書かれた紙をランダムに選んでもらい、準備のできないQ&Aを実施した。
この取材形式に植木は「楽しそう!」と盛り上がり、遠藤選手は「質問が怖い〜」と苦笑。ここでは抜粋した内容を紹介する。【協力:アディダス ジャパン】
■「WEリーグ2年目、マイナビ仙台は引き継ぎと積み上げの時期」(宮澤)
ーー宮澤選手は、22-23シーズンのWEリーグ、所属するマイナビ仙台はWEリーグカップを戦っています。リーグ戦は10月に始まりますが、チームの魅力と手応えを教えてください。
宮澤:今シーズン、マイナビ仙台は加入選手が増えました。去年とは違う雰囲気になると感じています。チームとしては、攻守ともにアグレッシブなサッカーを目指しながら、特にボールを繋ぐ意識にはよりこだわっていきたいです。
――手ごたえを感じている部分は?
宮澤:外国籍選手が二人入ったのは大きな武器だと思います。そういう選手たちをどう活かしていくかという課題もありますけれど。
WEリーグ発足とともに、マイナビベガルタ仙台レディースからマイナビ仙台レディースになりました。松田岳夫監督のもと、サッカーのスタイルも変わりました。そんな中で、キーパーから繋いでどうゴールまで持っていくのか。これまで築き上げてきた戦略を引き続き、積み上げていきたいところです。何かが変わるというより、積み上げの中で各選手ができることを増やしつつ、チームとしてもレベルアップしていけたらと思います。
■「憧れの選手とプレーできてうれしい」(遠藤)
ーー遠藤選手はNWSL(アメリカ女子1部、ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)の、エンジェルシティに所属しています。チームに尊敬している選手はいますか? それはなぜですか?
遠藤:自分はチームに来る前から、アメリカ女子代表のクリステン・プレス選手に憧れていました。代表のプレーから見ていたので、同じチームになれて本当に嬉しいです。一緒にプレーしていても尊敬できる点ばかりで、すごくいい経験をさせてもらっていると感じます。他の選手もみんな憧れですけど、クリステン・プレス選手は特別ですね。
―― 憧れの選手と同じチームになって、印象が変わった点はありますか?
遠藤:自分は英語が全然喋れないので喋りかけられないし、正直怖気付いていました。ですが交流できるようになってからは、自分が抱いていた印象とは全く違ってすごくフレンドリー。ベテラン選手ですが自分のような若い選手にも年齢関係なく接してくれて。でもチーム全体を声とプレーで引っ張る姿が印象的で、さすがベテランだと感じました。
植木:自分も最近アメリカに行って現地の試合を見てきました。観客として試合を見ていても『ここでファイトする』という瞬間や、勝つために自分たちがいま何をすべきかがはっきり感じられて、すごく面白かったんです。スタジアムの雰囲気も日本とは結構違って、地域の全員が来てるんじゃないかというほどの熱量を感じました。
遠藤:日本と比べたら全然違いますね。もちろん地域によって観客数は違いますが、自分たちはロサンゼルスという都会で、オーナーも有名人が数多く投資してくれているチーム。開幕戦では2万2千人、普段も毎試合普段も毎試合1万8千人は入ります。ボールを持つたびに歓声が上がるし、毎試合そんな雰囲気でプレーするのは初めての経験です。本当に光栄だな、って思うし、挑戦してよかったってすごく思います。
――海外のプロ選手の「ここがすごい」と感じる部分は?
遠藤:オンとオフがはっきりしています。グラウンドに入ると本当に目つきが変わりますし、試合や練習が終わればしっかりオフに切り替える。試合に負けても落ち込まない訳じゃないんですが、落ち込む暇があるなら次に向けてどうやるかを常に考えていますね。自分は日本にいる時からそうなんですが、試合に負けるといつまでも落ち込むタイプ。彼女たちを間近で見ていると、自分も成長していかなきゃいけないと感じます。
■「自分は多趣味な面もある!サッカーでもし、二人から奪えるなら…」(植木)
ーーそれでは植木選手、サッカー以外の趣味を教えてください。
植木:インスタグラムでも紹介しているのですが、漫画です! ぜひフォローしてください!(@ricomic9)あと最近は結構(音楽)ライブを見に行きました。YouTubeで配信を見たり(音楽は好きです)。趣味は多く、すごく充実しています。
ーー他の2選手の、何かを奪って自分に取り込めるとしたら、何を奪って取り込みますか?
植木:サッカーなら、ひなたのスピードと純のシュート。その二つは切実に欲しいです。
遠藤:ひなたさんのスピードは欲しい。本当にすごい。ひなたさんと会うまでは自分も速いと思っていたけど、ひなたさんは“化け物”でした。
植木:味方だとすごく心強いけど、相手にいると嫌だ(笑)。
――逆に宮澤選手は植木選手と遠藤選手の何かを奪えるとしたら?
宮澤:理子さんのゴール前での嗅覚というか、ゴールに対する執念は欲しいです。純の左足のキック、シュートもすごく欲しいですね。
■「男子選手と1対1をやることを想像したことがないけど…誰だろ」(宮澤)
――宮澤選手への質問です。日本の男子選手で、1対1で勝負したい人は?
宮澤:想像したことがないですね。誰だろう? 自分がサイドハーフで仕掛ける場合を想定して、足が速く対応に慣れていそうな長友(佑都)選手とか。海外はもちろん日本代表としてサイドバックをやっていて、攻守にわたり運動量高く走っていると思いますし。1対1の勝負は想像できないですが、自分が仕掛けたらどんな対応をされるか見てみたいですね。
■「アメリカと日本。それぞれ魅力がある」(遠藤)
――WEリーグとNSWLそれぞれの魅力を教えてください。
遠藤:アメリカのリーグは、選手はもちろんのことファンの熱量がまったくといっていいほど違います。それがアメリカの女子サッカーが強い理由でもあるのかなと感じているんです。選手だけじゃなく、ファンも一緒にチームや試合を盛り上げて発展させようってムードがすごく魅力だと思います。
自分はWEリーグには半年くらいしかいませんでしたが、日本のサッカーは良い意味で組織的というか、全員でボールを繋いでゴールに向かうための選択肢がたくさんある。アメリカにもチームの戦術はあるんですけど、個人の能力に任せる部分が大きいというか。日本の“繋ぐサッカー”っていうのは、見ていてもプレーしていても楽しいですし、それがWEリーグの魅力でもあると思います。
■3選手への質問
ーー2023年には女子W杯が控えています。意気込みは?
植木:いちサッカー選手としてはW杯もリーグも変わらないですけど、自分は前回のW杯では離脱してますので、次のW杯にはやっぱり思い入れがあります。代表入りを目指しつつ、チームでひとつずつ結果を出していこうと思います。
宮澤:自分はW杯をアンダー世代でしか経験していないので、小さい頃から憧れていたトップのW杯の舞台に必ず立ちたいです。そして次は自分が誰かに影響を与えられる選手を目指して、結果を出しながらプレーしていきたいと思います。
遠藤:今WEリーグでプレーしていない分、いろんな日本人選手と一緒にプレーできるのは代表だけ。皆さんとぜひ一緒にサッカーがしたいので、もちろん代表に選ばれたいです。そこに向けてできることを日々頑張っていきます。
ーー10月6日@神戸、10月9日@長野と大切な試合を控えている中で、新スパイク『エックス スピードポータル』を使用し、ギアとの相性は?
――スピード、クイックネス、アジリティに長けた一足とのこと、実際の履き心地はいかがですか? 新たに搭載された「スピードスキン2.0」や「ハイスピードスタビリティシステム」といった最新テクノロジーによって、スピードの向上を徹底的に追求しているそうですね。
植木:チームカラーが緑色なので、ユニフォームにすごくマッチするなと思いました。実は昔から緑色のスパイクを選ぶことが多くて、すごくお気に入りの色でもあるんです。以前のモデルは足の形に合わせて調整してもらったのですが、今回はそのまま履けて、フィット感というか履き心地は今までで一番好きだなと感じています。
自分はサッカーを始めた時から、軽いスパイクが好きでした。今回のスパイクもすごく軽さがあるのにしっかりしていて、自分に合っていると感じます。
宮澤:私は派手な色が好きなので、第一印象は「すごくかっこいい!」でした。最初に見てかかとの部分が以前のモデルと少し変わっていると気づいたので、早く履いてみたかったですね。
実際に履くと、フィット感がすごくあります。普段履いているスパイクは紐なしにしているのですが、そういう意味でも“自分の足”という感じがありますし、軽い分サイドの駆け上がりや攻守の切り替えのようなクイックな動きがとてもやりやすいです。
遠藤:個人的には緑は好きな色ですし、ホームユニで全身ブラックだとスパイクの色がすごく目立つので、サポーターの方に「スパイクかっこいいね」と言っていただけました。
アウェイ(のユニフォーム)が白とピンクなので、派手になりそうで楽しみですね。私は新しいチャレンジの場所で新しいスパイクを履くとギアが入るというか、新鮮さとともに身が引き締まります。自分の好きな色を履けるとテンションも上がりますしね。